木村大作監督の映画「春を背負って」を観ました。
09年の木村監督の映画「劔岳 点の記」をビデオで観て、次回作は是非劇場でという願いが実りました。
木村監督は、キャメラマンとして映画人生56年。初仕事は、黒沢明監督の「隠し砦の三悪人」(58年)だといいます。
監督作品としては、二作品目ですが、とにかく映像の美しさには舌を巻くほどです。
立山連峰の春夏秋冬がスクリーン一杯に描き出されていました。
この映像を見るだけでも、日本に生まれてよかったと思わせてくれます。
松山ケンイチ演じる主人公の亨は、エリートサラリーマンだった立場を捨て、亡くなった父の跡を継ぎ山小屋の主人になります。
蒼井優演じる愛は、親族の死を経て生きる希望を見失い山を彷徨っていたところを亨の父に救われ、山小屋を手伝うようになります。
豊川悦司演じる吾郎は、自ら経営していた建築会社が倒産し、放浪の生活を経た後、大学山岳部の先輩の亨の父の山小屋を手伝うようになります。
菫小屋で亨と愛と吾郎の不思議な生活が始まります。
映画のラストで、檀ふみ演じる亨の母、菫が、山小屋の前で、亨や愛や吾郎の前で「私たちまるで家族の様ね」と語るシーンは印象的です。
山小屋は、皆を癒すオアシス。還るべき場所になっているのです。
この映画を観て、自分の家族を見つめ直しました。還るべき場所になっているのか。
社会が、人びとを受け入れる還るべき場所になっているのか。そんなことにも思いを馳せました。
骨太でストレートな木村作品に益々惚れ込みました。
木村監督には次回作品を大いに期待したいと思います。
この作品を契機に原作者の笹本稜平さんの作品を読みたくなり、今、「還るべき場所」を読み始めています。
家族と一緒に、山に行きたくなりました。山小屋に泊まりたくなりました。
映画「春を背負って」一人でも多くの方に観ていただきたい作品です。
やっぱり映画は、私にパワーを与えてくれます。木村監督、いい時間をありがとうございました。
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