議員日誌

映画「スポットライト」

 村瀬広著「アメリカが面白くなる映画50本」をガイドに、宇部市内で最大のビデオ店にあるDVDを観ています。
 どの作品も興味をひくものばかりです。
 その中でも「スポットライト 世紀のスクープ」は、引き付けられ続けて一気に観た作品でした。
 仕事がら、真実を追求するジャーナリストを取り扱った作品には魅かれます。
 この本にも紹介されてある「記者たち 衝撃と畏怖の真実」は、西京シネクラブの例会で視聴しました。記者たちがイラク戦争の真実を追及していく場面は、ぐいぐいと引き付けられました。
 本作「スポットライト」は、アメリカ東部の新聞「ボストン・グローブ」の報道が地域と世界に衝撃を与えた実話に基づいた作品です。
 ボストン・グローブが報道したのは、神父の児童への性的虐待事件です。村瀬さんは、この事件について次のように書いています。
 「ボストンのカトリック教会が隠蔽した70人以上の神父による性的虐待に関する記事は、600本にも及んだ。2002年12月、ボストン大司教区の枢機卿は辞任し、イタリアに赴任した。その後、問題は、アメリカ全土に広がり、6427人の神父が1万7259人を虐待したとして罪が問われた。国内だけでなく、世界102の教区での犯罪が明るみに出された。」
 仏教団体の役員をしている者として、宗教家が起こした犯罪の重さについて考えさせられました。

 また、教会が組織ぐるみで犯罪を隠蔽していた事実に驚愕を覚えました。

 事件後、教会が再発防止のためにどのような対応を取ったのか知りたいと思いました。
 村瀬さんは、この映画の意義を更に次のように書いています。
 「ジャーナリズムの大きな使命に権力の監視と暴走の阻止がある。ボストンの場合は宗教権力の闇の暴走だった。それが政治権力よりも複雑なのは、教会が地域住民の精神生活を支配しているからだ。教会を守ろうとする多くの善良な人たちがいる。ボストン・グローブは彼らを敵に回すことも覚悟しなければならなかった。マイク(行動力抜群の熱血漢記者・藤本記入)が取材相手から、『これを記事にしたら、誰が責任をとるんだ』と問われ、『では、記事にしない場合の責任は?』と問い返した素晴らしいセリフも事実そのままという。」
 「記事にしない場合の責任は?」の記事を質問に変えたらこうなります。
 「質問しない場合の責任は?」。私は、自分しか知らない情報を入手した時、「この問題を私が質問をしなかったら」と自問した経験が過去何度もあります。
 地域社会の権力のようなものが質問を躊躇させる時もあります。
 この映画は、真実を追うことの勇気を私に思い起こさせてくれました。
 この映画を見て、今の日本の政治で思い起こす事は、近畿財務局の元職員・赤木さんの手記についてです。
 野党の追及に安倍首相は「調査は完了しており、新たな調査は行わない」と繰り返し答えました。
 新型コロナウイルス感染症に対する政権への信頼が問われる中だからこそ、赤木さんの手記をもとにした森友問題での公文書改ざんの検証を同時に行う時だとこの映画を観て感じました。
 村瀬さんには「映画は戦争を凝視する」との著作があります。この本にも多く秀作が紹介されています。
 引き続き、村瀬さんの著作をガイドとして、世界の名作を視聴していきたいと思います。
 皆さんがお勧めの映画作品をお教え下さい。
 

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