マイナンバーカードの「市民カード」化について自治体研究社「デジタル化と地方自治」に龍谷大学教授の本田滝夫さんが次のよう述べています。
「マイナンバーカードは、オンライン化した行政手続、公的保険医療の受診、市区町村の施設の利用、地域通貨としてのポイント制の利用など生活のさまざまな局面で使われつつあります。マイナンバーカード1枚をかざせばさまざまなサービスの利用ができるようになるという意味で、マイナンバーカードの『市民カード』化が進行しています。見方を変えれば、マイナンバーカードを持たないと行政分野、準公共分野、さらには民間分野のサービスを利用できないあるいは利用するのにひと手間かけなければならないことになります。マイナンバーカードを持たない者には、市民生活にかなりの支障が生じることになります。」
「マイナンバーカードの『市民カード』化により、住民はマイナンバーカードの所有者であることが前提となります。マイナンバーカードを所有しない者は、自治体が提供するサービスから事実上は排除されるシーンが増えることになりますが、それは行政から発出し流通するデータの信頼性を低下させないためには仕方がないことであり、不所持は本人の選択によるものだから、それを受忍することが当然であるとの認識が一般化することになります。そうすると、住民は、住民たりうるには当該自治体の区域に住所をもっているだけで足りる(参照、自治法10条1項)はずにもかかわらず、自治体のサービスを受ける際の住民であることを『証明』するためマイナンバーカードの所持が事実上義務づけられることになります。自治体は、マイナンバーカードを所持しない者を、自治体におけるデータの信頼性の確保に協力しない者、あるいは、『住民』としての存在が疑わしい者としてみることになり、住民の間に差別と分断を生み出しかねないでしょう。」
山口県は、この「市民カード」化をどのように進めようとしているのでしょうか。
「やまぐちデジタル改革基本方針」(2023改訂版)に、「『デジタル・エリアやまぐち』の形成」があり、その中に、「マイナンバーカードの普及と利活用拡大」があります。
ここで県の方針は「マイナンバーカードは、『デジタル社会のパスポート』となるものであることから、国・市町と連携し、その普及へ引き続き取り組むとともに、市町と連携して、カードの本人確認・認証機能を活用したオンライン行政サービスの充実や、マイナンバーカードをかざすだけで、「各種証明書交付や図書館での本の貸出など、様々な行政サービスの提供を受けることができる『市民カード化』等に取り組む。」としています。
私は、26日付で「やまぐちデジタル改革基本方針」を所管する総合企画部に対してマイナンバーカードに関し①県として普及と利用拡大の具体的な取組内容②県内で『市民カード化』に取り組んでいる市町の具体的な取組内容について文書回答を求めました。
県からの回答については、本ブログで紹介したいと思います。
マイナンバーカードの「市民カード」化により「住民の間に差別と分断を生む」事態にならないよう、私は、しっかり調査し、発言していきたいと思います。
マイナンバーカードに関する皆さんのご意見をお聞かせください。
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