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「反戦情報No.452」に私の「県庁ぐるみ選挙の実態」が掲載

 「反戦情報」2022・5・15(No.452)に、私の「自民党による山口県庁ぐるみ選挙の実態」との小論が掲載されました。

 掲載された小論は、次の文書です。

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自民党による山口県庁ぐるみ選挙の実態

県議会議員 藤本かずのり

◆はじめに

 昨年10月31日投開票の衆議院山口3区で初当選した自民党の林芳正外相の後援会に入るよう部下を通じて職員を勧誘したとして、山口区検察庁は、昨年12月24日、山口県警から書類送検されていた小松一彦前副知事を公職選挙法違反(公務員の地位利用)の罪で山口簡易裁判所に略式起訴しました。同日、山口簡易裁判所は、小松前副知事に罰金30万円の略式命令を出し、小松前副知事は同日、辞職しました。
 この事件を受けて公表された調査報告書は、自民党からの後援会入会の依頼は30年以上前から常態化していたこと、依頼のあった選挙は国政選挙(衆・参)だけでなく、知事選挙、県議選、市長及び市議選でも行われていたことを明らかにしています。
また、自民党から県庁への依頼は、後援会への入会だけでなく、パーティー券の購入、集会への動員、電話がけなど多種多様なものだったことが報じられています。
本論の目的は、次の二点です。
第一は、この事件の真相を解明することです。山口県は、この事件を依頼した自民党を告発しようとしません。自民党山口県連は、この事件について「関知していない」との姿勢に終始しています。
第二は、県庁に民主主義を取り戻すことです。この事件は、全体の奉仕者としての山口県庁が自民党の奉仕者になっていた実態を示しました。
私は、日本共産党県委員会と同県議団が行った、この事件に関する3回の申し入れに参加し、ブログでは、公選法違反事件に関する記事を19回、掲載してきました。
これらを軸に、この事件を3つの時期に分けて実態を明らかにしたいと思います。

◆小松前副知事辞職の時期

 昨年12月27日、日本共産党山口県委員会と同県議団は、村岡嗣政知事に「①小松前副知事に対する任命責任、監督責任を負うべき知事の責任を明確にする②副知事など県幹部に、県職員への『後援会入会』の勧誘を働きかけた党派、人物を明らかにし、厳重に抗議するとともに、司直に告発する③『過去の様々な選挙でも常習的・慣例的に行われてきた』との指摘を検証するためにも、全職員を対象にした無記名のアンケート調査を実施し、結果を公表する④公務員の地位を利用した後援会入会の勧誘等を全面禁止する旨の『宣言』を発出し、全職員に徹底する」ことを求めました。
 昨年12月28日、村岡知事は、記者会見で、事実関係の把握などを行うため、公益通報制度の外部窓口を務める高村七男弁護士と人事課職員の体制で、課長級以上の全職員へのアンケートやヒアリングを行うことなどを明らかにしました。
 村岡知事の初動対応の問題点を指摘します。
 第一は、調査内容についてです。日本共産党が求めた「全職員を対象」にしたものにならず、調査チームが県庁から独立したものにならなかった点は問題です。
 第二は、誰から依頼されたのかの調査を否定している点です。日本共産党が求めた「働き掛けた会派、人物を特定し、厳重に抗議する」ことを否定した点は、問題です。

