議員日誌

百田尚樹

 選挙中に、百田尚樹著「永遠のゼロ」を読みました。主人公が戦争で亡くなった祖父の足跡を追うという構成です。

 まず、私は、この小説を読んで、私の祖父(中国戦線などに参加)の足跡も追ってみたいと思うようになりました。

 祖母も父もなくなり、私が記録しなければ、我が家の戦争体験は継承しなくなります。時間を作って整理してみようと思います。

 小説は、日本が、真珠湾攻撃からレイテ海戦などを経て、どのように敗戦に至ったが、克明に書かれてありました。とても勉強になりました。

 その中でも様々な「特攻」の歴史も明らかにされていました。飛行機による「特攻」。潜水艦の回天による「特攻」。

 そして、「桜花」のことにも触れられています。「特攻」は十死零生とわれますが、桜花ほど徹底したものはなかったとこの本にもあります。

 飛行機から人間が操縦するロケット爆弾です。自力で飛び立つことも着陸することもできません。爆弾に僅かな浮力はあったようですが、殆ど人間は爆弾と一緒に落ちるのみだったようです。

 「桜花」は練習するだけでも命がけで多くの兵士がそれで亡くなったことも本の中に書かれています。

 実は、私は、ある方から「自分は、戦争中、桜花という作戦に参加していた」とお話を聞いたことがあります。その時は、そんなことがあるのかと思っていましたが、実際行われていたのです。

 「特攻」とはどれほどまでに非人間的な作戦だったのかが作品から沁み出てきます。

 更に、「特攻」は「テロ」だったかどうかにも触れられています。実は、私は過去このような句を書いたことがあります。

 「特攻と言う名のテロで逝った人」この句には様々な意見をいただきました。

 私の積年のテーマでもある点についてこの小説の中で熱く語られていました。

 「特攻」の作戦で亡くなった方の多くは、愛する人たちを守るために自分の命を捧げようという気持ちがあったことがこの小説を読んでよく分かりました。

 しかし、作戦そのものが、とても、狂気に満ちたものであったこともこの小説を読んでよく分かりました。その狂気は「テロ」ではないのかという疑問は私の心に引き続き残りました。

 いずれにしても、日本人として、ほんの64年前に10代から20代の青年を「早く死にたい」想いにさせた狂気とは何だったのかを考え続けていかなければならないと思います。

 歴史を繰り返さないために。

 ミステリーとしても最後まで読ませる構成になっています。戦争とは何かを考える好著だと思います。一人でも多くの方々に読んでいただきたい作品です。

 この本を読まれた方の感想をお聞かせください。

 作者の百田尚樹は、「探偵ナイトスクープ」などを手がけた放送作家です。この作品でデビューしました。

 次の作品は、「聖夜の贈り物」。イブの一夜に起きた物語が描かれています。今この作品を読んでいます。

 その次が、「ボックス!」。高校ボクシング部の物語です。最新作が、「風の中のマリア」。なんと主人公はオオスズメバチです。

 これほど、一つ一つが違うディテールである作家も少ないのではないでしょうか。この秋は、百田作品に浸りそうです。

 

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