昨日午前1時55分ごり、長野県軽井沢町の国道18号の碓氷バイパス入山峠付近で、スキー客らを乗せたバスが崖下に転落しました。長野県警によると、乗務員を含め14人が死亡し、27人が重軽傷を負いました。
バス転落事故で亡くなられた方に心から哀悼の意を表したいと思います。
今朝の毎日新聞には、過去の主なバス事故が掲載されていました。
1985年1月には、犀川スキーバス転落事故が発生しました。
「バスがカーブを曲がりきれずガードレールを破って犀川に転落。乗客46人のうち、25人が死亡、8人がけが」
この事故は、日本福祉大学の体育の授業で行われたスキー教室のためのバスでした。
バス3台のツアーで、3台目のバスが犀川に転落しました。
私は、2台目に乗っており、九死に一生を得ることができました。
1985年1月28日は、私にとって忘れることが出来ない日です。
犀川スキーバス事故から31年目を迎えるこの冬に発生したスキーバス事故は他人事とは思えません。
犀川スキーバス事故では、私の同学年の20歳前後の学生が22名亡くなりました。
今回の事故で亡くなったのは、多くが大学生で、19歳から22歳の若者です。
若者の命が奪われるバス事故の再発防止策を抜本的に強化すべきだと思います。
今朝のしんぶん赤旗日刊紙は、こう書いています。
「バス運行会社『イーエスピー』は、2008年に整備業として設立、バス事業を展開したのは、14年5月のこと。国交省から13日に運転停止処分を受けていました。15年2月の一般監査で、①運転手の健康状態把握が不適切②点呼の実施記録が不適切③運転手に対して適性診断など受けさせていないなどの違反がみつかり、1台の車に20日間の運行停止処分を科したとしています。会社側は、今回の業務の運転手に健康上の問題はないとしていますが、究明が必要です。」
今朝の毎日新聞は、こう書いています。
「今回のツアーを企画した旅行会社『キースツアー』について『ホームページを見たが『格安』などと安さを強調した文句が多く、かなりのコストをカットしていたのではないか』と指摘した。このツアー客の料金は、1、2泊の宿泊費やリフト代を含めて1万3000~2万円程度。」
日本共産党は2014年総選挙で、交通に関わる政策を明らかにしています。
「高速ツアーバス事故をはじめ、JR尼崎脱線事故など鉄道事故、航空機のトラブルなど相次いでいる公共交通機関の事故、トラブルの背景に、安全より利益を優先する規制緩和があったことも明らかになっています。」
「高速ツアーバス事故等、相次ぐ公共交通機関の事故を踏まえて、安全に対する考え方を明確にすることが必要です。「利益なくして安全なし」(稲盛日航名誉会長)など、利益を優先して安全を軽視する経営の考え方を厳しく批判します。
そのため、「交通基本法」の基本理念として、安全確保を大前提にすることを第1番目に盛り込むとともに、国・地方自治体、事業者の責務として、安全確保を大前提にすることを明確に規定します。あわせて、運転者等の運行従事者の賃金・労働条件の適正化なくして、安全確保はできないことを明確にして、そのための施策をとるようにします。
「交通安全対策基本法」や運輸関連の各事業法を見直し、安全を大前提とすることを明確に位置付けるとともに、安全の直接的な担い手である運転者等の運行従事者の賃金・労働条件の適正化を図ることをようにします。」
「高速ツアーバス事故をはじめ、相次ぐ自動車運送事業の安全を脅かす背景には、規制緩和による過当競争、運賃のダンピング競争がありました。事前チェックから事後チェックする新規参入の緩和措置で、事業者が急増し、法令を守らない違法業者もはびこり、競争が激化する一方、12万事業者に対し、わずか320人の監査官しかおらず、監査は手が回らず、法令違反に対応すらできませんでした。監査で質を担保することには無理があります。入口規制を強化する必要性が明らかになりました。
運賃のダンピング競争は、労働集約型の運転手の賃金、労働条件の悪化に直結し、過労運転など安全運行が確保できない状況を生み出しました。
国交省は、高速ツアーバス事故を受け、夜間・長距離運行する貸切バス等の交替運転者の配置基準を670キロから実車距離500キロ以内に改めるなど過労運転防止対策や監査のあり方など一定の改善を行いました。トラック事業についても参入規制のあり方などの検討が行われています。
しかし、規制緩和の見直しについては、事故発生件数との間に因果関係が見出せないとして、踏み込もうとしていません。
・トラック・バス事業の過当競争を激化させた規制緩和を抜本的に見直します。
・トラック・バス事業への参入規制を強化します。バス事業の届出運賃(公示運賃)を守るなど適正運賃が授受できるよう運賃ダンピング競争を排除することや悪質不良業者の参入を阻止するためにも入口規制の強化が必要です。
・法令違反を繰り返す悪質な運行事業者を排除し、バス事業における日雇い・アルバイト運転者など法令違反を一掃するため監査・罰則を強化します。
・バスを発注する旅行業者の発注者責任を明確化し、低運賃や無理な運行(旅行行程自体が改善基準の拘束時間をオーバーしているもの等)を押し付ける旅行業者への監督・指導と法令違反に対する罰則を強化します。
・貸切バス等の夜間・長距離運行の交替運転者の配置基準について、回送距離を含めるなど、より実態に即して見直します。
・「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」を改善し法制化します。
当面、①拘束時間1日13時間以内、②休息期間11時間以上、③運転時間1日7時間以内、④連続運転時間2時間以内に改善します。
・安全運転で生活できる賃金・労働時間を保障する「自動車運転者安全賃金法」を制定します。
交通機関にあって安全を担保するのは、直接、運転に携わっている運転労働者です。この労働者の労働条件を改善して、安全運転で生活できる賃金・労働時間を保障しない限り、真の安全は確保できません。そのため、自動車運転者が安全に働くことのできる最低賃金・労働条件を設定する裁定機関を設置するなどを内容としたもので、オーストラリアで制定されています。」
2000年に入ってからバス事故の度に、規制強化の方向で一定の改善は行われています。
今回の事故の原因を徹底的に解明して、自動車運転者がより安全に働くことができ、乗客の命が守られる方向での法整備や規制の強化が求められています。
二度と若者がバス事故で亡くなることがない社会を実現していくために、バス転落事故の生存者の一人として、一人の政治家として、発言を続けていきたいと思います。
バス転落事故がまた発生しました。皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
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