議員日誌

強欲「奴隷国家」からの脱却

 三男が、福岡市内の専門学校に入学し、昨日、入学式が行われました。

 この春から下宿する三男の身辺の物を購入するために、自家用車で参加しました。

 早めに着いて、学校の近くの書店で、同志社大学大学院教授の浜矩子さんの「強欲『奴隷国家』からの脱却」を購入して読んでいます。

 浜先生には、3年前に、宇部市で講演をしていただいたことがあります。

 主催した会の事務局長をしていた私は、浜先生と直接メールで日程や講演内容を調整しました。

 講演当日にお会いしたことを昨日のように思い出されます。

 さて、浜先生は、経済学者としてマルクスの『資本論』の意義をこう評価しています。

 「筆者には、経済事象を人間のドラマとして語りたいという欲求が常にあります。それは、そもそも、経済活動が人間の営みだからです。ところが、ある時期から、近代経済学は人間ドラマを語れなくなった。経済学が科学としての位置づけを確立するためには、定量化や数値化の強化が欠かせない。この発想に基づいて、近経の世界は次第に数字の中に人間の営みを見出す姿勢を失っていきました。こうして、人間の営みである経済活動が次第に人間の営みとして語られなくなる。経済分析のこのようんま傾向への抵抗感の中で筆者の『資本論』への関心が改めて強まったといえるでしょう。資本と労働の間の対峙の本質を解き明かし、資本が労働から何をどう吸い上げようとしてきたのか。それに対する労働者の逆襲がどのような形態をとるのが必然的なのか。これらのことを解明しようとする『資本論』の構えに、改めて関心が深まったのです。」

その上で、浜先生は、今日の「ギグ・ワーカー」(ギグは短時間の労働という意味です。)の問題をこう書いています。

 「マルクスによれば、奴隷は自分が奴隷であることに気づき、その状態から解放されなければならないことを自覚したとき、初めて、脱奴隷化に向かって歩みだすことができるのです。資本主義的生産体制のもとで働く賃金労働者たちは、ベールをかぶった奴隷制度にからめとられています。自ら、このベールをはぎ取らなければ、真の自由人にはなれません。(中略)ギグ・ワーカーたちの奴隷的実態を覆うベールは、ひょっとすると19世紀の工場労働における隠蔽のベールよりも分厚くてむしり取ることが難しいものかもしれません。(中略)こういう時代に対峙して、ここ数年、『資本論』とマルクスをしっかり見直さなければいけないのではないかという筆者の思いは確実に強まってきました。ここまでは、ゆるやかな底流として筆者のなかにあった『資本論』。それがこの時代を迎えたところで力強い奔流となり、筆者の意識の前面にあふれ出てきた。そのような感じです。限界を超えて、無権利状態で働かされている現代の非正規労働者たちと、『資本論』「が出会うべきときがきたのだと思います。立て、万国のギグ・ワーカーたち!」

 消費税増税と新型コロナウイルスの影響で、経営者らに景気のよしあしなどを聴いた3月の全国企業短期観測調査(短観)で、代表的な指標の大企業・製造業の業況判断指数(DI)がマイナス8となりました。

 新型コロナウイルス感染症の影響について、県旅館ホテル生活衛生同業組合が県内86施設に聞いたところ、1~5月の宿泊と会議・宴会のキャンセルによる損害額が22億円に上ることがわかったと今朝の朝日新聞は報じています。

 今こそ、マルクスの「資本論」に学んで、フリーランスの方を含む非正規労働者の権利を擁護すべきときです。

 労働者の皆さん団結してこの困難を乗り越えていきましょう。

 新型コロナウイルスの影響の中での働く皆さんの様々な問題について、お困りのことがありましたら、藤本にご一報ください。

 引き続き、浜先生の著作から学んでいきたいと思います。

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