ブログ

映画「MINAMATA」を観ました。

 1月2日、連れ合いと一緒に小倉昭和館で映画「MINAMATA」を観ました。
 ハリウッドの大作「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズなどに出演し、アカデミー賞に3度、ゴールデン・グローブ賞は10度ノミネートされた俳優ジョニー・デップがこれまでのキャリアの全てを賭けてプロデュースした映画が「MINAMATA」です。
 映画のパンフレット(ストーリー)から引用します。
 「1970年代初等、ニューヨーク。フォトジャーナリストのユージン・スミス(ジョニー・デップ)は『LIFE』の編集長のボブ(ビル・ナイ)に、自分の回顧展のオープニングで、『LIFE史上最高の写真家だ』とスピーチしてくれと頼む。だが、ボブからは『君は史上最も厄介な写真家だ』と断られてしまう。今でも腕は一流だと自負するユージンだが、輝かしい時代は過ぎ去り、金もなく安酒に溺れる日々を送っていた。そんな時、日本のカメラマンと通訳のアイリーン(美波)が、CM撮影のためにユージンのスタジオへやって来る。ユージンはアイリーンから、日本の大企業チッソが、熊本県水俣市の海に垂れ流している工場廃水によって、病に脅かされている人々を取材してほしいと頼まれる。過去に第二次世界大戦の取材中、日本で大ケガを負ったユージンは、『もう日本には行かない。沖縄戦の撮影で懲りた』と拒絶する。だが、アイリーンが置いていった水俣の写真を見たユージンは息をのむ。翌日、『LIFE』編集部を訪ね、『特集記事を』と迫るユージンを最初は拒んでいたボブも、事の重大さに気づき承諾する。水俣市に到着したユージンとアイリーンを、松村夫婦(浅野忠信・岩瀬晶子)が温かく迎えてくれる。夫婦は生まれつき目が見えず話せない長女アキコを、窒素の工場廃水に含まれる、水銀による胎児性水俣病だと訴え出ていたが、チッソ側は『脳性マヒだ』と主張して何の補償もしない。松村は苦境を語ってくれたが、ユージンの写真を撮りたいという申し出には、『勘弁してください』と頭を下げるのだった。」
 1970年、20歳でユージンと出会い、結婚することになるアイリーンは、2020年12月にユージンの回顧写真展「一筋縄ではいかない」に向けて、次のように語っています。
 「ユージンは、私たちはみなそれぞれ異なる成長の過程で身に付けた固有の偏見、先入観、予断を有していると言っていました。だからこのタイトルは、私たちの偏見や先入観が可能な限り真実に近いものであれ、という彼なりの言い方なのです。ジャーナリズムというのは、人々が先入観を抱いてきたかもしれない状況やことがらを真実へと導くひとつの方法なんだと。何であれジャーナリズムを通じ、人はより多くを知ることによって、持っていた偏見を変えていく。たとえ直接的に経験しなくとも、その現実、その中にある真実へと近づいていく」
 キャスターの金平茂紀さんは、なぜ今「MINAMATA」なのか次のように書いています。
 「今の時代だからこそ、この『MINAMATA』はみられるべきではないか。特にこの日本という国で。ほら、MINAMATAはフクシマにも地続きだし、全国の入管施設にもつながっている。沖縄の軍事基地建設の現場にもつながっている。実際、水俣病訴訟はまだ続いている。決して終わっていない。映画の公開で、この国にこういう歴史があったことを知るきっかけになれば、おそらくデップに降臨したユージン・スミスも照れるようにほくそ笑んでいるのではないか。」
 パンフレットの冒頭に2020年ベルリン国際映画祭公式記者会見でジョニー・デップが語ったコメントが掲載されています。
 「一人の関心を持つ者として、この歴史は語り継がれなければならないと思いました。映画の持つ力をフルに活用して伝えたいメッセージを発信することが我々の願望でした。私たちは皆、ただの一片のホコリであり、同時に小さな力なのです。私たちが窮地に立たされたとき、誰かが率先して、巨大な壁を壊そうとすれば、きっと大勢の人々が後に続いてくれるはずです。」
 パンデミックの中で、一人一人の国民は窮地に立たされています。
 今こそ、国民の窮地を救う方向に政治を動かさなければなりません。そこには大きな壁が立ちはだかっていますが、それを取り除こうと大勢が力を合わせれば、その壁を壊すことはできることをこの映画で学びました。
 今の時代だからこそ一人でも多くの人に映画「MINAMATA」を観ていただきたいと思います。今月21日まで小倉昭和館(093-551ー4938)で上映しています。
 「女帝 小池百合子」を書いたノンフィクション作家の石井妙子さんが「魂を撮ろう ユージン・スミスとアイリーンの水俣」をこの程、上梓されました。
 今、石井妙子さんの「魂を撮ろう」を読んでいます。ユージン・スミスとアイリーンの生い立ちから出会い、水俣での活動などが克明に描かれています。この本から、ユージン・スミスとアイリーンの生き方を学びたいと思います。
 映画「MINAMATA」をご覧になった皆さん、感想をお聞かせ下さい。

トラックバック

コメントはまだありません

No comments yet.

コメント

コメント公開は承認制になっています。公開までに時間がかかることがあります。
内容によっては公開されないこともあります。

メールアドレスなどの個人情報は、お問い合せへの返信や、臨時のお知らせ・ご案内などにのみ使用いたします。また、ご意見・ご相談の内容は、HPや宣伝物において匿名でご紹介することがあります。あらかじめご了承ください。