3月18日に、山口県は、「宇部港長期構想」を発表しました。
長期的視点(20~30年後)に立って宇部港の港湾整備の方向性を構築するために長期構想が策定されました。
私は、長期構想検討委員会の資料を見る中で、本当に長期的視点に基づいて計画が立てられているのか、問題提起をしてきました。
長期構想を見る中で、先述した疑問を更に深く感じました。
長期構想34ページに「再生可能エネルギー」として次のように書かれてあります。
「環境省の『気候変動長期戦略懇談会』によれば、温室効果ガス排出量を2050年までに2013年度比80%減を目標にし、革新的な省エネの実現や再生可能エネルギーの徹底活用を目指している。そのため、2050年の一次エネルギー供給量のうち、石炭の供給量は、2010年の半分程度に減少する見通しとなっている。」
一方で、構想の30ページ「石炭」では、こう書いています。
「宇部港の主要貨物である石炭の全国的な消費量は、増加傾向で推移してきたが、2004年頃から横ばいに転じ、1億8千万トンぜんごで推移している。一方、瑩山産業省の『長期エネルギー需給見通し』によれば、石炭は、2030年度においても一次エネルギー供給の構成割合が全体の25%程度と、現状とほぼ同程度の割合になると見込まれている。さらに、宇部港では、西沖の山地区に新たな石炭火力発電所の建設計画があり、宇部港で取り扱う石炭需要の増加が見込まれている。」
更に、構想34ページでは、こう書いています。
「将来の再生可能エネルギー活用の進展により石炭需要の減少が見込まれるものの、コールセンターの供給拠点機能を生かして石炭取扱いの国内シェアを高めていくことや、バイオマスなどの新たなエネルギー資源の取扱いに積極的に取り組んでいくことで、宇部港のエネルギー供給拠点としての機能を維持・発展させていくことが求められる。」
構想は、国内での第一次エネルギー供給量のうち、石炭の供給量は、2050年に半分になるが、半分になった石炭取扱いを宇部港を集中しようと言っているのです。
2030年に向けて、第四回宇部港長期構想検討委員会資料にあるように、石炭を集積するために、新沖の山に-16mのケープサイズ級が停泊する岸壁・泊地・航路を整備したが、2050年に向けて、石炭集積のための護岸の必要性は明確に言えない状況です。
構想は、バイオマスなどの新しいエネルギー資源の取扱いのためにも、港湾整備は必要と言っています。
バイオマスなどを想定した時に、ケープサイズ級の船が二港目であっても宇部港に寄港する見通しはあるのかを示さなければ、新沖の山の施設整備の必要性が議論できません。
その意味で、この長期構想は長期構想と言えるのか甚だ疑問です。
更に、この長期構想には、長期構想検討委員会で示された目標年次を定めた貨物量の目標量や各区域での具体的な施設整備の規模等が明記されていません。
長期構想を基に宇部港港湾計画が策定される中で、上記した具体的な数値が示されてくるものと思います。
私は、「パリ協定」の具体化の中で、石炭取扱量が劇的に減少する中で、新たに宇部港をどうしていくのかの視点での、長期構想及び具体的な数値の提起が必要だと思います。
第四回長期構想検討委員会で示された、2030年代前半における取扱貨物量を現況の1.5倍お4700万トンにすることの根拠は、石炭バルクの大集積です。この数値を根本から見直した、新しい宇部港港湾計画の策定が必要だと感じます。
私は、第四回の長期構想検討委員会の資料を宇部港で具体化すれば、1000億円を超える巨大港湾計画になると思います。
今日の山口県や国の財政状況から見ても妥当なのかの検討が必要です。
更に、西沖の山地区への石炭火力発電所が建設され、石炭需要が確保されることを前提とした目標設定および港湾開発規模の策定は、「パリ協定」の目標達成という世界の要請と実際に、石炭火力発電所がヨーロッパ諸国で撤廃されている状況から、大幅に見直すべきです。
いよいよ明日から、県議会議員選挙が始まります。宇部市選挙区で闘う候補者の一人として、私は、「パリ協定」の目標達成の要請に逆行する石炭を大集積することを前提とした宇部港の今後の計画の方向性と宇部市への石炭火力発電所の建設問題を大いに議論していきたいと思います。
石炭を大集積することを前提にした宇部港長期構想が発表されました。全文を県のホームページで見ることが可能です。
皆さんは、この長期構想をどのようにお考えですか。ご意見をお聞かせ下さい。
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