萩市にある「萩ツインシネマ」で、太田隆文監督の映画「ドキュメンタリー 沖縄戦」を観ました。
観客は私一人。映画を満喫することが出来ました。
映画のチラシから沖縄戦の実態を紹介します。
「戦死者20万656人、県民だけを計算すると、当時の人口の3人に一人が死亡したことになる。そんな戦闘はどのようにして始まったのか?住民がみつめたものとは何だったのか?その歴史の記憶を克明に描く。沖縄戦体験者12人の証言と専門家8人による解説。そして米軍が撮影した記録映像を駆使して紹介。」
様々な証言が出てきましたが、印象的な証言の一つが、対馬丸の沈没事故でした。
本土への疎開のため多くの子どもたちが乗った対馬丸がアメリカの潜水艦によって沈没され1482人が死亡しました。
平良啓子さんは、海に投げ出され、九死に一生を得た経験を語ります。
二つ目は、渡嘉敷島で起こった集団強制死(集団自決)事件です。
吉川嘉勝さんは、渡された手りゅう弾が二つとも不発になり、母から「いつでも死ねるんだから、今は逃げなさい」と言われ、一命を取り留めた経験を語ります。
今日は、8月6日、広島に原爆が投下された日です。被爆75年目の今年であるということは、沖縄戦から75年目の今年であるということです。
地上戦を沖縄で経験したご本人の証言を記録に残すことは極めて重要だと感じました。
この映画は、国民必見の作品だと思います。
最近、映画評論家の春日太一さんの「日本の戦争映画」を読んでいます。
この中で、「激動の昭和史 沖縄決戦」(1971年、監督・岡本喜八、脚本・新藤兼人)が紹介されています。
春日さんは、この映画をこう評しています。
「沖縄島民たちが避難している南部に日本軍も逃げてきたために、米軍によって島民も容赦なく殺されます。その一方で、島民を守るべきはずの軍人たちは全く役立たず、一方的に解散。司令官たちは自決してしまう。そして、島は米軍に蹂躙され続けます。つまり沖縄側からすると、アメリカ軍だけではなく日本軍もまた、自分たちに悲劇をもたらす存在になっているわけです」
「ドキュメンタリー 沖縄戦」の中で、日本軍は島民を守らなかったという事実が何度も出てきます。
島民に対する皇民化教育の中で、米軍の捕虜になるよりは自決が強制されたとの証言が出てきます。
ハワイで暮らしていた島民がいたガマでは、米軍と対話をして、米軍から「島民の命は奪わない」との約束を確かめ、全ての島民の命が守られたとの証言もこの映画で紹介されていました。
沖縄戦で沖縄出身の戦死者は12万2228人、内住民は9万4000人だったと映画の中で報告されています。
住民の死の一つの要因は、集団自決です。母親が子どもを殺した例が多々あったことが紹介されています。
映画の中で、島民は自ら命や家族の命を絶ったのではないことが証言されています。
沖縄では今日、集団自決ではなく、日本軍から強制された「集団強制死」だった事実が専門家から語られます。
この映画の中でも紹介されていました元沖縄知事の太田昌秀さんが書かれた「沖縄鉄血勤皇隊」が私の本棚にあります。
10代の太田少年も沖縄鉄血勤皇隊」の一員でした。
沖縄戦を闘い、九死に一生を得た太田さんはこう書いています。
「同じ戦場から奇しくも九死に一生を得て生き延びた私は、何よりも二度と取り返すことができない若い学友たちの死を悼み、同じ戦場から生き延びた者としてひたすらに生きる意味について考えざるを得なかった。そして生きる意味があるとすれば、それは、絶対に二度と同じ悲劇を繰り返させてはならないと固く決意し、日常生活の場で独自に世界平和創出に努めることだと決意した次第である。そのためには、戦火に巻き込まれて非業な死を遂げた鉄血勤皇隊らの戦場における悲惨な実態を、可能な限り正確に後世に伝えなければならないことも一つの課題に他ならない。」
この映画の製作は、浄土真宗本願寺(西本願寺)でした。
私が役員をしている宗派です。
私の車に、富山県本願寺高岡教区若神組門徒推進協議会が作成された「兵戈無用」のステッカーを貼っています。
仏説無量寿経に「兵戈無用」という言葉が出てきます。意味は「武器をとって争うことがなくなる」という意味です。
私が、念仏者9条の会の活動を行う中で、この言葉に出会い、この言葉を私の信条としています。
「武器をとって争うことがなくなる」社会を、75年前に広島に原爆が投下された日に、私が、映画「ドキュメンタリー 沖縄戦」を観た日に、皆さんとともに実現したいと思います。
日本政府が核兵器禁止条約にサインする日を皆さんとともに実現していきたいと思います。
萩ツインシネマで、今月14日まで、「ドキュメンタリー 沖縄戦」が上映されています。
※萩ツインシネマ 萩市東田町18-4 ヤングプラザビル3階 電話0838-21-5510
一人でも多くの皆さん、ご覧いただければと思います。観られた方は感想をお聞かせ下さい。
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