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志位和夫著「この国を『戦争国家』にしていいのか!? 若者と語る」を読みました。

 志位和夫「この国を『戦争国家』にしていいのか!?若者と語る」について4月26日のしんぶん赤旗日刊紙に、日本共産党副委員長の緒方靖男さんが書評を書かれていますので紹介します。
 「岸田政権が進める大軍拡の危険性に誰もが不安を感じる今日、その実態を明らかにし、軍事によらない外交の平和的対案が求められています。本書は、この喫緊の課題をテーマに、志位和夫委員長が3月、日本民主青年同盟(民青)主催の学習会で語った内容を収録したパンフレットです。内容の第一の魅力は、志位氏が日米の政治軍事動向の研究に基づいて、歴代政権が建前としてきた『専守防衛に徹する』ことと大軍拡とが両立不能であることを誰の目にも明らかにした国会論戦を再現、展開していることです。米国が『切れ目のない融合』を明示している『統合防空ミサイル防衛』(IAMD)を示し、『日米軍事一体化ではないか』との追及に、岸田首相は『日本は別にやります』と米軍も困惑するようなゴマカシに終始します。さらに憲法違反の集団的自衛権と敵基地攻撃能力が導くのは先制攻撃と日本に戦争を呼び込む危険であり、軍拡は『日本を守るため』という偽りが暴かれます。政府が多用する『抑止』とは相手国に脅威を与えることであり、『専守防衛』とも憲法9条とも相いれないことも明らかにされています。これだけ危険を指摘しながら、読後、希望が浮かび上がるのが本書のもう一つの無力です。それは、志位氏の広い視野と国際経験に裏打ちされた強い説得力に加え、世界に働きかける実践と成果が伴っているからです。昨年1月に発表された党『外交ビジョン』は、ASEAN(東南アジア諸国連合)との交流を踏まえて、国連憲章に基づき、あらゆる紛争は話し合いで解決する、排除ではなく包摂の流れを発展させようと提唱しています。これは、ロシアのウクライナ侵略の前に出されたものですが、米政権が『民主対専制』と世界を色分けし、国際社会から『専制政府』の排除を持ち込むなかで、『天下の公論』として生命力を増しています。昨年11月にトルコで開催されたICAPP(アジア政党国際会議)総会に参加した志位氏は『外交ビジョン』を、会議への事前提案、総会でのスピーチ、執行部との特別会合でも繰り返し訴えました。執念の活動は、『ブロック政治を回避する』『競争より強力』とのイスタンブール宣言の全会一致の採択で実を結びました。同じ時期に、G20、東アジアサミット(EAS)などASEANの3カ国がそれぞれ主催した首脳会議が開かれました。米国、ロシアなど主要国が参加するこれらの多国間会合は、米国によるロシア排除の押し付けにより成功の見込みがないといわれていたのですが、インドネシアはじめASEAN諸国は米国を説得し、全構成国の参加と共同声明の発出に成功しました。ICAPP総会の1カ月後に開催された欧州左翼党大会に招待された私は、発言の中でイスタンブール宣言を紹介、戦争により分断化が進行しているいる欧州でこそブロック政治反対は特別の意義をもつと強調しました。これには、参加者から『アジアから励ましの重要なねっセージだ』と大きな反響がありました。日本共産党の国際活動は、包摂重視でもASEANの実践と重なり、世界の本流と共鳴し、国際政治の焦眉の課題を前に進める力を示したのです。戦争となった欧州で外交の失敗を分析し、アジアでその轍を踏まないための教訓は重要です。また、中国についての質問に、のちに発表される、準備中の提言『日中両国関係の前向きの打開のために』の概要と考え方を答えるなど、最新の到達が語られています。私はオンラインで視聴していましたが、志位氏とファシリテーター(進行役)の中山歩美さん(民青副委員長)のテンポよいやりとり、Q&Aの的確な構成、明快な論立て、分かりやすい縦横な解明が心に残りました。本書には、その全容がそのまま再現されています。視聴した青年の感想文を拝見する機会があったのですが、内容がしっかりと受け止められており、青年の鋭いアンテナと強い学習意欲は励みとなり、未来を感じます。最後に、志位氏は「『憲法9条は踏みつけにされながらも、今なお巨大な力を発揮しています』『戦争の準備ではなく、平和の準備をーこの言葉を合言葉に頑張りましょう』と呼びかけています。青年はもちろん平和に関心を持つすべてのみなさまに、ぜひ本書を読んでいただきたいと推薦します。」
