引き続き、孫崎亨さんの「21世紀の戦争と平和」を読んでいます。
孫崎さんは、安保条約の条文を引きながら「多くの日本人には驚きでしょうが、米国は厳密な意味で、安保条約上、日本を防衛する義務は負っていません。」と断言しています。
1951年締結の旧安保条約にはこう書いてあります。
「この軍隊は、(略)日本国の安全に寄与するために使用することができる」
孫崎さんは、「『使用することができる』と言うのは、法律上の義務ではないということを意味します。」と述べています。
旧安保条約の交渉担当者、ダレスは「フォーリン・アフェアーズ」誌1952年1月号でこう述べています。
「米国は日本を守る義務をもっていない。間接侵略に対応する権利はもっているが、義務はない」
では、1960年に改定された安保条約ではどうでしょうか。
安保条約第5条にはこう書かれています。
「自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する」
孫崎さんは、「安保条約は『米国議会がOKをしたら戦争します』と言っているのにすぎません。」と解説しています。
2005年、日本の町村外務大臣と大野防衛庁長官と、米国のライス国務長官とラムズフェルド国防長官は、「日米同盟 未来のための変革と再編」という文書に署名しました。
この中に「日本は自らの防衛について主導的な役割を果たしつつ、米軍によって提供される能力に対して追加的かつ補完的な能力を提供する」という文章があります。
孫崎さんは、「これを形容詞を除いた英文で解釈すると『日本は自分を守る』「米国は日本の防衛に必要なすべての支援を行う』となります。つまり、『戦う』のは日本であって、米国は『支援する』というのが基本的な枠組みです。」と述べています。
2015年に改定された「日米防衛協力のための指針」に、「日本は、日本の国民及び領域の防衛を引き続き主体的に実施し」「米国は、日本と緊密に調整し、適切な支援を行う」とあります。
孫崎さんは「『本は、日本の国民及び領域の防衛を引き続き主体的に実施し』(中略)これを正確に邦訳しなおせば『日本は日本の国民及び領域の防衛のための主体的責任を負う』」となると解説しています。
その上で、孫崎さんは、「安倍政権は集団的自衛権の成立によって米軍の抑止力が増したと説明していますが、日米間の合意で、米国が日本防衛に関して新たに約束したことは実はなにもないのです。」と述べています。
トランプファーストともいえる外交姿勢の安倍政権ですが、日米間の根本的関係の変更は何もないことを私たちは知らなければならないと痛感しました。
安保法制=戦争法とは何かを根本的問い直さなければならないと痛感しました。
皆さんは、この日米間の合意をどうお考えですか。
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