議員日誌

辺野古訴訟・最高裁判決とは何だったのか

 山口県と岩国市は、岩国基地問題に対して「普天間基地移設の見通しが立つ前に、厚木から空母艦載機部隊のみを切り離して岩国に移駐することにはできない」とする基本スタンツを堅持しています。

 現在、空母艦載機部隊の一部であるE2Dが、岩国基地に配備されて訓練を始めるなどの「先行移駐」が始まる実態です。

 この間、空母艦載機部隊の移駐の説明のために来県した岸外務副大臣らは、「辺野古訴訟・最高裁判決」を根拠に、「普天間基地移設の見通しが立った」と説明しているようです。 

 「最高裁判決に従い、名護市辺野古沖への移設工事を進めていく」と安倍首相は、1月20日の施政方針演説で、沖縄県が米軍新基地建設に伴う名護市辺野古の埋立承認を取り消したのは違法だとした最高裁判決(昨年12月20日)を挙げて、新吉建設を正当化しました。

 2月5日付しんぶん赤旗日刊紙で、最高裁判決は何だったのか。早稲田大学大学院法務研究科教授(行政法)の岡田正則さんは、次のようにインタビューで答えています。

 質問:この判決は、新基地建設を進める国側にお墨付きを与えたといえるのでしょうか。

 岡田教授:そのような見方は、まず、判決の役目を誤解しています。今回の最高裁判決は、翁長知事が埋め立て承認取り消しを取り消さないことの「違法性」を確認しただけです。知事は昨年末、埋め立承認を取り消したことで判決に完全従ったと言えますし、辺野古新吉建設を進める国の方針に従う義務は一切ありません。次に、昨年3月の国と県との間の和解条項を根拠に、「最高裁判決が確定した以上、国の言い分に全面的に従うのが筋だ」というのもまったくの誤解です。今回の訴訟の前に、国交相は代執行訴訟を提起しました。翁長知事の代わりに承認取り消しを取り消すための訴訟です。しかし、国側敗訴の可能性があるということで昨年3月4日、国は裁判所の和解提案に応じて裁判を取り下げました。この若いは、国交相の是正指示に対して県知事が不服の訴訟を提起することを前提としていました。しかし、訴訟前の手続きである総務省の国地方係争処理委員会の審議において「円満解決のために、国は県とよく話し合って解決しなさい」という決定が出されました。沖縄県側はこれに従って国に協議を申し入れ、訴訟を起こしませんでしたが、国側が協議を拒否して今回の訴訟を起こしたのです。したがって、この時点で和解の前提は崩れ、和解条項の効力は失われたといえます。和解条項は、形式上も、そして内容の点でも、知事の権限行使を縛るものではないのです。

 質問:知事の権限として埋め立て承認「撤回」への期待が高まっています。

 岡田教授:翁長知事が撤回に踏み切るためには、前知事が埋立承認をやったあとの事情の変化を挙げる必要があります。公有水面埋立法4条1項には埋め立て承認の要件が定められています。例えば、その1号要件である「国土利用上」の「適正・合理」性についていえば、そもそも沖縄県は加重な基地負担を強いられています。新たな基地を造ることは不合理としか言いようがありません。加えて、新基地で運用されるオスプレイが昨年末、名護市の浅瀬で墜落しました。危険性が明白になったことで埋め立て承認当時の事情の変化を説明することは可能です。

 翁長知事は、1月20日のシンポジウムで「今後も新基地建設を進める上では、政府はいくつもの許認可を県や名護市に申請しなければならない。しっかり対処する中、撤回も含めて視野にいれながら、新基地は絶対に造らせない」と述べています。

 政府は、沖縄県との和解協議の最中に自治体や住民が拒否している新基地建設を強行するために訴訟を起こしました。

 今回の最高裁判決は新基地建設をすすめる国にお墨付きを与えたものでは決してなく、知事に「撤回」の権限や許認可権限が残されているのです。

 総じて、国が山口県や岩国市が説明するように、今回の最高裁判決を根拠に「普天間基地移設の見通しが立った」と言える状況ではありません。

 であるならば、山口県や岩国市は、最高裁判決を根拠に、空母艦載機部隊を受け入る判断をすべきではありません。

 今でも、普天間基地移設の見通しは立っていない訳ですから、空母艦載機部隊のみを切り離した先行移駐は、受け入れるべきではありません。

 辺野古訴訟・最高裁判決とは何だったのか。皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

 また、空母艦載機部隊の岩国移駐に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

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