◆平屋副知事就任の時期

 1月14日、臨時県議会が開かれ、平屋隆之副知事を選任する議案が提案され、日本共産党以外の全員の賛成で可決されました。平屋副知事は、就任後の記者会見で、過去の選挙で候補者の後援会入会の勧誘に関与していたことを認めました。
 1月20日、日本共産党県委員会と同県議団は、村岡知事に「①村岡知事は、平屋副知事が、過去の選挙で後援会の勧誘を行っていた事実を任命前に知っていたのかどうかを明らかにすること②村岡知事は、平屋副知事が、過去の選挙で後援会の勧誘を行っていた事実を公表したことを受けて、副知事人事を再考する考えはないのかどうかを明らかにすること」を求めました。
 1月28日、日本共産党の要請に、県人事課長は「①知事は、副知事任命前に、平屋氏から『過去、上司から依頼を受けて後援会の入会申込の配布等を行ったことはある』と聞いている②平屋氏本人も認識の甘さを猛省し、しっかり再発防止に取り組んでいく旨、副知事就任時に述べている。副知事人事を再考する考えはない」と答えました。
 改めて、平屋副知事と村岡知事の責任について指摘します。
 まず、平屋副知事の責任です。平屋氏は、上司から頼まれたからとは言え、部下へ地位を利用して後援会入会を勧誘したのなら、小松前副知事が受けた罪と同等の問題が疑われます。
 次に、村岡知事の責任です。村岡知事は、その事を知って平屋氏を任命したことは、小松前副知事が公職選挙法の地位利用で罰金刑を受けて辞職した問題の重さへの認識が甘いと言わなければなりません。

◆調査報告書公表の時期

 3月22日、山口県の調査チームが調査報告書を公表しました。報告書で、調査対象となった課長級以上の全職員321人にアンケートし305人が回答、うち課長級以上の6割超にあたる195人が、上司から衆院選候補の後援会入会や部下への勧誘を依頼されたと答え、ほぼ全員191人が応じていたことなどが判明しました。
 3月23日、村岡知事は、部長級3名、部次長級9名を訓告処分としました。
 3月26日、小松前副知事が、昨年10月に自民党山口県連が主催した政治資金パーティーの会費1万円の支払いに協力するよう県幹部に依頼していたことが発覚しました。
 4月4日、日本共産党県委員会と同県議団は、村岡知事に「①公選法第136条の2『公務員等の地位利用による選挙運動の禁止』に抵触する行為を県幹部に依頼した人物・団体を特定し、今後、一切、同種の依頼を行わないよう要請するとともに、犯罪行為を幇助・教唆した疑いを告発すること②県職員への政治資金パーティー券斡旋依頼についても、全容解明を行い、再発防止策を講じること③調査チームが提言した『自民党に対する悪しき配慮を完全に断ち切り、特定の政党に偏ることなく公平・公正な立場で行動する』ことを知事として県民に向けて宣言し行動を示すこと」を求めました。
 4月12日、日本共産党の申し入れに県人事課長は「①県としては、県庁内で公職選挙法に違反する行為があったことを踏まえ、その事実を把握し、再発防止に全力をあげることが何よりも重要だと考えており、人物を特定し、告発することは考えていない②『県職員への政治資金パーティー券斡旋依頼』の件についても、今回の公職選挙法違反事案に係る調査の中で把握しており、これらを含め、選挙を巡る組織的な勧誘やそれにつながる恐れのあることについて、今後一切行わないことを宣言し、再発防止に向けた取組を行うこととしている③今回の事案を踏まえ特定の政党や団体に偏ることなく、なお一層誠実に県政運営に取り組む旨を知事が明確に表明している」と答えました。
 県の対応の問題点を指摘します。
 第一は、依頼した人物を告発しない点です。唆された小松前副知事は刑事罰を受けたにも関わらず、唆した自民党の責任が問われないのは不平等です。
 第二は、パーティー券斡旋依頼についてです。県が、パーティー券斡旋依頼の件について把握している事実を公表すべきです。

◆おわりに

 現在、日本共産党県議団は、山口県に対し、調査チームが行った職員へのアンケートなどについて情報公開請求を行っています。山口区検に対し、この事件の保管記録閲覧請求を行っています。
 この事件の真相解明は極めて不十分です。県民一人一人に平等な山口県庁にしていくために、真相解明を求める県民の皆さんと共同して、自民党による県庁ぐるみ選挙の解明を続けていきたいと思います。

・・・

 反戦情報N0.452の見本誌を数冊預かっています。

 私の小論が掲載された反戦情報を読んでみたいという方は、本ブログ、トップページの問い合わせから私にメールください。お届けいたします。

 自民党による県庁ぐるみ選挙の実態解明に引き続き取り組んでまいります。

 皆さん方からの情報やご意見を藤本までお寄せください。

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