先日映画館に寄ったら私の大好きな監督の一人である中村義洋監督の最新作が「残穢」で、来年1月30日に封切られることを知りました。
「残穢」の原作は、小野不由美さん。10年以上前、小野さんの「十二国記」シリーズを読んでいたことを思い出しました。
久しぶりに小野不由美さんの作品=「残穢」を読みました。
主人公の私は、小野不由美さん自身。
小説は、ドキュメンタリータッチに描かれています。
話は、久保さんの家で、畳をする音がすることに端を発します。
相談を受けた私は、音の正体を探っていきます。
正体の先は九州にまで及びます。また、時代は大正から明治に遡ります。
文庫本の解説で怪奇幻想文学研究家の中島唱也さんは、「そこで掘り起こされるのは、破壊と建設を際限なく繰り返すことで築き上げられてきた近現代社会の発展の陰に埋もれてしまった、名もない人々のはかなく無残な死に様である。それはわれわれ現代人が盤石なものと思い込んでいる現在の都市の町並みも人々の営みも、いずれ消えてゆく仮象でしかないという事実を突きつけるとともに、われわれ誰もが遠い先祖から受け継ぎ心の奥底に抱いている、死に対する不合理なまでの強い恐れを呼び覚ます。」と本作品を評しています。
現代人が忘れてしまった社会の陰を小野さんは見事に描いていると私も思います。
この作品は、山本周五郎賞を受賞しました。選評で唯川恵氏は「実は今、こお本を手元に置いておくことすら怖い。どうしたらいいものか悩んでいる」と述べています。
私は、この本をホラー小説というよりも、現代社会で死を考えるドキュメンタリー小説として興味深く読みました。
ホラー小説好きな皆さんはぜひご一読を。
この勢いで、今、小野さんの「屍鬼」を読んでいます。この作品は、漫画やアニメにもなっています。
当然のごとく、娘と一緒にアニメ「屍鬼」を読んでいます。
怖いという点では、「屍鬼」の方が怖い感じがします。
年末年始は、小野不由美ワールドの中で送ることになりそうです。
「十二国記」シリーズは新潮社版が刊行される中で加筆されているようです。
10数年ぶりに「十二国記」シリーズの世界にも浸りたいと思っています。
とにかく長い作品なので、根気強く読んでいきたいと思います。
「残穢」の後半で、私が体調を崩す場面が出てきます。
小野不由美さん’のお体を心配してしまいます。
昨年末「営繕かるかや怪異譚」が刊行されているということで安心しました。
小野さんは、大谷大学出身で、「残穢」の中にも悪人正機の解説など適確に書かれていることに敬服しました。
浄土真宗を勉強中の身としても大変参考になる「残穢」でした。
小野不由美さんには引き続き面白い作品を世に送っていただきたいと思います。
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