議員日誌

イキガミ

 議会の終わりの頃になると、映画を観たくなります。昨日、委員会の質疑も終わり、今日、「イキガミ」を観にいきました。何故「イキガミ」か?。主人公の名前が藤本だからです。

 フジモトと言えば、ポニョのお父さんの名前もフジモトでした。今年の映画にはフジモトがよく出て来ます。

 映画は、「国家繁栄維持法」が施行された世界での話しです。この法律によって国は、国民に「死」の恐怖を植え付け、生命の価値に対する国民の意識を高めようといています。国は、そのことによって犯罪を抑止し、社会の生産性を向上させようとしています。実際には、小学生が入学前に「国繁予防接種」を受けます。そのアンプルには、1000人に1人の確率で特殊な「ナノ・カプセル」が仕込まれ、そのカプセルが18歳から24歳までの若者の体内で、あらかじめ設定された日に肺動脈内で自動的に破裂し、その命を奪います。

 死亡予定者には、予定日時の24時間前に死亡予告書が厚生保健省から届けられます。その死亡予告書配達人の1人が松田翔太演じる藤本賢吾です。

 予告書が届けられた青年は、最後の24時間をどのように生きるのか―これがこの映画のテーマです。私は、盲目の妹のために、角膜を提供した青年の話に涙しました。

 国家繁栄維持法は、戦前の国家総動員法や治安維持法を想起します。死亡予告通知書は、戦前の「赤紙」を想起します。戦前のような「美しい国」に還れという、いわゆる「靖国派」の方々の思想に通じるところがあると痛感しました。

 そして、「靖国派」と言われる国会議員が中心となって、構造改革路線が進められ、労働市場の自由化や社会保障費の削減で社会の格差は今日かつてなく広がっています。国家によって死亡通知書が届けられ、確実に殺されることはありませんが、社会のセーフティーネットから漏れた多くの国民が命を落としている事実は、この映画の世界と現代はよく似ています。

 生活保護が打ち切られて「おにぎりが食べたい」との遺書を残して亡くなった方が北九州市におられました。

 私も丁度、昨日の厚生委員会の質疑で、宇部市のある病院の療養病床におられた経官栄養を装着されていた医療区分1のお年寄りが、介護型施設に移られた亡くなられた例を挙げました。療養病床を大幅に削減し、在院日数をこの4年間で平均6日削り、合計240億円の医療費を県内で削ろうとする「山口県医療費適正化計画」を強行すれば、第二・第三の宇部市のお年寄りを生むことになりかねません。このことは、この映画が描いた世界と今日の状況が似通っていると言わなければならないと思いました。

 劇団「ひとり」演じる国会公務員の島田は、国繁法の説明会の場で、「法律は間違っている」と訴え、「退廃思想者」のレッテルが貼られ、姿を消します。再び、藤本の前に姿を現した島田は、熱心な国繁法の推進者となります。

 この映画は、県庁職員の方をはじめ、多くの公務員の方々にも観ていただきたいですね。

 この映画が描いている社会と現代が違うのは、日本共産党の存在ではないでしょうか。戦前は、国家が日本共産党活動を非合法化させて、戦争を遂行しました。しかし、戦前の時代の中でも日本共産党は命をかけて治安維持法に反対し、党の旗を掲げてたたかいました。

 今日は、労働者の使い捨てや貧困や格差拡大に反対する日本共産党が公然と存在します。この映画を観て、改めて私たちの活動の重要性を再認識しました。

 泣き寝入りは出来ません。どうか、皆さんの命の叫びを私たちに届けてください。

 この映画の原作は、間瀬元朗さんの漫画です。映画は完結しましたが、漫画は現在も進行中です。漫画の世界ではあっても、「国家繁栄維持法」がどうなるのか興味津々です。漫画もチェックしていきたいと思います。

 漫画が原作の映画と言えば、「20世紀少年」がありましたが、私が勝手に軍配を上げれば、「イキガミ」に挙げてしまう今日この頃です。浦沢直樹と同時に、間瀬元朗という漫画家にも大いに注目したいと思う今日この頃です。

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