HNKのインタビュー番組に、作家の重松清さんと俳優の堤真一さんが出演していました。
重松清さんと堤真一さんのコンビと言えば、NHKドラマになった「とんび」です。
堤真一演じる不器用だが愛情一杯な父親は今でも心に残っています。
重松清さんと堤真一さんが再びタッグを組んだのが、映画「泣くな赤鬼」です。
早速、原作の「泣くな赤鬼」を読みました。
映画を観て泣くことはよくある私ですが、小説を読んで涙を流すことはあまりません。けれど、この小説はボロボロ泣きました。
私は、重松清さんの小説には度々泣かされます。
最初の体験は、私が20代後半の頃に読んだ「定年ゴジラ」です。
定年前後のサラリーマンの悲哀が見事に描かれた作品です。
考えて見れば私もそろそろそのような年になりました。
「泣くな赤鬼」の主人公の赤鬼は、ちょうど私たち世代の公立高校で長年野球部の指導を行ってきた先生。
もう一人の主人公である「ゴルゴ」は、赤鬼が指導する野球部と学校を途中で止めた元生徒。
「ゴルゴ」が高校を中退し、「赤鬼」も学校を変わり、一度も会わなかった二人ですが、病院のロビーで再会します。
私は、中学高校と弱小チームでしたが、それなりに真剣にクラブ活動に取り組んできました。
その経験から、「赤鬼」の苦悩が心にビシビシ届きます。
「ゴルゴ」の苦悩にも共感でき、「赤鬼」と「ゴルゴ」のぶつかり合いは、教室の脇に自分が立って聞いているような臨場感を感じました。
そして、「ゴルゴ」の妻雪乃と赤鬼の会話で、涙が止まらなくなりました。
赤鬼は雪乃に「学校の先生って、生徒をほめてあげることが仕事だと思うけど」と言われ自らをふり返ります。
赤鬼は雪乃からゴルゴが「赤鬼が俺の最後の先生、会いたい」と言っていたと言われ、決心します。
「誰かが見てやらなければならない。ぶざまなところも、みっともないところも、すべて見届けて、それがおまえなんだ、と言ってやらなければならない。その『誰か』を、親以外で引き受けてやれるおとなは、教師しかいないじゃないか、と思うのだ」
映画「泣くな赤鬼」は、14日から上映が始まっています。県内では防府市の映画館で上映中です。
議会が終わったら観に行こうと思います。
重松清さんは、文庫版のためのあとがきでこう書いています。
「僕は教師という職業が大好きで、現実に教壇に立っていらっしゃるすべての皆さんに、ありったけの敬意と共感を示したいと、いつも思っている。けれど、僕は同時に、教師とうまくやっていけない生徒のことも大好きで、もしも彼らが落ち込んでいるのなら『先生なんて放っときゃいいんだよ』と肩をたたいてやりたいと、いつも思っている。矛盾である。」「その矛盾があるからこそ、僕は何作でも何作でも『教師と生徒』を描きつづけていられるのだし、描きつづけていかなければならないのだろう。」
重松さんは、自らを「教師の話をたくさん書いて、親の話をたくさん書いて、子どもの話をたくさん書いた男」と呼ばれたいとも書いています。
時々、重松清さんの小説を読みたくなります。
重松さんは、私より一つ年上です。
私には兄はいませんが、私の心の中で、重松さんは頼れる兄貴です。
これからも重松兄貴、あなたの小説を読んで泣きたいと思います。
重松清さん「泣くな赤鬼」を書いていただき、ありがとうごさいました。
重松清ファンの皆さん、好きな小説をお教え下さい。
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