議員日誌

マチネの終わりに

 「空白を満たしなさい」で深く感動し、平野啓一郎さんの最新作「マチネの終わりに」を読んでいます。

 本作は、15万部を突破し、感動が日本中に広がっていることを嬉しく思います。

 平野さんは、本作について次のようなメッセージを書いています。

・・・

小説の中心的なテーマは「恋愛」ですが、
そこは僕の小説ですので、
文明と文化、喧噪と静寂、生と死、更には40代の困難、父と娘、
《ヴェニスに死す》症候群、リルケの詩、……といった、
硬軟、大小様々なテーマが折り重なって、重層的な作りになっています。
もちろん、全篇にわたって音楽の存在は重要です!
『透明な迷宮』以来、「ページをめくる手が止まらない」小説ではなく、
「ページをめくりたいけどめくりたくない、
ずっとその世界に浸りきっていたい」小説というのを考えてきました。
何かとくたびれる世の中ですが、
小説を読むことでしか得られない精神的なよろこびを、改めて、
追求したいと思っています。 

・・・

 私は、最近、平野啓一郎さんの作品を読み始めて、自分が「ページをめくる手が止まらない」小説ばかり読んできたことに気付きました。

 本作を読んでまさに「小説を読むことでしか得られない精神的なよろこび」を感じています。

 サスペンスでもミステリーでもないのだけれど、本作を読みながら、何度も「え」とか「あ」とか、声を出してしまう場面に出会います。

 それだけ、小説の世界に自分自身が入り込んでいたのでしょう。

 400ページの本ですが、今300ページあたりを読んでいます。

 本の帯に、「ずっと余韻に浸っていたくて他の本に手がつきません」という読者の感想がありましたが、この本を読んだ後は、「マチネの終わりに」ロスになりそうな気持は、ここまで読んだだけでよく分かります。

 この小説は、「ここにあるのは、蒔野聡史と小峰洋子という二人の人間の物語である。」で始まります。

 小説の終わりで、二人はどのようなラストを迎えるのでしょうか。

 こうなってほしいという期待は私の中にあるけれど、本当にどうなるのか分かりません。

 それこそが、小説を読むことでしか得られない精神的なよろこびでしょう。

 実は、昨日、書店で、平野啓一郎さんの小説「ドーン」を注文しました。

 平野啓一郎作品を少しづつ読み進めるのが、私の最近の生き甲斐となっています。

 平野啓一郎ファンの皆さん、好きな作品をご紹介下さい。

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