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前衛7月号 鈴木剛論文「破綻ずみの核燃料サイクルに固執する岸田政権」を読んで

 日本共産党中央委員会理論政治誌「前衛」7月号に、日本共産党学術・文化委員会の鈴木剛さんによる「破綻ずみの核燃料サイクルに固執する岸田政権」と題する論文は、中間貯蔵施設問題で揺れる山口県民にとってとても興味深い内容です。
 鈴木さんは、六ケ所村の再処理工場について次のように述べています。
 「使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理工場は、核燃料サイクルに不可欠の施設です。六ケ所再処理工場(日本原燃(株)、青森県)は、竣工(完成)時期が当初の1997年12月から26回も延期され、現在は2024年度上半期とされています。建設費は、1993年着工当時の7600億円から3兆1300億円へ約4倍になりました。原子力規制委員会は、六ケ所再処理工場の基本計画について規制基準に適合していると認めましたが(2020年7月)、その後の詳細設計と工事計画については、昨年末に出した申請書類に多数の不備があることが発覚し大問題になっています。今年1月の審査会合で原子力規制庁側から、多数のミスが指摘され、『審査に値しない』、『原燃に足りてないのは設計の理解』、『時間ありきで適当に出したんじゃないか』との発言もありました。その後の調査では、申請書約6万ページのうち、約400ページの落丁を含め約3100ページに誤りがあることが明らかになりました。原子力規制委員会は4月に、日本原燃の増田尚宏社長ら経営陣との意見交換を行い、スケジュールありきではなく『審査に足る申請書』を出すよう求めました。スケジュールなど経営上の都合が最優先となれば、仕事の丁寧さが犠牲になります。今回は書類の不備でしたが、原子力施設にとって、ずさんな仕事は重大事故につながります。これまでも、ケーブル敷設の不備(2016年)、非常用電源室への雨水流入(2017年)、高レベル放射性廃液を保管するタンクの冷却機能の一時喪失(2022年)など、管理の不備が続発しています。日本原燃に原子力施設を運営する資格があるのか、厳しく問われます。日本原燃がスケジュールを最優先してきた背景には、再処理工場が稼働していないために、各原発に使用済み核燃料がたまり続け、このままでは原発の運転ができなくなるという事情があります。また、六ケ所再処理工場については、青森県、六ケ所村、事業者(当初は日本原燃、現在は使用済燃料再処理機構)の3者で、『再処理事業の確実な実施が著しく困難となった場合』には使用済み核燃料を施設外に搬出するとの『覚書』を交わしています。『施設外に搬出』ということで原発に返納されれば、原発の運転が困難になります。GX実現基本計画に『六ケ所再処理工場の竣工目標実現』が明記されたのは、原発がとまるような事態をなんとかしても避けるという政府の決意の表れと言えます。」
 鈴木さんは、「核燃料サイクルに固執すれば、将来世代に大きな困難を押し付けることになります。一刻も早く原発・核燃料サイクルから撤退することが求められます。」と結論づけています。
 中国電力は、周辺住民に対し「中間貯蔵施設の設置に係る調査・検討の実施について」とするチラシを配布しています。
 この中に、「これまで皆さまから頂いたご質問にお答えします」があり、「再処理施設も稼働していないし、高レベル放射性廃棄物処理施設の候補地も決まっていない状況では、中間貯蔵施設にいつまでも貯蔵しておくことになるのでは?」との質問が設定されています。
 中国電力はこの問いに次のように答えています。
 「青森県六ケ所村にある再処理施設は、現在、建設工事が行われており、2024年度の上期に、しゅん工する見通しです。また、高レベル放射性廃棄物処分施設は、国が候補地を選定する段階であり、その最初のステップとして、北海道寿都町、神恵内村において、文献調査を実施しています。国では、ほかにも多くの地域で文献調査を受け入れてもらうよう取り組んでいるところです。今回の調査を経て、今後、上関町が中間貯蔵施設の建設を受け入れていただくことになれば、貯蔵期間をご相談することになります。なお、青森県むつ市の中間貯蔵施設では、貯蔵期間を50年間と決められています。」
 しかし、鈴木さんの論文を読む限り、核燃料サイクルの破綻は明確です。上関町の中間貯蔵施設が最終処分場になるのではないかとの県民の懸念は払しょくできません。
 本議会に、原発をつくらせない山口県民の会、市民連合@やまぐち、上関原発を建てさせない山口県民会議、上関原発用地埋め立て禁止住民訴訟の会の4団体から「使用済み核燃料『中間貯蔵施設』の上関町への誘致に反対することを求める請願」が提出される予定です。
 多くの県民が疑問を持つ「中間貯蔵施設」は、上関町だけの判断で推し進めてはなりません。
 知事も同意すべきではありません。

 本議会には、現時点で県内5団体から「中間貯蔵施設」の建設に反対する請願書が県議会に提出されました。

 26日の県議会で、しっかり中間貯蔵施設の問題について県知事の姿勢を質していきたいと思います。

 中間貯蔵施設の問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。

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