議員日誌

不死症

 大学の同窓会に参加するために下関駅を久々に散策しました。

 大きな本屋で、周木律さんの「不死症」を手に取り、昨日読み終えました。

 西本願寺・前門・大谷光真さんの「人生は価値ある一瞬」の「老いも尊い」を引用しましょう。

 「お釈迦さまがまだ出家する前で、インドのある小国の王子さまだったころの話です。城の門を出たときに出会った老人が、老衰するほかの老人を見て、自分もああなるのかと考え込んでは悩み、恥じ、嫌悪している姿を目にします。お釈迦さまは、自分もまた老いゆく身であり、老いるのを免れないのに、他人の老衰を見て同じように悩み、恥じ、嫌悪するであろうと考え、『老い』を人間なら誰もが持つ根本的な四つの苦しみ(四苦/生苦・老苦・病苦・死苦)の一つに挙げられました。」

 人間は何千年前から、老衰に悩み、不死を求めて科学を進歩させてきたのでしょう。

 小説の主人公の泉夏樹は、平成製薬で、不死を研究してきました。

 実験は成功したかのように思えたが、菌を植えられた人々は食人鬼と化します。

 最後の一ページまで目が離せないバイオミステリーでした。

 社会的テーマが盛り込まれた秀作でした。

 もう一度、大谷光真前門の本から「科学技術は万能か」の項の一文を引用します。

 「多くの人は科学の進歩を是とし、生命科学の発達にも賛辞を贈るでしょうが、生命科学といえども、決して万能ではなく、利用する人間の煩悩まみれであるということを冷静に見極めるだけの知識と態度を持ち合わせたうえで、生命科学と向き合う必要があるように思います。」

 小説のラストで、首相が泉が成功した不死の技術を渡せと説得するシーンがあります。

 この下りは、まさに、大谷前門の言葉に真実があるように思えてなりません。

 科学がどんなに進歩しても人間から4つの苦しみを無くすことは出来ないでしょう。

 その事を、まず知る人間でありたいものです。

 そんなことを考えさせてくれる周木律さんの「不死症」でした。

 昨夜から周木律さんの「災厄」を読んでいます。この小説もバイオサスペンスに分類できるものだと思います。

 最初からハラハラドキドキです。

 今年の夏の終わりは、周木律さんの小説で締めたいと思います。

 全国の周木律ファンの皆さん。皆さんのお勧め作品をお教え下さい。

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