 志位さんが、「抑止」は、憲法9条と根本的に相いれないとする論拠として、戦後、日本国憲法制定過程に関与し、日本を占領した連合国総司令部(GHQ)のマッカーサーと交渉した当時の総理大臣である幣原喜重郎さんの「外交五十年」という回想録から次の文書が引用されています。
 「軍備に関しては、日本の立場からいえば、少しばかりの軍隊を持つことはほとんで意味がないのである。・・・外国と戦争をすれば必ず負けるに決まっているような劣弱な軍隊ならば、誰だって真面目に軍人となって身命を賭するような気にならない。それでだんだんと深入りして、立派な軍隊を拵えようとする。戦争の主な原因はそこにある。中途半端な、役に立たない軍備を持つよりも、むしろ積極的に軍備を全廃し、戦争を放棄してしまうのが、一番確実な方法だと思うのである」
 志位さんは、この文章を引いた後こう述べています。
 「『軍事による抑止』という考え方と、徹底的に決別して、徹底した外交の力によって平和をつくろうというのが9条の根本精神です。この9条の理想が一挙に実現することはできなくても、この理想を高く掲げて、理想に向けて一歩一歩現実を変えていくということが大切ではないか、と言うのが私たちの考えです。」
 「『抑止』とは『恐怖」であり、『脅威』であって、必ず『脅威対脅威』の悪循環、『軍事対軍事』の悪循環に陥ってしまい、それは戦争の道であること。-『抑止』と『専守防衛』は相いれない、『抑止』と憲法9条はさらに根本的に相いれないものだということ。これが結論だと思います。」
 私は、笠原十九司さんの「憲法九条と幣原喜重郎 日本国憲法の原点の解明」を読んでいましたので、志位さんが幣原の回想録を引用して日本が「軍事による抑止」という考え方と決別したことを説明したことを嬉しく思いました。
 笠原さんの本に、マッカーサーが1955年にロサンジェルスで演説した内容が紹介されています。
 この演説で、幣原首相がマッカーサーに憲法9条を提案した時の様子がこう語られています。
 「日本の賢明な幣原老首相がわたしのところに来られて、日本人自身を救うには、日本人は、国際的手段としての戦争を放棄すべきであるということを強く主張されました。わたくしが賛成すると、首相は、わたくしに向かって『世界はわれわれを嘲笑し、非現実的な空想家であるといって、ばかにすることでしょうけれども、今から百年後には、われわれは預言者とよばれるに至るでありましょう』と言われました。」
 笠原さんは、核兵器禁止条約が国連で採択されたことなどを捉え、次のように語っています。
 「世界の歴史の流れは、幣原が『今から百年後には、われわれは預言者とよばれるように至るでありましょう』と語ったとおり、憲法9条にこめられた核兵器廃絶の平和思想が紆余曲折を経ながらも現実味を帯びてきていることを証明している。」
 志位さんが言うように、「憲法9条は踏みつけにされながらも、今なお巨大な力を発揮している」との言葉通り、憲法9条の方向が唯一、戦争の原因を作らせない道だということをこれからもしっかり学んでいきたと思いました。
 憲法施行76周年に志位さんの本を読み、9条を生かした未来ある平和の道を歩んでいく決意を新たにました。
 志位和夫著「この国を『戦争国家』にしていいのか!?若者と語る」を読んでみたいという方は私にご連絡ください。

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