議員日誌

空白を満たしなさい

 平野啓一郎さんの「空白を満たしなさい」を読み終えました。

 上下巻で文庫版で600ページを超える大作でしたが、私の40年を超える読書生活の中でも大きなインパクトのある作品でした。

 50代になった今、この本に出合えた喜びを感じています。

 この本で、平野さんは、「分人」という考え方を提示しています。

 作中、自殺した徹生に、NPO法人を運営している池端が語りかけます。

 「人間は、生きていくためには、どうしても自分を肯定しなければならない。自分を愛さなくては、生きていくのが辛くなってしまう。しかしですよ、自分を全面的に肯定する、まるごと愛するというのはなかなか出来ないことです。よほどのナルシストじゃない限り、色々嫌なところが目についてしまう。しかし、誰かといる時の自分は好きだ、と言うことは、そんなに難しくない。その人の前での自分は、自然と快活になれる。明るくなれる。生きていて心地が良い。全部じゃなくても、少なくても、相手が、二人、三人いるなら、足場は二つになり、三つになる。だからこそ、分人化という発想が重要なんです。」

 私も分かりかけたばかりの「分人」という考え方ですが、人が穏やかに生きていく上で大切な考え方だと思えます。

 平野さんは、「分人」という考え方を新書や対談集でも紹介されているようなので、深めていきたいと思います。

 心理学や精神科医療でも活用できるのではないと思いました。

 平野さんは、今年1月24日のしんぶん赤旗日刊紙の「2017いま言わなければ」に登場されています。

 「状況は切迫しています。いまの政権に対峙して改憲をやめさせるには、小選挙区制のもとでは、野党が共闘する以外にありません。社会保障の充実、多様性の用語、経済的格差をできるだけなくすことを野党共闘の理念に掲げてほしい。特に、日本社会からやさしさが消えています。働いてない人間は社会保障費を使って、社会に迷惑をかけているという論調はほんとうにいやですね。全体主義的です。人間は多様な存在で働けようと働けまいと、家族の一員として、友人として、社会にとってかけがえのない存在です。経済学的にみても、国民は労働力であると同時に消費者でもあるんです。消費者として健全でないと内需はいつまでたっても拡大しません。」

 「共産党には、主張が一貫して合理的というイメージを大事にしてほしいですね。今の首相の差別化をはかる意味で、科学的な知的で品性がある、尊敬される存在になってください。」

 今、平野啓一郎さんの最新刊「マチネの終わりに」を読んでいます。

 厳しい現実社会の中でやさしさを問い直す平野啓一郎作品を今年、少しづつ読んでいきたいと思います。

 平野啓一郎さんに対する皆さんの想いをお聞かせ下さい。

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