昨日、長生炭坑水没事故74周年犠牲者追悼集会が宇部市内で行われました。
主催は、長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会(以下刻む会)です。
私は、刻む会の運営委員として初めて迎える追悼集会となり、集会の運営スタッフを務めました。
第一部の追悼式は、11時から水没事故現場付近に設置されている追悼ひろばで行われました。
今年の集会には、韓国仏教宗団協議会から約60人の僧侶が来られました。
韓国仏教宗団協議会会長であり、大韓仏教曹渓宗の慈総務院長は、「御霊よ! あなた方の子孫として韓国仏教代表団は、傷ついた名誉を回復し、歴史の真実を伝えるために、そして、深い傷を完全に治すために、さらに邁進します。個人の犠牲が人類の教訓として残り(伝えられ)、二度とこのような悲劇が繰り返されないように、全ての生き物が安穏で平和な生活を享受できますように、宗教者としての責務を果たしてまいります。」と挨拶しました。
韓国仏教宗団協議会の慈会長による追慕の辞
韓国仏教宗団協議会の僧侶は、薦度祭を行いました。薦度祭の中では、二人の僧侶の舞儀式も披露されました。
韓国仏教宗団協議会の僧侶2人による舞儀式
僧侶を含め、約170名が、犠牲者の冥福を祈りました。
二部では、強制労働犠牲者追悼・遺骨奉還委員会共同代表(以下遺骨奉還委員会)で浄土真宗本願寺派一乗寺の殿平善彦住職を講師とする講演会が行われました。
遺骨奉還について報告する殿平委員会共同代表
強制労働の犠牲者になった、韓国出身者の遺骨115体を韓国に奉還する取り組みが、昨年9月北海道を出発しました。
殿平さんは、遺骨奉還委員会の共同代表として、韓国までの3500キロの道のりを詳細に話されました。
北海道を出発した遺骨は、東京、大阪、広島を経由して、下関市の光明寺での追悼会を経て、関釜フェリーで釜山港に到着しました。
9月19日、ソウル市庁前広場で行われた葬儀には、約1000人の参拝者が集いました。
カトリック、プロテスタント、円仏教、韓国仏教、日本仏教による追悼が行われ、ソウル市長が挨拶を行いました。
115体の遺骨は、玻州市ソウル市立墓地に納骨されました。
殿平さんは「私たちは政府や企業に代わって遺骨を届けたのではない。政府や企業は、むしろこの度の遺骨奉還を契機にして改めて自らの責任を自覚していただきたい。政府や企業には法的な責任が発生する。政府企業の責任ある対応なしに遺骨問題の根本的な解決はあり得ない。」と述べました。
殿平さんは、「遺骨奉還を人が人を殺す社会から命を尊ぶ社会に転換していく契機としたい。この集会にも加害・被害両方の立場からの参加があるが、一同に介して話し合う意義は大きい。」と語りました。
私も浄土真宗本願寺派の門徒の一人として、殿平さんから「兵戈無用」の仏教の精神を深く学ぶことが出来ました。
私は、その後に行われた韓国の遺族の皆さんとの懇親会に参加し、遺族の皆さんとの交流を深めました。
先の敗戦から71年を迎え、水没事故から74周年が経過しました。
しかし、遺骨は海の中に遺されたままです。
遺骨を回収し、ご遺族にお返しするという大きな任務が、刻む会にあることがよくわかりました。
政府などの責任を問いながら、粘り強くこれからも運動を継続させていきたいと思いました。
「遺骨を遺族に返還する」という大きなライフワークをいただきました。
昨日は、私の人生の一つの転機となる一日でした。
まずは、74年前の悲劇を多くの方々に知っていただきたいと思います。
現地を見学したい方は私まで申し出ていただければ幸いです。
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