しんぶん赤旗が自民党裏金非公認候補への政党助成金2000万円提供というスクープが、なぜ生まれたのか、1日のしんぶん赤旗で、社会部長の三浦誠さんは、次のように書きました。
「『しんぶん赤旗』が放った自民党裏金非公認候補への政党助成金2000万円提供というスクープ(10月23日付)は、衆議院選に大きな影響を与え自公過半数割れという結果につながりました。赤旗記者たちはこのスクープをどうやって追いかけたのかー。このスクープには、ふたつの『きっかけ』が合わさっています。ひとつは、非公認候補が自民党支部長のままであるということをつかんだ取材。もうひとつは、公認候補の支部に政党助成金2000万円を各支部に支給するという文書を入手し、非公認候補側への振り込みを確認する取材です。支部長のままだということに気づいたきっかけは、衆院埼玉6区に立候補してた秋山もえさん(日本共産党)のX(旧ツイッター)でした。秋山さんは、中根一幸前議員のポスターに『自民党非公認なのに(自民党)って入っていたわ』と10月15日に投稿。中根氏は裏金づくりで公認を得られず、無所属で埼玉6区に出馬していました。これを読んで私は、同選挙区に住んでいた赤旗広報部の小山田汐帆記者に、『ポスターの写真を撮ってきてもらえませんか』と依頼。小山田記者は写真を渡す際に『自民党と小さく書いてあるだけでなく、(自民党支部長)と大きく書いていますよ』と。これを聞いて『おや?』と思い埼玉県選挙管理委員会に電話。すると、中根氏は自民党埼玉県第6選挙区代表(支部長)のままだという回答が返ってきました。『もしかして』と、非公認になった候補者11人全員について各都県の選管に電話で確認。自民党の処分で党員資格がなかった下村博文元文科相、西村康稔元経産相を除いた8人が支部長のままでした。自民党非公認で無所属立候補なのに、公営掲示板に張り出したポスターに『自民党』と表記するー。これは有権者をだまし、選挙の公平性を害する行為です。自民党の選挙区支部長である(利点)もあります。政党支部は企業・団体献金を受け取ることができます。税金が原資の政党助成金も党本部から支給されます。非公認なのに、党支部がため込んだ企業・団体献金、これが自由に使えます。あたかも『非公認偽装』といえる状況でした。取材で得た情報をもとに10月19日付1面で、『自民党組織的犯罪反省なし非公認8候補党支部代表のまま』という特報を掲載しました。ただメディアの反応は鈍く後追いすることはありませんでした。もうひとつのきっかけは、社会部の矢野昌弘副部長がつかんでいた情報です。矢野副部長は、自民党の森山裕幹事長が10月9日付で公認候補の支部会計責任者あてにだした『支部政党交付金支給通知書』を入手していました。この文書には衆議院公認料500万円と活動費1500万円の計20000万円を、同10日付で政党助成金専用口座に振り込むと記載してありました。非公認候補が党支部長のままだったという記事をうけ、矢野副部長は『非公認候補の支部にも政党助成金2000万円が配られたのではないか』と調査を開始します。自民党支部の関係者は選挙期間中に『赤旗』の取材に応じないのではー。そう思ってしまうと取材は進みません。矢野副部長は最初からあきらめるようなことはせず、候補に質問状を送り、関係者にあたるという(突破力)をみせます。すると、ある支部の会計責任者が『他の支部のことはわからないが、党本部から党勢拡大のための活動費ということで2000万円が振り込まれた』と認めました。さらに矢野副部長は、非公認候補の支部には公認候補の支部とは別の文書が送られていたことを把握。非公認候補の支部には『公認料』という文言はなく、『党勢拡大のための活動費』として2000万円を、公示後の10月16日付で振り込む、という内容でした。支出名目は違っても支給は同額ーまさに『裏公認』でした。この会計責任者は『党勢拡大の活動費ということで、選挙には直接使っていない。事務所の費用など間接的に選挙使っているといわれれば、そうかもしれないが…』とも説明。2000万円が選挙活動と切り分けられないことを認めます。十分な確認が取れ、大慌てで記事を仕上げ10月23日付の一面で掲載。ふたつの『きっかけ』と記者のあきらめない努力が化学反応を起こし、大スクープに発展しました。記事が出ると、自民党はすぐ大混乱に陥りました。スクープ当日の午前中には、『自民党の森山裕幹事長が釈明コメントを出す』との情報が流れてきます。森山氏は『党勢拡大のための活動費として支給したものです。候補者に支給したものではありません』と、支給の事実を認めました。大手メディアは新内閣が誕生した直後に『政治とカネ』の記事を出すことを避ける傾向があります。一般的に新政権との『ハネムーン期間』と呼ばれる時期です。