今週から、NHKのEテレの「100分de名著」で取り上げられている本はオルテガの「大衆の反逆」です。
進行役は、東京工業大学教授の中島岳志さんです。
月曜日に放映された映像を昨日視聴しました。
オルテガは、1883年にスペインで生まれた哲学者です。
「大衆の反逆」は、ファシズムがヨーロッパに広がりつつあった時代に書かれました。
オルテガは大衆についてこう書いています。
「大衆とは、みずからを、特別な理由によって-よいとも悪いとも—評価しようとせず、自分が『みんなと同じ』だと感ずることに、いっこうに苦痛を覚えず、他人と自分が同一であると感じてかえっていい気持ちになる、そのような人々全部である。」
更に、オルテガは、「人間の生のもっとも矛盾した形態は、『慢心した坊ちゃん」という形態である。『慢心した坊ちゃん』とはとてもんく異常なものだということがはっきりわかると思う。なぜなら、かれは、自分がしたい放題のことをするために生まれおちた人間だからである。」と書いています。
中島さんは、オルテガが言う「慢心した坊ちゃん」について次のように解説しています。
「邪悪な人間は、自分が悪いことをしているという自己認識がある。それに対して、愚かなる人間の愚かさは自己に対する過信によって成り立っているから、決して『治る』ことはないというわけですね。ここで言う『愚か』とは、偏差値が低いとか知識がないということはまったく関係がなく、あくまで『自己過信』のことです。自らの限界に気づかず、その能力を過信して『なんでもできる』と勘違いしている。自己懐疑の精神をまたず、『正しさ』を所有できると思っている。そして、そうした大衆の根拠になるのかとオルテガは言い、彼らを自分が多数派だということにあぐらをかいている『慢心した坊ちゃん』と呼ぶのです。」
「大衆の反逆」は、1930年に書かれた本であるのに、今の世界や日本の状況に正確な警鐘を鳴らしていると思います。
「自分の限界に気づかず、その能力を過信して『なんでもできる』と勘違いをしている。」
「自分が多数派だということにあぐらをかいている『慢心した坊ちゃん』」
麻生財務大臣は、3日、福岡県内での講演会で、少子高齢化問題を取り上げ「いかにも年寄りが悪いみたいなことをいっている変な野郎がいっぱいいるけど、それは間違っていますよ。子どもを産まなかったほうが問題なんだから」と述べました。
麻生氏は、4日の衆院予算委員会で「誤解を与えたとすれば撤回する」と答弁しましたが、看過できない発言です。
一人ひとりが自分らしく生きる権利を麻生氏は全く理解していない発言です。
この発言は、まさにオルテガが言う「慢心した坊ちゃん」の発言と言えるのではないでしょうか。
90年前に書かれたオルテガの「大衆の反逆」を、敬愛する中島岳志さんからしっかり学んでいきたいと思います。
そして、今の政治に生かしていきたいと思います。
100分de名著「オルテガ『大衆の反逆』」をご覧になっての感想をお聞かせ下さい。
No comments yet.
コメント公開は承認制になっています。公開までに時間がかかることがあります。
内容によっては公開されないこともあります。
メールアドレスなどの個人情報は、お問い合せへの返信や、臨時のお知らせ・ご案内などにのみ使用いたします。また、ご意見・ご相談の内容は、HPや宣伝物において匿名でご紹介することがあります。あらかじめご了承ください。