議員日誌

里山資本主義―日本経済は「安心の原理」で動く

 PTAの研修会への行き帰りは読書に勤しみました。

 相葉英雄の「共感」を読了し、「血の轍」を後半まで読みました。

 相葉英雄さんの本の感想は、後日に譲ることにします。

 金曜日の分科会会場の桑名市民会館の喫茶店で週刊現代を見ていると、「里山資本主義」という本が面白いと書いてありました。

 全体会の帰り、名古屋駅近くの高島屋百貨店の中にある三省堂書店で、角川ONEテーマ21(新書)、藻谷浩介さんとNHK広島取材班による「里山資本主義―日本経済は『安心の原理』で動く」を買い、新幹線の中で、半分以上読み、今日までにほぼ読み終わりました。

 この本では、マネーに依存しないサブシステムとして「里山資本主義」が提案されています。

 この本の中には、中国地方の里山を舞台にした新しい経済システムの構築の例として、私が昨年訪れた岡山県真庭市の例が出てきます。

 県内では、周防大島町でIターンした青年夫婦がジャム屋をはじめてことが紹介されています。

 更に、藻谷浩介さんによる「中間総括『里山資本主義』の極意―マネーに依存しないサブシステム」は中国地方の中山間地域に生まれた私にとって、また、地方自治体の議員としての私にとってとても元気が湧く内容でした。

 藻谷さんは、里山資本主義は、マネー資本主義への三つのアンチテーゼだと述べています。

 一つは、「貨幣換算できない物々交換」の復権だと述べています。

 「マネー資本主義に対するサブシステムである里山資本主義では、貨幣を介さない取引も重視する」と説明しています。

 二つは、規模の利益への抵抗だと述べています。

 「システムがうまく回っている間はいいが、何か齟齬があると、はるか広域にわたって経済活動が打撃をうける」。そこで、サブシステムとしての里山資本主義の必要性を説いています。

 三つは、分業の原理への異議申し立てだと述べています。

 「実は里山資本主義的な一人多役の世界は、マネー資本主義の究極の産物ともいえるコンビニエンスストアの中にも実現していたのだ」と説明しています。

 NHK広島取材班の井上恭介さんの「『マッチョな20世紀』から『しなやかな21世紀』へ―課題先進国を救う里山モデル」の章も参考になります。

 「みんながみんな世界と戦う戦士を目指さなくてもよい。そういう人も必要だし、日本を背負う精鋭は『優秀な勇者』でなければならない。しかし、その一方で地域のつながりに汗を流す人、人間と自然が力を合せて作り上げた里山を守る人もいていいし、いなければならない」

 このくだりは、中山間地域で生きて来た私の心を掴みます。

 マネー資本主義の勇者こそ、すばらしい人間だ、里山で暮らすより勇者たれ、という風潮を私は感じながら育ってきました。

 里山を守る人に価値があるし、未来があるという論には元気がでます。

 藻谷さんの章の「地域振興三種の神器でも経済はまったく発展しなかった」のくだりも教訓的です。

 高度成長期以降の地域振興の三種の神器は、「高速交通インフラの整備・工場団地の造成・観光振興」と藻谷さん。

 藻谷さんは、「地域振興の三種の神器をもってしても、中国山地の経済はまったく発展しなかった」と評価します。

 そして、藻谷さんは、「マネー資本主義の恩恵を地域に呼び込む20世紀型の装置である、高速道路だの誘致工場だのが機能しないことを、全国に先んじて思い知らされずにはすまなかったからこそ、里山資本主義が21世紀に活路であることに気付く人々が最初に登場し始めたのだ。」と述べています。

 私は、この本を読んで中山間地域に生まれ育ったことに喜びを感じました。同時に議員として、中山間地域の再生にこそ、山口県の未来があることを実感しました。

 県内の里山で、様々な努力をされている方々に学び、そのネットワークを広げるなかで、山口県の新たな産業政策を再構築する必要があることを認識しました。

 山口県の再生のために、どのような道があるのかまでイメージできませんが、考える視点について、とても刺激を受けた本でした。

 「里山資本主義」を読まれたみなさん。感想をお聞かせ下さい。

 里山・中山間地域で努力されている皆さん、実践をお聞かせ下さい。 

 

 

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