議員日誌

宇部港東見初広域最終処分場の完工式が行われる

 本日、宇部港東見初広域最終処分場の完工式が行われました。この施設は、山口県で初めて完成した公共関与の産業廃棄物最終処分場です。この施設は、県や市町などが出資して設立した財団法人山口県環境保全事業団が設置者となり、宇部興産コンサルタント(株)が委託を受け管理するものです。

 私は、本日の完工式にもろ手をあげて賛成し参加した訳ではないとことを若干説明しておきたいと思います。

 2000年1月(社)経済団体連合会は、「循環型社会の課題と産業界の役割」という提言を発表しました。提言は、「国・地方公共団体は、処理・処分施設は社会として必要不可欠なインフラの一部として位置づけ、周辺住民をはじめとする利害関係者の調整に積極的に取り組む等の環境整備を行うことが当面の最重要課題である」とし、財界として、国、地方公共団体に、産業廃棄物処理に積極的にかかわるよう求めました。ですから、公共関与の産業廃棄物処理施設が単なる税金による産業廃棄物処理対策になったのでは本末転倒です。私は、公共関与の産業廃棄物処理施設の根本的問題点は、ここにあると思います。

 次に、それでは、産業廃棄物処理の原則は何かという問題です。私は、鳥取県の片山知事(当時)の議会答弁を引用したいと思います。鳥取県では、県が率先して公共関与の産業廃棄物処理施設を推進しようとしましたが、住民の強い反対運動で断念に追い込まれました。この時に、当時の片山知事は、議会でこのように発言しました。

 「産業廃棄物というのは、排出者が責任を持って処理する、というのが原則であります。したがって、それに対応する民間レベルでの産業廃棄物処分場が設置される、というのが基本だろうと思うのです。(中略)一般廃棄物の場合は、市町村がこれを処理するということになっていますから、市町村が組合をつくったりして自分で処理施設をつくるのですけれども、産廃行政はそうなっていないわけです。(中略)あくまでも、県は法令にのっとって適正がどうかのチェックをするという、これが基本であります。

 山口県は、「産業廃棄物処理は、排出者である企業の責任である」ことを基本にして産廃問題に対応すべきです。月刊廃棄物では、石渡さんという千葉県の職員の方がこのような寄稿をしています。

 「廃棄物を排出する企業ですが、処理能力がないのに生産してはいけないという観点から、自前の処理施設を確保していただいて、処理能力と製造能力をリンクさせた形で考えていただきたいと思う」

 全くその通りで、企業は製造するだけして、そこから生まれた廃棄物は、県や市町にお願いでは、産業廃棄物問題は解決しません。その大原則をしっかり守った企業への指導の強化が求められます。

 私は、更に、廃棄物を埋めた後の管理を心配しています。有害物の漏出防止のために処分場底面等に設置されているゴムシートやコンクリートが永久に劣化しないという保障はありません。埋め立てた後は、緑地公園やスポーツレクリエーション広場になる計画です。美祢市に建設が計画されている産業廃棄物処理施設に関して広島高裁は、住民が求めた操業禁止を求める仮処分申請を認める決定をしました。住民は、操業禁止を求めて提訴しました。

 宇部市の処分場では、住民の反対運動はありませんが、宇部市はゴルフ場を水がめ付近で推進しようとした市長をリコールした環境先進地です。一旦、最終処分場に対する住民の不安が生じれば、大きな問題になることは必至です。

 東見初最終処分場の完工にあたり、搬入される廃棄物の安全性のチェックを徹底することと、問題が生じた場合は、県民への情報公開を徹底することを監督する県に強く要望したいと思います。

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廃棄物を搬入する最終視点であるダンピングヤード

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