ブログ

日本国憲法が想定する国際貢献とは何か

 新婦人しんぶんに伊藤真弁護士の「今こそ平和憲法が輝くとき」という小論文が掲載されています。
 第五回「日本国憲法の想定する国際貢献」として伊藤真弁護士は、次のように書いています。
 「本連載第2回『日本国憲法における立憲主義』において、日本国憲法は『積極的非暴力平和主義』を採用していることを紹介しました。この考え方は、『日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求』(9条1項)という言葉が表すように、日本が世界平和を実現するために積極的な役割を担うことを決意したものです。今回は、この積極的非暴力平和主義のもとでの日本が果たすべき役割ー日本国憲法の想定する国際貢献ーについて、見ていきます。日本も国際社会の一員である以上、世界の平和と安全のためにできる限りの貢献をするべきです。しかしそれは、あくまでも憲法の許容する範囲のものに限られます。憲法は、『人道』や『自由』のための践祚ぷも行わないと決めました。『国際貢献』という美名の下で、軍事力を行使して民間人を殺害することは許されません。憲法9条は、自衛のための戦争も含めて一切の戦争を放棄しています。それは、『自衛のため』『人道のため』『治安維持のため』という名目で戦争を肯定してしまったら、そうした名の下で結局はあらゆる戦争が正当化されてしまい、再び過ちを繰り返してしまうと判断したからです。憲法は『攻められない国』を創ることにしました。戦争や内戦の原因となるような飢餓、貧困、人権侵害、差別、環境破壊などをなくすために、国際社会において積極的な役割を果たすことによって、それらの国から信頼され、攻められない国を創りあげて、日本の安全と平和を達成しようとしました。それは同時に、世界の平和を創り出す努力であり、最大の国際貢献にもなります。けっして、日本だけが平和であればよいとする『一国平和主義』ではありません。、むしろ、それとは正反対の考え方です。このことを憲法前文では、次のように謳っています。『日本国民は・・・平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの平和と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようとゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。(抜粋)どのような名目の戦争にも一切参加しないと宣言した先進国が存在すること自体が、世界の平和と安定に貢献するのです。それが『国際社会において名誉ある地位を占める』ことに他なりません。紛争には必ず原因があります。紛争が起きてから軍事的に対処するのではなく、紛争の原因をなくすために最大の努力をするのが、憲法の立場です。飢餓、貧困、人権侵害、差別、環境破壊といった世界の構造的暴力をなくすために積極的な役割を果たすことが重要です。現地の人と井戸を掘り、学校を建て、病院を作って医療を提供し、感染症撲滅に尽力し、経済的自立のための支援をする。また、紛争終結後には道路・水道などのインフラの整備、対人地雷除去、必要な生活物資の支援など軍事以外でもできることは無限にあります。」

 岸田政権が進めようとしている軍事大国化の方向は、憲法が求める軍事力を手段としない平和的国際協調主義からかけ離れたものであると言えます。

 それでも、世界の平和を創り上げる努力こそ最大の国際貢献であるとの日本国憲法を持っていることに、改めて誇りと勇気を抱きました。

 私は、こころから日本国憲法を守り生かす道を歩んでいこうと伊藤弁護士の文書を読み決意を新たにしました。

 日本国憲法に対する皆さんのご意見をお聞かせください。

トラックバック

コメントはまだありません

No comments yet.

コメント

コメント公開は承認制になっています。公開までに時間がかかることがあります。
内容によっては公開されないこともあります。

メールアドレスなどの個人情報は、お問い合せへの返信や、臨時のお知らせ・ご案内などにのみ使用いたします。また、ご意見・ご相談の内容は、HPや宣伝物において匿名でご紹介することがあります。あらかじめご了承ください。