議員日誌

映画「国家が破産する日」

 西京シネクラブ3月例会で映画「国家が破産する日」を観ました。

 映画のパンフレットの「STORY」の冒頭を引用します。

 「前年にOECD(経済協力開発機構)に加盟して先進国の仲間入りを果たし、韓国中が好況ムードに包まれていた1997年11月15日、韓国銀行の通貨銀行政策チーム長ハン・シヒョン(キム・ヘス)が10日前に提出した貨幣危機に関する報告書が、ようやく総裁の目に留まった。国家破産まで残された時間は7日間。対策チームが急遽招集されたが、『国民に危機を知らせるべきです』と主張するシヒョンに対し、女性蔑視をむき出しした財政局次長パク・デヨン(チョ・ウジン)は『混乱を招くだけだ』と吐き捨てる。結局、対策チーム長である経済首席の判断で、国家破産の危機は非公開とされることになる」

 最初は、専門用語が次々に登場し、「『外貨準備高』ってどういう意味だったかなあ?」など取り残されそうになりましたが、リアリティある登場人物の演技に魅了され、一気に映画の世界に飲み込まれていきました。

 作家の真山仁さんは、映画のパンフレットで「政府だけでなく、金融関係者、そして町工場の社長という三つの視点で物語は進み、国が崩壊していく姿が見事に活写されている。」と書いていますが、まさにその通りだと感じました。

 政府が隠そうとしている危機を独自に察知したのは、金融コンサルタントのユン・ジョンハク(ユ・アイン)です。ジョンハクは、市民講座で政府には「与信」がなくなっていると指摘します。

経済学者の浜矩子さんは、映画のパンフレットでこう書いています。

 「『与信』は、この映画に早い段階で登場するキーワードだ。信用供与の省略形である。要はカネを貸すということだが、この行為を経済用語で信用供与と表現するところが、実に面白く奥深い。経済活動が人間の営みであるからこそ、カネの貸し借りという行為が信用供与となる。なぜなら、人は、信用するに足る人にしかカネを貸さない。信用に足る人からしか、カネを借りない。だから、カネを融通し合うやり取りを与信と呼ぶのである。クレジットカードのクレジットも、要は与信行為を指している。そして、クレジット(Credit)という英語の語源は、ラテン語のクレーデレ(Credere)、すなわち『信じる』という言葉だ、信無きところにカネの貸借無し。そして、信無きカネの貸借が成り立ってしまったところに、人間を幸せに出来る経済活動の本来の姿は見当たらない。このことがこの映画の全ての場面から滲み出ている。」

 浜さんが指摘をする貸借は、個人と金融機関であり、国家とIMFでもあります。

 この映画では、IMFの韓国に対する市場開放や労働者の非正規化など冷酷な6項目についてもしっかり描いています。

 脚本家のオム・ソンミンさんは、パンフレットで次のように書いています。

 「まだ多くの韓国国民が97年の自分の選択によって事業に失敗したり、家族がうまくいかなくなったと考えています。その当時の各自の選択が間違っていたからではなく、国のシステムに問題があったので、それはあなたのせいじゃないというメッセージが励ましになればと思います。」

 政府は、26日、3月の月例経済報告を発表し、国内の景気判断を「足元で大幅に下押しされており、厳しい経済状況にある」と下方修正しました。毎日新聞は社説で政府が景気「回復」を削除した問題について「コロナが原因では済まぬ」と指摘しました。

 作家の真山さんは、コメントの最後にこう書いています。

 「対岸の火事だと思わず、こんな事態が日本で起きないために我々は何をすればいいのか考えてほしい」

 私は、今、真山さんの「オペレーションZ」を読んでいます。

 毎年膨れ上がる国家の財政赤字の膨張が弾ける前に、国家の歳出額を半減するために関係者が奔走する物語です。

 映画「国家が破産した日」に続いて、「オペレーションZ」で日本の財政危機について学びたいと思います。

 

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