加えて選挙期間中となれば、批判的な記事は出にくくなります。しかし今回は、各メディアがいっせいに後追いを始めました。翌日24日には、石破茂首相が広島市内で『政党支部に出しているのであって非公認候補に出しておるのではございません』と釈明。『そのような報道に負けるわけにはいかない。そのような偏った見方に負けるわけにもいかない』と強がってみせました。自民党の選挙区支部は、支部長の議員が使途を決めることができる財布そのものです。こえは同党内の常識です。石破首相は、きわめて苦しい言い訳をせざるをえない状況に追い込まれました。選挙後、『読売』世論調査(10月30日付)では、石破内閣の支持率が51%から34%に急落。同紙は2000万円提供への『批判が根強いことが調査で裏付けられた』と評しています。いま大手メディアの記者たちから、私にこんなメッセージが続々と届いています。『赤旗さんの勝利ですね』『世の中を大きく揺さぶり、政治の世界を変えた』『自公過半数割れの最大の功労者はまぐれもなく赤旗です』『素晴らしい。世の中を動かした』『まさに歴史的な結果を導きましたね』ある雑誌の編集長はいいます。『全国紙には何百人も記者がいるのに、今回の選挙で『赤旗』のようなスクープが出せなかった。こういうのは追及しようという問題意識を記者がもっていないとスクープできない。一般紙の記者たちにも(赤旗)を読んだほうがいいと薦めたい』」
10月28日、TYSテレビ山口は、自民党山口県連友田幹事長のコメントを次のように報じました。
「27日に投開票が行われた衆議院議員選挙は、自民党が議席を256から191まで大幅に減らし、与党が過半数割れする惨敗となりました。自民党山口県連の友田有幹事長は28日、『2000万円を配ったことが要因だ。石破総裁は、進退を含めてしっかり考えるべきで、総裁の責任だった』と痛烈に批判しました。山口県内の小選挙区は、3議席を自民党の前職が死守したものの、山口2区の岸信千世氏は、立憲民主党の平岡秀夫氏を相手に、わずか1700票差の激戦となりました。これらの結果については『ほっとしているものの、全国的には大変厳しい判断をいただいた』とし、後半になって大きく伸び悩んだと振り返りました。『不記載の問題等で、皆さん方からご指摘を受けた中での選挙だった。それで、260ぐらいあった議席が減ったんだろうと思う』と分析。非公認とした候補者側に2000万円の活動費を支給したことが原因とし、『(非公認の)大変厳しい判断を下した結果が、敗因となった。石破総裁が責任を取るべきだ』と批判しました。」
11月8日付、しんぶん赤旗日刊紙は、日刊スポーツが赤旗の調査報道に敬意を表すとする記事を掲載したと次のように報じました。
「総選挙(10月27日投開票)で自民、公明両党を『過半数割れ』に追い込む決定的な役割を果たした『しんぶん赤旗』が、引き続きメディアの注目を集めています。日刊スポーツの『政界地獄耳』は『選挙前から自民党裏金問題のスクープを連発した(しんぶん赤旗日曜版)11月10日号が政治とカネでまたかっ飛ばした』との書き出しで日曜版の記事を紹介しました。自民党が裏金非公認議員に政党助成金から2000万円を支給していたと暴いた『赤旗』日刊紙の報道に対し、石破茂首相は『党勢拡大』のため党の選挙区支部に出したもので、選挙の公認・非公認とは無関係だと文書で反論しました。しかし今回の日曜版記事は、公認・非公認を含め候補者がいない選挙区支部には2000万円を支給していなかったことを暴露しました。『政界地獄耳』は、『つまり党勢拡大とは、うそということになる』と指摘。『時期ではほかの選挙区にも丁寧に取材しており、幾つもの証言も取られている』として、『どうやら反論として書かれていることも大きくつじつまが合わない。お粗末な話だ』と喝破しています。また、今回の選挙では、自民党の裏金づくりが長年まかり通ってきたことが問われたとしたうえで、共産党が大嫌いな政党や連合は『共産党などとは組めない』と言いながら、『赤旗』の記事に乗っかって自公を攻め、労せずして議席を稼いだようなものだと指摘。『赤旗の調査報道に敬意を表す』と締めくくっています。」
選挙後、お会いした自民党の関係者の方から「赤旗は何人記者がいるのかね」と聞かれました。
しんぶん赤旗三浦社会部長へのメッセージにあったように「自公過半数割れの最大の功労者はまぐれもなく赤旗」であったことは、自民党の関係者の実感となっていることを私も実感しました。
このことに確信をもって、11月県議会に向けて力を尽くしていきたいと思います。
皆さんの身の回りの疑問に思う問題などありましたら藤本まで(携帯090-3747-2855)ご連絡ください。
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