2010年から下関市豊北町で、風力発電事業として、白滝山発電所(総出力/5万キロワット)が事業期間を終了しました。
JR東日本エネルギー開発株式会社・株式会社きんでんは、白滝山発電所の長門市側に、(仮称)新白滝山風力発電事業を行うために、環境影響評価配慮書を県に提出し、昨年10月30日、知事意見が出されています。
事業規模は、最大7万キロワットと、最大18基の風車を設置しようとするものです。運転開始は、2031年頃としています。
2月2日、新白滝山風力発電事業を考える市民の会(廣岡綾子代表)は、江原長門市長に対して「(仮称)新白滝山風力発電事業についての要望書」を提出しました。
要望書は以下の通りです。
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長門市長 江原達也様
(仮称)新白滝山風力発電事業についての要望書
二期目の長門市政でのご活躍を期待いたします。
現在稼働中の豊北町の白滝山ウインドファームに関連して、JR東日本エネルギー開発株式会社(以下JR東日本)が油谷町の天井ヶ岳に規模を拡大して新たな風力発電所建設計画をしています。(最大出力7万7400キロワット、4千300キロワット×18基 想定区域面積 約1456ヘクタール)
巨大な陸上風力発電所計画は、白紙撤回になった天井山風力発電所計画に前後し、関西電力による一位ヶ岳~天井ヶ岳での計画に続き今回で3回目です。次々に起こる計画に驚くと共に、改めて地域の環境や生活への影響に懸念を持っています。
現在の白滝山風力発電事業で粟野など近隣の地区では、すでに稼働後から川の漁業への被害が起きている実情もふまえ、以下要望いたします。
長門市は(仮称)新白滝山風力発電事業を許可しないでください。
<要望理由>
①天井ヶ岳は水源地
天井ヶ岳の尾根を開発することは、油谷町民の飲料水、農業用水に影響を及ぼします。水脈は一度切ってしまうと元にもどらず、油谷湾の水質にも関わります。
②風力発電機の巨大化
稼働中の風車より巨大化され(出力約1.72倍 高さ約1・5倍)、更にくっきり威圧感を増して見えることになります。当然騒音や低周波問題もより大きく、広範囲に広がります。騒音に関しては天井山風力発電事業計画の件で岩藤睦子議員が議会で浜田市の風力発電で6キロ先に騒音がある例を出されたことからすると、浜田市のウインドファームより高さ約2倍、出力約2.5倍の本事業については大いに心配です。(向津具半島、日置、俵山への影響の可能性を危惧します。)
騒音や低周波の問題が起きた場合、その地域から出て行く人はいても、新たに入ってくる人はいません。その土地を売却することも困難になり、過疎化、荒廃が進みます。
威圧的な巨大風車を見ながら、騒音がする山に登ったり自然に親しむことができるかもはなはだ疑問です。
風車の巨大化により、既存の風車の土台を転用する事はむづかしいと思われます。新たな土台を建設する為に油谷側だけでなく豊北側にさらに土地を開けば、土地の乾燥、保水力の低下は進みます。土砂災害、渇水、山から海への栄養分供給力の低下のリスクが高まります。
更なる風車建設で粟野川の漁の復活は遠のくと考えられます。また尾根を通り道とし、山で暮らしていた動物が今以上に人間の生活圏に降りて来ることが当然考えられます。また絶滅危惧種ツキノワグマやチュウゴクブチサンショウウオ、クマタカ等の動物、白滝山から角島を渡りのルートとしている鳥類への影響が心配されます。
③事業者の問題
2023年10月11日、粟野自治会館で事業者JR東日本の職員は、「現在の風力発電で困っている。元に戻してほしい。」と意見する粟野地区の人々に「環境調査だけはさせてください。」と発言しました。環境調査は風車建設に必要な手順であり、すでに困っている人たちに、「さらい大きな風車を立てさせてほしい。」ということは、地元の人の生活はどうでもよいと考えていることを示しています。
JR東日本は、現在進めている山形県の栗子山風力発電計画で国の天然記念物イヌワシの営巣地調査でデーターを改ざんしていることが発覚しています。事業者側から意見をもとめられている岩手県立大学由井正敏名誉教授は再調査を要求。その調査のさなか、再調査の事実を県に報告せず準備書を提出し、環境庁や山形県がイヌワシの営巣地の調査に乗り出す事態になったと地元さくらんぼテレビが報じています。
「日本イヌワシ研究会」「日本野鳥の会」などからは計画の見直しや中断を求められています。(2023年10月11日、10月21日、12月8日放送)
このような事業者に環境調査をさせてよいものでしょうか?そもそも第三者の調査ではないやり方には意味がありません。白滝山ウインドファームでも残土に石灰を混ぜ、谷を埋めていたことが最近になり判明しました。
また後々何か困る事が起きた時、誠意ある対応が得られるとは思えません。岩国市や山口市のメガソーラーでは事業者と連絡が取れない、話し合いができないなどの事態が起きており、地元が泣き寝入り状態となっていることは他人事ではありません。
④大規模開発への対応
宮城県は昨年、再エネ発電所による森林の大規模開発に対するため、県独自で「再生エネルギー地域共生促進条例」で事業者に課税するシステムを制定しました。
地域の自然や市民の生活を守る為には、はっきり拒否する事やまた宮城県のような自衛の対策が必要ではないでしょうか。
⑤市財政への影響
昨今は気候変動による災害が多発しており、その上巨大風力発電事業を許可して自らの環境破壊に手をかせば、その対応にさらに市の財政を費やすことになります。市民生活の困難さが増すこと、地域の荒廃が進むことを懸念します。
2024年 2月2日
新白滝山風力発電事業計画を考える市民の会
代表 廣岡綾子
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この要望書を参考にして、(仮称)新白滝山風力発電事業についてしっかり学び、必要な発言を行っていきたいと思います。
風力発電事業に対する皆さんのご意見をお聞かせください。
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