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映画「護られなかった者たちへ」

 瀬々敬久監督の映画「護られなかった者たちへ」を観ました。
 10月3日付のしんぶん赤旗日曜版の「にちようシネマ館」の解説を引用したいと思います。
 「映画のテーマは難しいと思われる『生活保護』問題に切り込んだミステリーです。作・中山七里、監督・瀬々敬久。仙台市で前身を縛って放置し餓死させる殺人事件が相次いで起こります。被害者は生活保護課の職員で、人格者として知られる人物です。県警の笘篠誠一郎(阿部寛)と蓮田智彦(林遣都)が捜査を担当。保護課の円山幹子(清原果那)が生活保護の実態を聞きます。2人は放火で逮捕され出所した利根泰久(佐藤健)を疑います。10年前の大震災で、孤児だった利根は、一人暮らしの遠山けい(倍賞美津子)と、親を亡くした少女・カンちゃんと出会い、家族のように暮らしていました。世を捨てたようで何かを求めるような佐藤の目がいい。けいが生活保護申請に行った時の職員のずさんな対応に腹を立てた利根が、福祉保健事務所に放火し逮捕されたのでした。生活保護申請の場面がリアルです。保護資格のある人も国の保護は受けたくないと受けない場合が多いのです。『生活保護は権利』と言っただけでは済まされない感情が絡みます。結末は意外過ぎますが『共生』を願う制作者の思いがあふれます。」
 この中にある「世を捨てたようで何かを求めるような佐藤の目がいい。」は、映画を観て実感しました。
 佐藤健さんの主演映画では「世界から猫が消えたなら」を観ましたが、この映画での佐藤さんの目と今回の映画での佐藤さんの目は全く別人です。このように役で目を演じ分けることができることが、本物の役者さんといえる所以なのでしょう。佐藤健さんは、本物の役者である。これから日本の映画界の中心になる逸材であることを実感しました。
 この中にある「『共生』を願う制作者の思い」に関して、しんぶん赤旗のインタビューに瀬々監督がこう述べています。
 「この映画の根っこにあるのは『共感』ということです。今、すごく社会が分断されていますが、それに立ち向かうのは、共感ということができるか否かだ、と。立場が違っても共感していけるか。そういうことが基本にないとなかなかいい世の中にはならないと思います。共感の連鎖が分断社会を覆していけるのではないでしょうか」
 瀬々監督の「共感の連鎖が分断社会を覆す」との言葉に共感します。
 私は、大学の卒業アルバムに「孤立は分散を生み、自立は連帯を生む」と先輩からの受け売りだった言葉を書いていますが、この映画を観て、この言葉の重要性を再認識しました。
 映画のパンフレットにジャーナリストの津田大介さんがこう書いています。
 「生活保護をめぐる環境の悪化というのは、コロナ禍によってもより顕著になっています。我々はわずか10年で、東日本大震災とコロナ禍というふたつの大災害を経験しました。まさにこの物語のように、生活保護を受けなければならない人たちがより困窮し、新たにそのような境遇になる人たちが増えています。この映画を企画された時は、コロナ禍はなかったわけですから、まるで未来を先取りしているようなところもありますね。こんな時期に公開されることに運命的な皮肉を感じざるを得ません。新型コロナのさらなる感染拡大によって、政治の混乱が加速し、おそらく解散総選挙に突入するだろうという今の時代背景が、この映画の何よりの『演出』になっている。過酷な現実を劇画化することなく描き切ったからこそ、作品全体のメッセージでもある、利根の『死んでいい人なんて、いないんだ!』という言葉が映画の中でもっとも心に響きました。」
 麻生太郎氏は、9月21日の閣議後の会見で、森友問題に関する質問が総裁選の候補者に向けられたことを指摘した上で「これからの候補者に対して前の政権の話を聞くのにえらい時間をとっておられたけど、読者の関心があるのかねぇ」と答えたと報じられています。
 麻生氏は、岸田総裁の元で、副総裁に就任したとの報道です。
 麻生氏は、改竄を強いられ、自殺した赤木俊夫さんの気持ちが分からないのでしょうか。
 この映画がコロナ禍の中、総選挙目前の中、昨日公開されました。
 映画「護られなかった者たちへ」を一人でも多くの人に観ていただきたいと思います。
 「共感の連鎖が分断社会を覆すような、時代を開く総選挙にしたい」とこの映画を観て決意を新たにする私でした。
 この映画を観られた方は感想をお聞かせ下さい。

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