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20年前に県内半導体製造拠点で2300人のリストラが行われたことを質す

   私は、3月3日、一般質問で登壇しました。
 やまぐち未来維新プランと新年度予算案について、今日は、産業維新に関わる問題について報告します。
 新たな価値を創造する産業DXプロジェクトの具体化として、新年度予算案に半導体・蓄電池製造拠点等の県内進出企業に対し最大で50億円補助する制度が新設されました。
 日米半導体産業の世界シェアは1988年の50・3%から2019年には10%にまで落ち込みました。これは、アメリカ政府の圧力で当時の自民党政権が日本市場の海外シェアを20%にする目標を掲げた「日米半導体協定」締結も大きな要因です。
 過去には、旧楠木町が立地奨励金約1億8千万円を支出し、県も5億7千万円以上かけて工業用水道を敷設するなどの支援をしたルネサス山口工場が撤退しました。
 私は、県はこうした過去の経緯をどう捉えているのか質しました。
 小関商工労働部長は「半導体は様々な産業に必要となる重要な製品であり、こうした企業を誘致することは、本県産業力の強化にも資することからルネサス山口工場をはじめ、関連企業の誘致を進めてきた。ルネサス山口工場については、施設の老朽化などを理由に昨年6月に閉鎖されたが、最盛期には、約2000人の地元雇用の創出に加え、県内企業との取引などにより、約40年にわたり地域経済に貢献いただいたと認識している」と答えました。
 私は、立地企業への補助金交付について、事業の縮小・廃止の場合の地元自治体との協議義務付けや補助金返還などのルールを課す必要があると質しました。
 小関部長は「天災などの正当な理由によることなく操業開始後10年以内に事業が縮小・休止・廃止されたときは、補助金の返還を求めることとしている。また、企業の撤退にあたっては、補助金の取扱いも含め、地元市町と十分に連携しながら、企業と適切に協議を行うこととしている」と答えました。
 私は、国は半導体製造工場の建設に最大で経費の2分の1を助成する制度をつくっているが、なぜ、県が50億円もの補助制度をつくる必要があるのか質しました。
 小関部長は「企業誘致は雇用の創出や地域経済の活性化など、将来にわたり多面的な効果をもたらすため、県では、その取組を推進している。DX、GXの進展に伴い、企業の設備投資が活発化している半導体や蓄電池等の成長分野においては、地域間競争が激化し、多くの自治体で国の補助に加えた支援を行っていることから、本県への誘致を実現するため、他県に引けを取らない支援制度を創出するものだ」と答えました。
 私は、新年度、中小企業がデジタル化を進めるための予算は約3億円。半導体製造拠点等への補助金の上限を削り、中小企業への支援を強めるべきだと質しました。
 小関部長は「新たに創設する補助制度は、業界の裾野が広く高度技術を有する県内中小企業との親和性も高い半導体や蓄電池などの分野を対象としており、この支援により県内中小企業の取引拡大など、大きな波及効果が期待できるものと考えている。また、新年度予算案では、デジタル化を進める事業に加え、脱炭素化に向けた支援やリスキリング等の人材育成、さらに、物価高騰対策など、中小企業の経営安定や成長支援に向けた総合的な取組を推進することとしており、補助金の上限額を下げる考えはない」と答えました。
 2012年当時、県内の半導体製造拠点であるルネサス山口工場で1200人、柳井工場で130人、シルトロニックジャパン光工場で500人、MCS下関工場で470人、県内で2300人のリストラが行われました。当時、二井知事と宇部・柳井市長が、ルネサス本社に出向いて、事業の継続を要請しましたが、ついに山口工場は、売却されることなく、昨年6月に閉鎖されました。
 私は、わずか20年前に県内の半導体拠点で、2300人もの雇用が奪われたことをどう受け止めているのか質しました。
 小関部長は「お示しの企業の撤退は、景気動向や国際情勢など、様々な要因に基づく企業の経営判断によるところが大きいものの、本県経済への影響を考慮すると、大変残念である。しかし、一方では、これら企業には、長年にわたる操業により、地域経済の発展と雇用の確保に貢献されたものと認識している」と答えました。
 私は、これから50億円という異次元の補助を半導体企業に行う際に、事業の閉鎖などの時にしっかり地元市町と協議するということを補助要件にすべきだと質しました。
 小関部長は「企業の進出に際しては、土地の取得や工場の建設、関連企業との取引など、多大な経済波及効果が見込まれます。一方で、工場閉鎖や大きな雇用調整は、地域経済に大きな影響を及ぼすので、企業にはその社会的責任を十分認識し、その責任を果たしていただくことが必要だと考えている。県として(企業に)社会的責任を果たしていただけるよう、市町と連携して、今後とも要請していきたい」と答えました。
 私は、ルネサス山口工場に給水していた工業用水の水量と、その結果、宇部・山陽小野田・美祢地域の工業用水の未契約水量について質しました。
 企業局長は「ルネサス山口工場の契約水量は1日当たり9100㎥だったが、撤退により、現在未契約水となっている。次に、宇部・山陽小野田・美祢地区の未契約水量の合計は、9100㎥を加え、45330㎥となっており、未契約水の削減を図るため、今後も企業立地担当部局と連携した需要開拓に努めてまいる」と答えました。

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