「反戦情報」2024.1・15 No472に私の「自民党派閥の政治資金パーティー裏金疑惑ー岸田政権・山口県政への影響ー」が掲載されましたので、以下、紹介します。
以下が、原文ですが、雑誌掲載時に若干の修正はあります。
本誌を数冊預かっています。必要な方は、私に申し出ください。
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自民党派閥の政治資金パーティー裏金疑惑と岸田政権・山口県政への影響
山口県議会議員 藤本かずのり
1, どうして発覚したのか
事件の発端は2022年11月6日付「しんぶん赤旗」日曜版の特報です。日曜版が指摘したのは、安倍派(清和政策研究会)など自民党の主要5派閥が、2020年までの3年間で少なくとも59件、額面で計2422万円分の政治資金パーティー券収入を政治資金収支報告書に記載していなかった政治資金規正法違反(不記載・虚偽記載)の疑いです。
この報道を受けて神戸学院大学の上脇博之教授が派閥の収支報告書を精査し、規正法違反の疑いで東京地検特捜部に告発しました。
岸田文雄首相は12月14日、安倍派の幹部だった松野博一官房長官、西村康稔経産相、鈴木淳司総務相、宮下一郎農林水産相の4閣僚と、萩生田光一政調会長、高木毅国対委員長、世耕弘成参院幹事長の3人の自民党役員を辞任させました。
東京地検特捜部は、12月19日、最大会派の安倍派(清和政策研究会)と二階派(志帥会)の事務所を規正法違反容疑で家宅捜索しました。
特捜部は、昨年末までに、安倍派座長の塩谷立元文部科学相をはじめ、松野前官房長官、高木毅前党国対委員長、世耕弘成前党参院幹事長、萩生田前党政調会長、西村前経済産業相、下村博文元文部科学相に任意聴取を行っていると報じられています。
同時に、特捜部は、昨年末までに、規正法違反事件容疑で、安倍派に所属する池田佳隆衆議院議員(比例東海)大野安正参議院議員(岐阜選挙区)の事務所などを家宅捜索したと報じられています。
12月14日に公表された時事通信の世論調査は、岸田内閣の支持率が17.1%、自民党の支持率が18.3%で、どちらも2012年の自民党政権復活後最低を更新しました。
本小論では、パーティー裏金疑惑を検証し、岸田政権と山口県政への影響について考えていきます。
2、 政治資金パーティー裏金疑惑とは
自民党の派閥は年1回、政治資金パーティーを開いています。派閥は、所属議員の当選回数や閣僚経験などでパーティー券(1枚2万円)の販売枚数のノルマを決めています。ノルマを超えて販売した分を派閥から議員に還流させるのがキックバックです。安倍派(清和政策研究会)は、所属議員がノルマを超えて販売した分の収入を議員側へキックバックし政治収支報告書に記載しませんでした。記載しなければ裏金です。規正法違反の疑いがあります。
12月24日付「しんぶん赤旗」日曜版によると、安倍派のパーティー券購入者数は、2022年までの6年間をみると、パーティー収入を2万円(1枚)で割った数字に、「0.675」をかけた数字と一致するといいます。また、二階派は、パーティー券収入を2万円(1枚)で割った数字に「0.8」をかけた数字を、22年までの4年間、各年の購入者数として収支報告書に記載していました。安倍派や二階派の収支報告書は、一部の収入を記載していなかったどころか、ねつ造の疑いさえあります。これら疑惑の方程式は、「政治活動の構成と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与する」という規正法の目的に真っ向から挑戦するものです。
3、 収支報告書に記載すれば問題はなかったのか
一部メディアは、「キックバックの収支を記載していれば問題ない」と報じています。規正法で、政治資金パーティーは「対価を徴収して行われる催物」と規定されていますが、実際のパーティーは、利益率が9割を超える場合が多くなっています。そのため、形を変えた企業・団体献金となっており、規正法の「抜け穴」となっています。一般の献金は、年間5万円超の献金者を収支報告書に記載することが義務づけられていますが、パーティーで同様の義務が生じるのは一人1回20万円を超える場合に限られ、購入者不明のパーティー券が多数を占めており、極めて不透明なしくみであることも問題です。
企業・団体献金の「抜け穴」で、「裏金」をはじめ不正の温床となっているパーティー収入も含めて、企業・団体献金の全面禁止こそ必要な時です。
