議員日誌

上関原発の津波対策は万全か

 06年3月の衆議院予算委員会で、我が党の吉井議員は、原発の津波対策について質問しました。吉井議員は、五mの津波の引き潮によって、日本の原発の約八割に当たる43基で冷却水が海から取水できなくなることを明らかにしました。冷却水喪失になれば、原子炉の崩壊熱による炉心溶融を懸念させる事態に発展します。

 今、この吉井議員の指摘が、福島第一原発で現実の事故となりました。吉井議員のこの質問が、24日付「東京新聞」や4月3日付のサンデー毎日などでも取り上げられ大きな反響を呼んでいます。

 私は、吉井議員の質問を受けて、昨年の3月議会で、上関原発の津波対策は万全かと一般質問で指摘しました。

 一昨年末、中国電力が提出した上関原発の原子炉設置許可申請書では、津波による水位変動の最高をTPプラス4.6mとし、最低を-2.4mとして、津波により水位が低下した場合でも、原子炉補機冷却系に必要な取水が確保できる設計としています。

 私は、「中電が示した津波の水位変動が妥当なのか、冷却水の取水に影響はないのか、大いなる疑問を持つ。この問題も、県が設置した原子力安全顧問の意見を聞き、必要な対策をとるべきだ。」と質しました。

 佐本商工労働部長(当時)は、「必要な取水が確保できる設計について、事業者に確認したところ、取水口の下端レベルは海抜-7mで設計しているとしており、最低水位の-2.4m程度に比べ、十分な余裕を有していると聞いている」「津波による安全性に係る問題も含め、国の安全審査が始まったばかりであるので、県としては、今後、原子力安全顧問の専門的・技術的なご助言もいただきながら、国の対応状況をしっかりと検証してまいりたい」と答えました。

 この答弁を福島原発事故を受け、今日的に検証してみても、様々な疑問が残ります。まず、中電が想定した津波の水位変動です。

 私は、昨年9月議会で、「原発立地直下にあるF3活断層とF4活断層が繋がっている可能性がある。もし繋がっていれば少なくともマグニチュード7以上の地震を発生させるものだ」と指摘をしたことは過去のブログでも取り上げました。これらのことも受け、中電が想定している津波の水位変動+4.6m、-2.4mが本当に妥当なのか益々疑問が残ります。

 更に、取水口を-7mにしていると事業者は言っているようですが、福島原発で、-7m以上の引き波が来たことが予想されます。このことが、炉心溶融を誘発させた可能性があります。

 私は、今後、津波問題で、県は、原子力安全顧問にどのような意見を聞いているのか問い質すと同時に、抜本的な津波対策を中電に求めることを要請したいと思います。

 上関原発で十分な津波対策が行えないのなら、やはりこの計画は中止するしかありません。

 皆さん、上関原発での津波の影響についてどのようにお考えですか。様々なご示唆をお願いいたします。

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  1. 東電ではいくつもの対策の不備が見られます。たとえば、外部電源についても1系統しかないのはいかにも弱いと考えられます。
    上関ではこのあたりはどうなんでしょう?
    長島の地形から見て原発は孤立する可能性があり、予備電源のディーゼル発電機では長期に運転するには安定した動作に疑問が残ります。
    そう考えると牛島方向から海底ケーブルでの電源確保が必要かと思います。佐合島からでは長島の中央部の細いところで何かあると2系統ともダメになる可能性があり2系統にする意味がないように思えます。
    それ以外の対策とすれば、原子力発電所のすぐ近くに小さなガスタービン等の発電所を作る必要があると思われますが、中国電はこのあたりのフェイルセーフについてどう考えているのでしょうか?
    もう一つ、東京電力でさえ原子力発電所で事故があれば会社としての存続にかかわる事態になります。地域の電力を供給する立場にある会社として、会社の存続が問題となるようなリスクを背負ってまで原子力発電所を自身で建築し運用するのは経営上すべきではないのではと思います。
    国策としてCO2削減のため原子力発電所の必要性を訴えるなら企業に任せるのではなく、国で建築して発電し電力会社に販売する形態をとるべきではないでしょうか。
    そういう意味で上関は一度白紙に戻して、中国電力は今回のような事故への対応を含めて会社で建築の必要性を検討することを望みます。

    by sisyphus — 2011年3月27日 12:16 PM

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