毎日新聞の「検証熊本地震」シリーズ5(15日付)は「安全うたい企業誘致」とのリードで興味ある記事でした。
「『過去120年間(M7以上)の地震は発生していない』『地震保険の保険料は全国で最低ランク』。こんなうたい文句を躍らせ、熊本県が企業誘致を目的に開設したインターネット上のサイト『企業立地ガイドKUMAMOTO』が、熊本地震で2度目の最大震度7を観測した4月16日の『本震』の数日後、ひっそり削除された。」
山口県の企業誘致を目的に開設したインターネットのサイト「山口県企業立地ガイド」はどうでしょう。
山口県のセールスポイントの一つに「優れた立地環境-リスク分散の適地(気候・地震・電力供給)」を挙げています。
優れた立地環境のバナーをクリックすると、「地震のリスクが少ない県(全国3位の少なさ)」が出てきます。
「地震など自然災害が少ないことも山口県の魅力のひとつです。下関地方気象台で震度観測記録が残る大正12年(1923年)以降の地震回数は693回であり、これは、佐賀県(440回)、富山県(469回)に嗣全国3位の少なさとなっています。震度6弱以上のゆれが発生しておらず、震度5以上もわずか6回となっております。(平成25年(2013年12月31日現在)地震調査研究推進本部『全国地震予測地図(基準日:平成25年(2013年)1月1日)』によると、今後30年以内に山口市で震度6弱以上の揺れが起きる確率は3.8%と、全国でも低くなっています。また、地震保険基準料の算定を行う『損害保険料算出機構』の保険料ランク付等地別で、山口県はもっとも低い1等地に区分されています。」
山口県の企業誘致のサイトで今後ともこのような地震に対する安全性をうたい続けていいのかを私は問いたいと思います。
毎日新聞の記事を更に引用します。
「熊本地震で4月16日の『本震』の震源となった布田川断層帯(布田川区間)は、今後30年以内の発生確率は『ほぼ0~0.9%』とされていいた。ごく低い確率にしか思えないこの数字が意味する発生確率は『やや高い』だ。地震本部は発生確率が3%以上を『高い』、0.1%以上3%未満を『やや高い』と位置づけている。阪神大震災直後の六甲・淡路島断層帯の一部の確立を、発生後に計算したところ、0.02~8%で『高い』だった。」
この記事から山口市の地震本部の発生確率3.8%を検証すると「高い」に位置します。
発生確率0.9%の布田川断層帯でM7以上の地震が発生したことから、国の地震調査研究推進本部の発生確率の数値そのものの見直しが必要だと思います。再検討された数字が明らかになるまで、熊本地震を受け、山口県は、地震調査研究推進本部の数値をもとに安全をうたい企業誘致を進めようとする表現は削除すべきではないかと思います。
その上で、熊本地震の発生を受けて地震調査研究推進本部の山口市の発生確率は「高い」に分類されることを山口県の企業立地ガイドに書き加えるべきだと思います。
いずれにしても、熊本地震を受け、山口県の企業立地ガイドの中で、数点の根拠を持って「地震のリスクが少ない県」とうたっている点については、それぞれのデータの根拠が妥当なのかどうか再検討すべきだと思います。
山口県は企業立地ガイドに「地震のリスクが少ない県」と打ち出しています。
皆さんは、山口県の企業立地ガイドについてどのようにお考えですか。お教え下さい。
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