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「県知事が事業の廃止に触れることは可能」と環境省担当者

3月16日、日本共産党山口県委員会は、ズームによる政府交渉を行いました。
 環境省の要請項目にある環境アセスメント制度に関する問題について報告します。
 要請項目は次の通りです。
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 同制度における知事意見について、「事業の廃止や取り止め」を選択肢に含めるよう改定を求める。
(仮称)西中国ウインドファーム事業は、山口県と島根県にまたがっており、両県知事は同事業の計画段階環境配慮書に対する知事意見を出した。島根県知事は、「環境影響を回避又は十分な低減が出来ない場合には、事業実施想定区域の再検討を行うなど、当該地域での事業の廃止を含めて事業計画の抜本的な見直しを行うこと」とした。
一方、山口県の村岡知事は、「環境影響を回避又は十分に低減できない場合には、風力発電設備の配置等の再検討、対象事業実施区域の見直し及び基数の削減を含む事業計画の見直しを行うこと」とし、「事業の廃止や取りやめ」については言及していない。これは、「環境影響評価は、事業の可否を問うものと位置付けられていない」とされていることに起因するものと考えられる(環境影響評価研究会が編集した「逐条解説環境影響評価法」によれば「環境影響評価は、事業の可否を問うものと位置付けられていない」と記されている)。
 言うまでもなく環境アセスメント制度は、事業が実施される住民にとって、その事業の是非(可否)をも含めた判断を行う上できわめて重要な制度である。
ところが現状は上記のように当該県知事が事業の是非に言及しないで、むしろ事業を進めることを前提としたうえでの意見を述べても可とされている。山口県知事は、この点に固執をして、「事業の廃止や取り止め」などについては言及しないでいる。これでは当該事業を否とする住民の意見を反映しないことにもなる。
よって、環境アセスメント制度における知事意見については、「事業の廃止や取り止め」を選択肢に含めるよう制度の改善を求める。
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 環境省からは、森田紗世大臣官房環境影響評価課課長補佐が回答しました。回答主旨は次の通りです。
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 電気事業法において、経済産業大臣は、設置者から届出られた工事の計画に関し、その工事の計画の変更又は廃止を命じることが出来ると定められている。
 環境影響評価法は、環境アセスが行われることが目的ではなく、その結果が実際の事業計画に反映されることが重要としている。事業に関する法律に基づく免許等や補助金等の交付の判断に当たっては、事業が環境の保全に適正に配慮しているか否かについて審査されていない場合がある。そこで、環境影響評価法では、環境の保全に適正に配慮されていない事業については、免許等や補助金等の交付をしないようにするなどの規定を設けている。
 環境影響評価法に基づき、事業が環境の保全に適正に配慮していないと判断した場合、県知事が事業の廃止に触れることは可能である。
 「逐条解説環境影響評価法」に「環境影響評価は、事業の可否を問うものと位置づけられていない」とあるのは、事業が環境の保全に適正に配慮しているかどうかではなく別の観点において、事業の賛否を問うための手続きではないことを述べたものである。
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 2月県議会において、県副知事は、私の質問に、「環境影響評価は、事業の可否を問うものとは位置づけられていないことから、本件では、あくまでも環境の保全の見地から、環境への影響を回避又は十分低減するように、事業者等に対し、知事意見を述べている。そうした中で、『事業の廃止や取り止め』などの表現は、事業の可否について言及したものと受け取られかねないことから、本件の知事意見には用いていない。」と答えました。
 環境省の担当者は、私たちの要請に対し「環境影響評価条例に基づき、事業が環境の保全に適正に配慮していないと判断した場合、県知事が事業の廃止に触れることは可能である。」と回答しました。
 県は、環境影響評価制度において、知事意見で、「事業の可否」を用いてはいけないのかどうかの解釈を環境省に照会すべきです。
 環境影響評価制度に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

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