1980年代に米国政府の解禁文書が公開され、安保条約に対数の密約が日米間で存在することがわかってきました。不破哲三さんや元日本共産党幹部会委員の新原昭治さんなどによって一つひとつ密約のベールがはがされてきました。
半世紀前に「表の条約」(安保条約)と「裏の条約」(密約)が締結されて今日どうなっているのか、志位和夫委員長は、著書「綱領教室」(第1巻)で検証しています。
「密約は、多岐にわたって存在することが明らかになっていますが、今日は、「核密約」問題に限って書いていきたいと思います。
1960年1月6日、藤山外相とマッカーサーとによる「討論記録」は、「装備における重要な変更」は日米間で事前協議することを確認した「岸・ハーター交換公文」に対する「密約」だったことが明らかになっています。
「討論記録」には、「核兵器及ぶ中・長距離ミサイルの日本への持ち込み(イントロダクション=本格的配備)並びにそれら兵器のための基地の建設」は「装備における重要な変更」になるので「事前協議」の対象になるが、合衆国軍隊とその装備の日本への配備、合衆国軍用機の飛来(エントリー)、合衆国艦船の日本領海や港湾への立ち入り(エントリー)に関するものは現行の手続きに影響を与えるものとは解されない」とあります。
志位委員長は、「核兵器を日本国内に本格的に備え付けて配備するというようなことですが、これは『事前協議』の対象にする。しかし、ここで『エントリー』といっている、核兵器を積んだ軍用機が日本の基地に『飛来』したり、核兵器を積んだ空母など艦船が日本の港湾に『立ち入り』をおこなうことなどは、『事前協議』の対象としないで、いままでどおり自由勝手にやってもらって結構ですということが取り決められているのです。」と書いています。
不破委員長(当時)が、2000年の党首討論で、「討論記録」を突きつけてただしましたが、自民党政権は、「いかなる密約もありません」と強弁しました。
民主党が政権2010年、志位委員長が政府に対する「質問主意書」で「討論記録」の存在を質しました。
鳩山首相名の「政府答弁書」は、「討論記録」は、「不公表とすることとして両政府の間で作成された合意文書」であることを認めるにいたりました。
ところが、民主党政権は、「核密約を廃棄するつもりはない」との姿勢を取りました。
志位委員長は、政府の「核密約を廃棄しない」姿勢には重大な二つの問題があると指摘しています。
「一つは、『核密約』というのは、日本政府に対して、核兵器を積載した艦船や飛行機を『事前協議』なしに日本にでき利させる権利を、条約上の権利として認めたものです。ですから、日本政府が『核密約』を廃棄する立場をとり、それを実現する実効的な措置をとらないかぎり、なくなるものではありません。日本が『核密約』を廃棄しなかったら、アメリカは『核密約』の権利をいつでも好きなときに行使してくることになります。核兵器を積んだ艦船や飛行機をいくらでも、好きなときに日本に出入りさせることができることになります。
いまひとつは、『核密約』を廃棄しませんと、結局、アメリカの『核の傘』から抜け出せない立場になりますから、被爆国の政府でありまながら『核兵器のない世界』-核兵器廃絶のためのまともな国際的な仕事は何もできないということになります。たとえば、『核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議』が、毎年、国連総会に提出され、圧倒的多数で可決されています。ところが、日本政府は『棄権』を続けたままです。」「『核密約』の問題について、『討論記録』の存在まで認めたけれど、それを廃棄するという立場に背を向けているために、被爆国の政府としてあるまじき態度をとり続けているのです。」
志位委員長がこの本をまとめたのは、2013年。その後、自民党に政権は戻りましたが、「核密約」を廃棄する立場ではありません。「核兵器のない世界」とは言うが、「核兵器禁止条約」を締結する問題では後ろ向きの態度に終始しています。
その背景に、「核密約」問題があるとすれば、安倍政権は、「核兵器のない世界」の実現のために、まずは、日本とアメリカの間にある「核密約」を廃棄するためにアメリカとの交渉を開始すべきです。
日本とアメリカとの間に、核兵器を持ち込める核密約なる「討論記録」の存在が明らかになっています。
皆さんは、この問題をとう考えますか。
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