4、 議員は裏金を何に使ったのか
「しんぶん赤旗」日曜版によると、政治資金パーティー券収入や支出を過小に記載したなどとして規正法違反の罪で略式起訴され罰金刑が確定した薗浦健太郎元首相補佐官の刑事事件記録。元秘書の供述調書によれば、パーティーでねん出した「裏金」は表に出したくない会食代や選挙費用に充てられていました。「会食会場が(東京の)銀座の店であったということになると『貴重な政治資金で高級なものを飲み食いしている』などとあらぬ批判がなされたり、献金をしてくださった方からもおもしろくなく思われる」「(記者やオンブズマンから)追及されないように防衛するという意識が強くなり、収支報告書に計上せずに除外する支出が少しずつ増えてきました」(元政策秘書20222年10月31日付の供述調書)
5、 岸田政権への影響
岸田文雄首相が会長だった岸田派「宏池政策研究会」も3年間で2千万円余の政治資金パーティー収入を収支報告書に記載していない規正法違反が指摘されています。
自民党派閥によるパーティー裏金疑惑で更迭された閣僚に代わり就任した林芳正官房長官ら新閣僚4氏が、昨年に開いたパーティーで計約2億円を集めていたことが分かりました。パーティー収入が最も多かったのは林氏の資金管理団体です。都内や地元山口県でのホテルなどで8回パーティーを開催し、合計約8500万円を集めていました。利益率は平均で81.5%です。政治資金パーティー裏金疑惑が、岸田派や林芳正官房長官など新閣僚などに及ぶ可能性があります。
6、 山口県政への影響
日本共産党県委員会と県議団は、12月25日、自民党山口県連に対し、自民党県連の在京顧問である林芳正官房長官を含む8名の国会議員の政治資金パーティー収入を精査し公表することなどを求めました。
自民党県連事務局は「要請を受けるいわれはなく、受け取ることはできない」と通告し、日本共産党県委員会などは、要請書を自民党県連ポストに投函しました。
毎日新聞は、12月30日、自民党県連が計画していた林官房長官就任祝賀会と林後援会が計画していた「新春の集い」が中止されることになったと報じました。
自民党県連は、林芳正官房長官の就任祝賀会を開催しようとしたこと自体、パーティー裏金疑惑に無反省という証です。自民党県連は、祝賀会を中止させるだけでなく、林官房長官をはじめ、在京顧問の国会議員のパーティー収入を精査し公表すべきです。
2021年12月、小松一彦元副知事が、公選法違反で罰金刑を受け、辞職しました。これに関連し、21年10月に行われた自民党県連主催の「政経セミナー」の1万円のパーティー券を小松氏が県幹部に購入を働きかけてきたことが報じられました。
村岡嗣政県知事は、2022年10月に行われた自民党県連主催の「政経セミナー」について、記者会見で、自民党からパーティー券購入の働きかけはなかったと述べましたが、同セミナーに、来賓として出席していたことが分かりました。村岡知事は、パーティー券をどのような経費で購入して参加したのかについて現在、照会を行っています。同時に、昨年10月の自民党県連主催の「政経セミナー」への村岡知事の対応についても照会を行っています。
自民党県連が行う政治資金パーティーと山口県政への影響について調査を続けていきます。
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この小論は、昨年末までにまとめたものです。
その後、安倍派の池田議員が逮捕されるなど事件が広がりをみせています。
また、安倍派、二階派だけでなく、岸田派も立件する方針を東京地検特捜部が固めたとの報道があります。
12日~15日に実施した1月の時事通信の世論調査によると、自民党の政党支持率は、前月比3・7ポイント減の14・6%となり、1960年6月の調査開始以降で、野党だった時期を除き最低を記録しました。
日本共産党は、昨日、第29回党大会を閉幕し、新しく田村智子さんが委員長に就任しました。
日本共産党は、岸田政権の退陣を求めるとともに、自民党政治を終わらせる国民的大運動を起こすことを提起しています。
党大会を契機に、私も山口県内での運動づくりに力を尽くす決意です。
裏金問題や自民党政治に対する皆さんのご意見をお聞かせください。
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