4月24日、旧優生保護法の被害者救済制度について、毎日新聞は次のように報じました。
「障害者らへ不妊手術を強いた旧優生保護法の補償法が1月に施行され、被害者の救済が始まった。1996年まで存在したこの法律を日本社会が受け入れてきたことが、被害を広げた理由だ。私たちマスコミも含めた社会全体が、それぞれの立場で、この問題に向き合う責任がある。『旧優生保護法の補償に関する手続きが難しい。手伝ってもらえないでしょうか』1月下旬、取材で知り合った熊本県内に住む被害者の女性から連絡が入り、書類の代筆などを手伝った。女性はまひを含む身体障害と言語障害があり、必要事項を手書きするのが難しい。日常生活でもヘルパーの支援を受け、自らが被害者であることは近しい人にしか明かしていない。救済に関わる手続きは、戸籍謄本など申請に必要な書類を集めるところから始まる。障害がある被害者にはハードルが高い。女性は車椅子を利用しており『雨の日は動きにくかったり、ヘルパーとの調整が必要だったりと制約が多い。障害のある人にとって手続きは大変』とこぼす。旧優生保護法はナチス・ドイツの断種法がモデルの『国民優生法』が前身。戦後の人口増加を背景に48年、成立した。命に優劣をつけるゆがんだ優生思想で、障害者らを『不良な子孫』と位置づけて出生の防止を明記し、子宮摘出などの不妊手術を強制した。国際的な批判を受け、96年に障害者への差別的条項を削除し、名称を『母体保護法』と変更するまで続いた。女性は20代の頃、婦人科系の疾患で手術した際、説明のないまま子宮を摘出された。不妊手術について事後報告され、後に母が医師に依頼していたことを知ったが、当時はただ受け入れた。時がたつにつれ、子どもを産めない事実に苦しめられ『海の奥底に沈めるようにして生きていた』。だが2024年、名前を伏せて被害者として声を上げ始めた。母からは『裁判(に加わること)はやめてほしい』と言われていたが、その母が亡くなったことが契機の一つになった。とはいえ、母を恨む気持ちはない。『法律さえなければ、手術を受けることにはならなかったのだから・・・』。むしろ、母が娘を必死に守ろうとしてきた姿に、深く感謝しているという。私は7年前から、旧優生保護法の取材に関わった。被害者から話を聞く中で、何度も心が苦しくなったことがある。知らぬ間に手術を受けさせられた後、誰にも打ち明けられないまま、やり場のない怒りや悲しみを背負って生き続けけなければならなかった被害者の思い。熊本の女性のように、親たちの『親心』で手術が行われたことが垣間見えた時ー。やりきれなさが募り、心が痛んだ。私には、3歳上の先天性の聴覚障害の姉がいる。同じ、ろう者の男性と結婚し幸せ様な姉夫婦の姿に、『もし姉が旧法下の時代に結婚していたら』と考えると、とてもおぞましい気持ちになる。姉や私自身が当事者になっていたかもしれないからだ。旧法の問題にどう向き合うべきかを考える中で、私の背筋を伸ばした言葉がある。20年7月に取材した、聴覚障害者の夫婦による福岡地裁での国家賠償請求訴訟。原告側弁護団の徳田靖之弁護士は、こう語った。『この裁判は、私たち裁判に関わる者、報道に関わってきた者、そして社会の一員として問題を見過ごしてきた者とが、自分の課題として、やり抜かねばならない』旧法の問題を『当事者になっていたかもしれない』という怖さから取材し、向き合ってきた。徳田弁護士の言葉に、このような不条理な問題を二度と見過ごしてはならないという、新聞記者としての覚悟を問われたようで、目が覚める思いがした。『障害児が生まれてうろたえてしまうことは、今も現実にある。それは共生社会が実現できていないからだ。共生社会とは(どんな子が生まれても生きたい道を生きられる。だから、何も心配はいらない)と言える社会だと思う』。熊本の女性のこの言葉に、共生社会を作っていく側は向き合えているだろうか。補償法の申請手続きの煩雑さも、『自分の課題』という視点が欠けているのではないか。まずはそれぞれの立場でこの問題に目を、向けることこそ、真の共生社会の実現に近づく第一歩になるだろう。旧法の問題は、長く問題意識を持っていなかったマスコミも大きな責任がある。記者には、日々の暮らしや取材の中で抱く違和感を大事にしながら、世の中を見ていく責任があると強く感じる。そのことが、自分自身の大切な人たちを守り、今生きている社会のアップデートにつながると信じている。」
山口県こども政策課のページに、「旧優生保護法による優生手術・人工妊娠中絶などを受けた方とご家族へ」があります。
この中に、県民からの補償金等の請求や各種相談に対応するための専用窓口を開設したことが書かれていますので紹介します。
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1、相談窓口
①設置場所 山口市滝町1-1 山口県庁5階 こども政策課内
②専用電話番号 083-933-2946(直通)
③受付時間 平日の8時30分~17時15分(年末年始を除く)
2、保証金等の支給について
①補償金について
ア 対象者
旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた本人及び特定配偶者※
本人又は特定配偶者※が死亡している場合はその遺族(配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、ひ孫またはおいめい)
※特定配偶者:優生手術を受けた日から本法律の公布日(昨年10月17日)の前日までの間に、優生手術等を受けた者と婚姻していた者(事実婚を含む)
手術日の前日の間に、優生手術等を受けることを原因として離婚した者
イ 支給金額
本人 1500万円
特定配偶者 500万円
②優生手術等一時基金の支給
ア 対象者
旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた本人で生存している方
イ 支給金額
320万円 ※補償金を受給した場合も支給する
③人工妊娠中絶一時金の支給
ア 対象者
旧優生保護法に基づく人工妊娠中絶等を受けた本人で生存している方
イ 支給金額
200万円
※ただし、優生手術等一時金を受給した場合には支給しない
穂所人工妊娠中絶の回数や子どもの有無に関わらず一律に支給する
④手続きの方法
書類を窓口(山口県庁5階 子ども政策課)に提出してください。
郵送による提出も可能です。
⑤提出書類
子ども政策課のホームページに掲載されています。
⑥請求期限
2030年(令和12年)1月16日まで
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詳しくは、県庁こども政策課にお問い合わせください。
旧優生保護法の補償金等の支給に関することに対する質問やご意見を藤本までお寄せください。
私のブログのトップページに問い合わせのバナーをクリックしていただき、ご意見をお書きいただけると、私に直接メールすることができます。よろしくお願いいたします。
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