山口県保険医協会は、8月17日から27日、「第5弾コロナウイルス対策での医療機関への影響に関するアンケート調査結果」を公表しました。
先日、山口県保険医協会に出向き、アンケート結果を見せていただきました。
内容を紹介します。
まず、感染防止用の装備の確保状況についてです。
保険医協会は、「4~5月期と比べると、全体として『不足』は減少し、『充足』が増加した。感染防止に係る装備の供給状況については徐々に改善しつつあるようにみるが、『不足』との回答も相当数あることから、引き続き安定供給に向けて要求する必要がある。」としています。
更に、「マスク、消毒液については、病院で『不足』との回答が多い。これまでも『在庫なし』回答が多かった『④防護服』については、今回も1割以上(12.6%)が在庫なしとしており、歯科では2割近く(18.2%)となっている。」としています。
次に7月の受診状況(前年同月比)についてです。
保険医協会は、「前年同月(7月)に比較して医科、歯科とも『変化なし』との回答が前回より増加している。とくに歯科においては、『変化なし』が34.1%となっており、3月期と同様の割合になっていることから4月6日事務連絡発出前の状況に戻りつつあるようにみえる。しかしながら、依然として医科で8割近く、歯科で6割が『減った』と回答していること、減少率も1~3割減が8割以上のままであることから、4月以降同様の状態が継続しているといえ、必ずしも状況は好転していない。」としています。
次に職員への賞与の支給についてです。
保険医協会は「患者減、収入減の中、賞与の支給状況について確認したところ、7割近くが『前年と同額』と回答している。しかし、『減額』との回答も医科では17%あり、保険収入の減が著しい耳鼻科では、『前年と同額』『前年より減額』が半々となっており(36.4%)、『寸志を支給』したとの回答も見られた。」
次に助成金、融資制度等の申請についてです。
まず、①雇用調整助成金と②持続化給付金について保険医協会は「4割が『申請しない』と回答しており、活用したのはわずかである。しかしながら、持続化給付金は事業収入が前年比で50%減となっている事業所が対象であることから、同制度を申請した医療機関が『検討中』を含めて13.1%となっていることは深刻である」としています。
③医療従事者等慰労金について、保険医協会は「『活用中・申請中』が6割、『検討中』を含めると85%となっており、多くの医療機関が対応している」としつつ「3%とはいえ『申請しない』との回答があることは問題で、申請手続きが分からないとの回答もあり、行政として確実に手続きできるよう援助すべきである」と指摘しています。
④感染防止対策等支援金について、保険医協会は「『活用中・申請中』は25.1%となっている。これも『検討中(47%)』を加えれば、7割以上が対応する状況である」としつつ、「意見の中では『100万円(診療所への支援)では不足』との声もある。また1割以上が申請できない状況にあり、少なくとも、全員が活用できるよう行政としての支援が必要である」と指摘しています。
⑤融資について、保険医協会は「小児科(33.4%)、耳鼻科(27.3%)、歯科(27.2%)の活用が多い(いずれも『検討中』を含む)。」としつつ、「このまま受診状況が好転しなければさらに厳しい状況に追い込まれることにもなり、今後の状況に応じては更なる支援も必要となってくる」と指摘しています。
山口県保険医協会は、アンケート結果をもとに、17日、菅総理大臣、麻生財務大臣、田村厚労大臣、西村経済再生担当大臣に、「感染症対策に向けた国としての十分な手立てを求めます」との以下の要望書を提出しました。
①秋から冬に向けた感染拡大の備えのためにも、感染症病床をはじめとした病床及びそこに従事する人員を確保するとともに、感染防止用の装備など十分な手立てを行うこと。
②PCR検査体制の充実を図り、検査数を大幅に増やすとともに、地域の開業医との連携による円滑な実施体制を確保すること。
③地域医療を守るためにも、医療機関の実質的な減収を補填する財政支援を緊急に行い、少なくとも感染防止による損失(赤字)が生じないようにすること。
④感染拡大を招かないよう、国民に対して感染症についての正しい情報提供と行動提起を確実に行うこと。あわせて、受診控えによる重症化を防ぐためにも、安心して医療機関を受診できるような啓発等にも努めること。
保険医協会は、県内の多くの医療機関の医師が所属している団体です。県内の医療現場の貴重な声として、一般質問や環境福祉委員会の質疑にアンケート結果と要望書の内容を活かしていきたいと思います。
コロナ禍の中で、県内の医療機関が収入の減少で苦しんでいます。皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
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