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凪良ゆう著「滅びの前のシャングリラ」

 選挙の応援の移動で電車に乗る機会がありました。往復3時間。しっかり本を読む時間を確保出来ました。読んだ本は凪良ゆう著「滅びの前のシャングリラ」です。
 今年の本屋大賞グランプリ受賞作「流浪の月」に感銘を受け、受賞作後第一作となる本書を一気に読みました。
 この本は、早くも累計10万部突破し、ヒット作となっています。
 出版社のホームページから本書のあらすじを引用します。
 「『明日死ねたら楽なのにとずっと夢を見ていた。なのに最期の最期になって、もう少し生きてみてもよかったと思っている』一カ月後、小惑星が衝突し、地球が滅びる。学校でいじめを受ける友樹、人を殺したヤクザの信士、恋人から逃げ出した静香。そして-荒廃していく世界の中で、四人は生きる意味を、いまわのきわまで見つけられるのか。圧巻のラストに息を呑む。滅び行く運命の中で、幸せについて問う傑作です。」
 凪良さんは、インタビュー記事の中で「『滅びの前のシャングリラ』の最後の3ページは、書くのに2カ月もかかってしまったんですけれど、ずっと書くことができなかったのは、心理描写に重きを置きすぎていたからなんです。人間の心理を丹念に描写するのは、私の作風になっているところもあるのですが、あえて主人公の女の子にあまり感情移入せずに書いたところ、スパッと書くことができました。」と述べています。
 書店員のある方の本書の感想にこのようなものがありました。
 「8月に私が勤務していた書店が閉店してしまった。最終日、この作品のラストがずっと頭の中にあった。なくなってしまう店なのに、確かに美しい光を感じた。これは死や終わりの物語ではなく、これから生きていくための物語だ。」
 ぜひ、本作を最初から読んでラスト3ページを堪能していただきたいと思います。
 この本を読んだ後、今、凪良ゆう著「わたしの美しい庭」を読んでいます。
 この中に、こんな言葉が出てきます。
 「自分の陣地が一番広くて、たくさん人もいて、世界の中心だと思っていたり、そこからはみ出す人たちのことを変な人だと決めつける人たち。わかりやすくひどいことをしてくるなら戦うこともできるけれど、中には笑顔で見下したり、心配顔でおもしろがっている人もいる。」
 凪良ゆうさんの作品は、「はみ出す人たちのことを変な人だと決めつけ」ない物語だと本作を読んでも痛感します。
 本作は、1カ月後に地球に小惑星が衝突して人類が滅亡しようとする間を描いた作品です。人間全てがはみ出す人にされようとしている中で、はみ出す人たちが、「生きる」ことを見出す物語です。
 ある書店員さんの言葉ではありませんが、私も本作は「これから生きていくための物語」だと感じました。
 一人でも多くの方に本作を読んでいただきたいと思います。
 既刊で未読の凪良さんの作品を読みながら、凪良さんの次回作を楽しみに待ちたいと思います。
 本屋大賞グランプリ作品の多くは映像化されています。そろそろ、「流浪の月」が映像化されるのではないでしょうか。それも楽しみです。
 「滅びの前のシャングリラ」の映像化は、かなり難しいと思いますが、まずは、漫画コミック化されそうな予感がします。
 これからも凪良ゆうさんを応援していきたいと思います。
 凪良ゆうファンの皆さん、感想をお聞かせ下さい。

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