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「(仮称)西中国ウインドファーム」に島根県知事意見は「廃止」も含めて見直し求める

 岩国、周南市と島根県吉賀町の境界一帯で計画されている風力発電所「(仮称)西中国ウインドファーム」について、1月18日、中国新聞は次のように報じました。
 「岩国、周南市と島根県吉賀町の境界一帯で建設されている風力発電所『西中国ウインドファーム(仮称)』について、山口県の村岡嗣政知事は、環境保全に関する意見を事業者の電源開発(Jパワー、東京)に伝えた。森林の伐採や土地の改変を最小限とすることや、騒音対策、住民への情報提供を求めている。両市や県の審査会の意見を踏まえてまとめており、住民生活や景観に配慮した配置を検討するよう要請した。動植物では、クマタカなど鳥類との衝突を避け、ブナ林の生育に支障がないよう指摘した。環境への悪影響を回避・低減できない場合は、事業計画を見直すよう明記している。Jパワーによると、発電所は最大33基で14万キロワットの出力が見込まれる。」
 1月14日に、村岡知事は、電源開発の渡部社長に対して「(仮称)西中国ウインドファーム事業に係る計画段階環境配慮書に対する知事意見について」とする文書を発出しています。
 上記の記事にあるように知事意見は「本事業の実施による環境影響を回避又は十分に低減できない場合には、風力発電設備の配置等の再検討、対象事業実施区域の見直し及び基数の削減を含む事業の見直しを行うこと」などを事業者に求めています。
 1月22日、中国新聞は、「西中国ウインドファーム(仮称)」の環境アセスを巡り環境大臣意見が出されたと次のように報じました。
 「岩国、周南市と島根県吉賀町の境界一帯で建設が計画される風力発電所『西中国ウインドファーム(仮称)』を巡り、山口壮環境相は21日、発電設備を住居などからできる限り話して配置するとともに、生態系への影響の回避、低減を求める大臣意見をまとめた。環境影響評価法に基づく手続きで、大臣意見は稼働時の騒音や風車がつくる影が一帯の住民に悪影響を及ぼす可能性を指摘。事前調査で回避または十分に低減できないと分かった際は計画を見直すよう求めた。国内希少種のクマタカや、ブナ林などの生態系の改変を極力減らすようくぎを刺した。環境相意見を基に萩生田光一経済産業相も今後、大臣意見をまとめ、事業者の電源開発(Jパワー、東京)に伝える。計画は想定区域約1万175㌶に最大33基の風車を設置。出力は最大14万1900キロワット。」
 上記の記事にあるように、1月21日、環境大臣から経済産業大臣に「(仮称)西中国ウインドファーム事業計画段階配慮書」に対する環境大臣意見が提出されました。
 環境大臣意見は、「本事業の実施による重大な影響を回避又は十分に低減できない場合は、風力発電事業等の配置等の再検討、対象事業実施区域の見直し及び基数の削減を含む事業計画の見直しを行うこと」などとしています。
 2月4日、「(仮称)西中国ウインドファーム」事業に関し、経済産業大臣意見が、電源開発に対して発出されました。
 経済産業大臣による「電源開発株式会社『(仮称)西中国ウインドファーム事業計画段階環境配慮書』に対する意見」は、「本事業の実施による重大な影響を回避又は十分に低減できない場合は、風力発電施設等の配置等の再検討、対象事業実施区域の見直し及び基数の削減を含む事業計画の見直しを行うこと。」などと指摘しています。

 「(仮称)西中国ウインドファーム」は、島根県にもまたがっていることから、1月12日、島根県知事意見が出されています。

 島根県知事意見は、「環境影響を回避又は十分な低減が出来ない場合には、事業実施想定区域の再検討を行うなど、当該地域での事業の廃止も含めて事業計画の抜本的な見直しを行うこと。」としています。

 昨年、12月15日の本ブログで紹介しているように、私は、昨年11月県議会の環境福祉委員会(環境生活部)の審議で、「多くの自治体の知事意見や環境大臣意見で『事業の廃止や取り止め』などに言及しているのに、なぜ、山口県は、事業の廃止や取り止めに言及しないのか」質しました。

 西藤環境政策課長は「環境影響評価研究会が編纂した『逐条解説 環境影響評価法』に『環境影響評価は、事業の可否を問うものと位置付けられていない。』とある。」と答えました。

 私は、「環境を守る上で、事業の廃止や取り止めに言及することは、『事業の可否』を問うものではない。」「環境影響評価法を司る環境大臣が『事業の取り止め』に言及したことは重大だ。」などと指摘しました。

 今回は、「(仮称)西中国ウインドファーム」という同じ事業に対して、山口県は、「基数の削減」などしか言及していないのに対して、島根県知事意見は、「事業の廃止」に言及していることは重要です。

 山口県が「逐条解説 環境影響評価法」の見解に固執する姿勢は、見直すべき時だと思います。

 県境影響評価法のもと、多くの知事や環境大臣までもが「事業の取り止めや廃止」に言及していることを山口県は率直に学ぶ時です。

 「(仮称)西中国ウインドファーム」事業は、県内でも最大級の風力発電事業です。
 11月県議会で私は、「(仮称)西中国ウインドファーム」の計画地内に保安林はあるのか、あればどのような保安林なのか質しました。
 松岡農林水産部長は「当ファームの計画地内には、『水源の涵養』、『土砂の流出の防備』、『公衆の保健』を目的とした保安林がある。」と答えました。
 少なくとも、土砂の流出を防備する保安林がある地域に、風力発電所の風車を設置すべきではありません。
 巨大なメガソーラーや風力発電施設に対して、山口県は、土砂の流出の防備が目的である保安林は、解除すべきではありません。
 この点を明確にする条例を他県同様に制定すべきです。
 県内で、巨大なメガソーラーや風力発電事業が次々に進められようとしています。これらの問題に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

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