6月議会→参議院選挙→豪雨災害→臨時議会と激走を続けた日々でしたが、盆間はゆっくりした時間を過ごしています。
実家の草刈りや家の草むしりや私の部屋の掃除などをしながら、残りの時間は、本を読んで過ごしています。
読み途中になっている本が多く、あれこれ読みたい本が多いのですが、この休みは、妹尾河童さんの「少年H」に集中しています。
今、下巻の中盤まで読みました。今日明日で読み終わろうと思います。
講談社文庫版上巻の巻末に阿川佐和子さんの文章が掲載されています。
河童さんは、佐川さんにこう語ったといいます。
「戦争はね、ある日突然くるもんじゃない。小石がパラパラと落ちてきたりするていど。でも実はこれが、戦争が始まる兆候だったことを、後になってから知ることになるの」
文庫版の上巻には、戦争に向う小石の話題がちりばめられています。
キリスト教が一つの教団に統合される。隣組が出来る。防毒マスクが配られる。
学校では、土日が亡くなり、夏休みがなくなり、授業がなくなり、そして戦争一色になっていく様子がよく分かります。
文庫版下巻は、昭和19年、Hが中学生になった頃からの物語ですが、小石は、もはや巨大な石となり、Hの一家を襲います。
そして、Hの家をも消滅させる神戸大空襲が襲います。
空襲の数日間が克明に活写されています。
今まで読んだどの戦争に関わる小説よりも説得力がありました。
上巻を読んだ読者は、H一家に愛情を抱きます。そのH一家を焼失させた戦争への怒りが沸いてきます。
非戦闘員を攻撃の対象にしてはいけないのが国際法の立場だったと思います。
戦争は、無法で、残虐極まりないものであることを痛感します。
下巻の巻末には、井上ひさしさんの文章が掲載されています。
この文章の中に、戦中の標語が列挙されています。終戦の直前の標語は「人生25年」というものだったとあります。
井上さんは、標語が言う政府の意図は「日本人の寿命はせいぜい25歳止まりなのだから、本土決戦で、たとえ20歳で死んでも、それは当然だと思え」ということだと解説しています。
未来を拓く少年に、早く死ねと教えた70年前の歴史を忘れてはならないと思いました。
子どもたちの時代に戦争の惨禍を繰り返さないために、私は、この小説を座右において、戦争に向う「小石」を取り除く仕事を続けたいと思います。
小石は一人では取り除けません。
一人でも多くの人と戦争への小石を取り除こうと決意を新たにしています。
小説「少年H」の感想をお聞かせ下さい。
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