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中山徹奈良女子大学教授の論文「『デジタル田園都市国家構想』の本質を暴く」を読みました。

 日本共産党中央委員会が発行している「議会と自治体」2023年5月号に中山徹奈良女子大学教授の「『デジタル田園都市国家構想』の本質を暴く」と題する論文が掲載されています。
 中山氏は、「『デジタル田園都市国家構想』がもたらすこと」として次の点を挙げています。
 第一は新たな格差の拡大です。中山氏はこう論じています。
 「情報技術の発展により、さまざまなサービスを新たに展開することが可能となり、それによって市民が抱える問題の解決が図れると思います。しかし、その運営を企業が担うことで、医療、福祉、健康など、本来は平等性を基本とすべき分野に新たな格差を引き起こし、情報技術の発展を享受できる相と、それから疎外される層が生じます。『新しい資本主義』、『デジタル田園都市国家構想』は、新自由主義によってもたらされた格差をはじめとした社会諸問題を是正するはずでしたが、逆に新たな格差を生じさせます。」
 第二は、行政と企業の関係が逆転することです。山中氏はこう論じています。
 「『デジタル田園都市国家構想』では、企業が市民生活を支える基本的なサービスのあり方を検討し、実際のサービスを提供します。行政は企業が立てた計画にお墨付きを与え、法令等の関係で必要な最低限のチェックをおこない、あとはサービスをおこなう企業に対して補助金等を支給する存在になるでしょう。究極のアウトソーシングといえます。」
 第三は、団体自治の縮小です。山中氏はこう論じています。
 「デジタル化とともに、今まで各自治体で進めてきた独自の施策が削減されそうです。また、自治体が国の制度に上乗せして実施していた施策が切り捨てられそうです。地域で進めるデータ連携基盤整備も中核部分は政府が提供するとなっており、DXの推進で団体自治の空洞化が懸念されます。」
 第四は、地方が崩壊するです。山中氏はこう論じています。
 「デジタル化によって、リアルに加え遠隔という選択肢を増やすというのであれば市民生活の向上につながります。そうではなく、遠隔の整備と引き替えに、リアルをなくすというのであれば、市民生活の低下を招きます。先に見ましたが『デジタル技術の活用により、地方では地方の魅力をそのままに、都市の利便性を享受することが可能となる』としています。これが、市民生活を支えるさまざまなサービスを遠隔に置き換えることであれば、それは地方における公共的サービスの切り捨てを意味し、地方を住みやすくするどころか、地方を住みにくくします。『地方創生』では東京一極集中を止めることができませんでした。しかし、『デジタル田園都市国家構想』は、自治体が『デジタル田園都市国家構想』を進めることで地方を崩壊に導く危険性があります。」
 2022年12月「『デジタル田園都市国家構想』総合戦略」が策定されました。自治体はこのデジタル総合戦略にもとづいて、地方版デジタル総合戦略を策定することになります。
 山口県で今後策定されるデジタル総合戦略は、中山氏が指摘する弊害が回避されるものになるよう必要な発言を行っていきたいと思います。
 私は、11日に、中山徹さんを講師にした「デジタル田園都市国家戦略」に関する講演をリモートで受講する予定です。しっかり学んで、今後の議会活動に生かしていきたいと思います。
 デジタル田園都市国家戦略に対する皆さんのご意見をお聞かせください。

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