議員日誌

「戦争の大問題」読書ノート①

 選挙中、ゆっくり読めなかった本を今、じっくり読んでいます。

 その中の一つが、丹羽宇一郎さんの「戦争の大問題」です。

 丹羽さんは、この本の「はじめに」でこう書いています。

 「戦争を知って、なお戦争も辞さずと主張するのなら、私とは相容れない意見ではあるが、それも一つの意見として聴こう。しかし、戦争を知らずに戦争して他国を懲らしめよという意見はまったく尊重に値しない」と書いています。

 その上で、丹羽さんは、戦前戦中の日本政府について「国民の生命と財産を守るべき政府としての役割を果たさず、冷静に考えればあり得ない判断、あり得ない政策を実行している。」と述べて、「国を無謀な戦争へ突入させた国の経営者が、やめどきを見極められず徒に被害を大きくさせる。現代に日本であっても、こうしたとんでもないリスクは消滅していないのだ。ひとりの元経営者の最後の言葉として、心に刻んでいただければ幸いだ」と書いています。

 戦争法を成立させ、今、北朝鮮に対して圧力ばかりを強めようとする安倍首相には、この本を読んでいただきたいと思います。

 これまで、読んだ中で、特に印象に残ったのは「相手を見下す危険」の章です。

 「差別や蔑視が戦争を引き起こす直接の要因になることはない。しかし、戦争に向かって背中を押す力、戦争を拡大させる要因にはなる。」「相手を下にみる、人として見ないという精神は、ただ差別というだけにとどまらない大きな危険をはらんでいる。人は同じ種である人を殺すことは本能的に強い抵抗がある。しかし、相手を人として下等に見る、人間扱いしないほど侮蔑することで殺人に対する抵抗感が薄くなるという。同胞相手には到底できないような残虐な行為、略奪、放火という犯罪行為でも、人ではないと見下している相手には強い抵抗なくできるようになる。ある国民を差別、侮蔑することは、戦争という殺し合いに対する安全装置を外すことにつながるのである。」

 丹羽さんは、「グローバル化、ダイバーシティと言っていながら、中国や韓国のことはお互いの違いを認めず感情的な決め付けで臨むのでは、到底、国際社会でもやっていけないだろう。」と日本の方向性を厳しく批判しています。

 私は、長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会の役員として韓国の遺族の方々との交流を続けています。

 2013年に会が定めた追悼文は「私たちは、このような悲劇を生んだ日本の歴史を反省し、再び他民族を踏みつけにするような暴虐な権力の出現を許さないために、力の限り尽くすことを誓い、ここに犠牲者の名を刻みます。」と最後に書いています。

 トランプ米大統領が訪日しますが、相手を見下し、圧力を強め、突発的な衝突は絶対に避けるべきだとこの本を読んで痛感しました。 

 さて、この本は、多くの戦争体験者の言葉が引用されています。

 戦争の真実を探る努力がされています。引き続き、「戦争の大問題」を学びます。

 

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