NHKラジオ「すっぴん」。パーソナリティーの高橋源一郎さんの「源ちゃんの現代国語」で少し前に紹介されていたのが、大来る尚順さんの「訳せない日本語」でした。
大来さんは、山口県の浄土真宗本願寺派のお寺で生まれ、アメリカで仏教を学んだ方です。
現在は、僧侶であり、仏教の通訳や翻訳の仕事をされています。
この本には、大来さんが出会った「訳せない日本語」の数々がエピソードとともに語られています。
大来さんは、僧侶でもあるので、仏教に基づく解釈も加えられています。
この本から、二つの言葉を引用しようと思います。
一つは、「おかげさま」です。英語では「Because of You」が近い意味の翻訳になるそうです。
大来さんは、「おかげさま」についてこう書いています。
「『おかげさま』に、漢字を当てはめると『御蔭様』となります。この『御蔭』は、元来『神仏の加護に感謝する』といった意味を持ちます。つまり、『おかげさま』という言葉には『目には見えないさまざまな支えによって』という自己顕示欲を反省し、また自分を支えてくれている『ご縁』というものに感謝する精神が流れているのです。」
その上で、大来さんは、「『おかげさまで』という日本語を作りだした精神の根本とは、一体何なのでしょうか。」と問い、次のように書いています。
「これは、今日のようなテクノロジーや文明などがなかった時代に、自然の中で生き抜いてきた日本人の独特の感性に関係していると思います。地震などの自然災害の多い日本では、度重なる苦難の結果、人は自然には逆らうことはできなことを理解してきたのではないでしょうか。その証拠として、古来、日本では山川草木には神や精霊が宿るとして、すべてのものに対して感謝と畏怖の念を持って崇拝してきました。これがいわゆる日本のアニミズムというものです。思うように支配できない大いなる自然の力を前にし、平和な生活を願うとき、人は目に見えない力に頼らざるを得なかったのではないでしょうか。」
昨日は、父の13回忌を私の家族と母と姉たちの家族で行いました。
「人が自然に逆らうことができない」の最たるものは、「死」ではないかと思います。
だからこそ、亡くなった父へ感謝の気持ちを持って仏壇に手を合わせました。
大来さんは、「合掌」という言葉についてこう書いています。
「人は、忙しい日常生活では、自分の初心や足元を忘れがちになり、ときとして一時的な感情に任せて誤った判断をしてしまいがちです。そんなとき、仏壇に手を合わせることで、亡き人の生前の教えや思い出を噛みしめ、自己の反省をしたり、冷静な自分を取り戻すのです。」
先日も故郷の父と同年代の方から、「あなたのお父さんとの楽しかった出を、今でも思い出す。」と話していただきました。
仏壇に向かい合掌し、「おかげさま」と心で父と話す昨日でした。
今日は、高校の同窓会です。同級生と交流をし、自分の初心や足元を見つめなおしたいと思います。
皆さんは、どのような盆をお過ごしでしょうか。お教え下さい。
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