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角田光代著「タラント」を読んでいます。

 4月17日付のしんぶん赤旗日曜版に作家の角田光代さんが登場しました。
 角田さんの作品では、ドラマや映画になった「八日目の蝉」などを読んだことがあり、人間の葛藤を丁寧に描ける作家だと敬意を表していました。
 このインタビューでは、最新作の「タラント」が紹介されていました。
 このインタビューを読み、書店で「タラント」を買い、今日までに半分程、読みました。
 この小説には、パラリンピックのアスリートが重要な配役として登場します。
 角田さんは、パラリンピックの歴史について、次のように語っています。
 「戦中戦後の日本ではリハビリの発想などありません。太平洋戦争から負傷して帰ってきた人たちは、一生寝たきりで家から出さないというのが普通でした。でも、イギリスに亡命したユダヤ系医師が戦争での後遺症をスポーツでリハビリできないかと考え実行した。これを見学した日本の医師が『日本でも』と決意し実現させる。小説よりおもしろいくらいです(笑い)」
 小説では、主人公のみのりの祖父を通して戦争が語られています。
 角田さんは、戦争への思いを、次のように語っています。
 「若いころは、小説の題材としては自分の周りにしか興味がもてませんでした。戦争を題材にしたいと思うようになったのは、年齢を重ね、身の回り以外にも関心が向かってきたからだと思います。私の祖父は二人とも戦死をしています。彼らはどんな人だったのだろうという思いもありました」
 インタビューで、ロシアのウクライナ侵攻について問われ、角田さんはこう答えました。
 「小説は何か立派なことを伝えるものではないと思っています。でも、反戦は私の意志ですし、この時期に出すことで連載で書いていた時とは違った意味合いが加わっていると思います。たとえ小さな力でも、主人公が一歩、前へ出ようとするところに、私的にはいま、すごく意味がある気がします」
 この小説に、成功者は登場しません。主人公のみのりも、甥の陸も、祖父の清美も。
 しかし、この小説は、私に興味を抱かせ続け、ページをめくらせる力を持っています。
 丁寧に丁寧に話は進みます。その中で、私は、丁寧に丁寧に励まされてるのです。
 主人公のみのりと一緒に、一歩前へ出ようという気持ちにさせてくれる作品です。
 5月1日は、第93回メーデーに参加しました。
 「教え子を再び戦場に送るな」「二度と召集令状(赤紙)は配らない」「再び戦場の血で白衣を汚さない」平和こそ労働組合運動の原点です。ロシアのウクライナ侵略が続く中でのメーデーになりましたが、平和のために世界が一歩前に出るために、私は、メーデーに参加しました。
 角田光代ファンの皆さん、お勧めの作品をお教え下さい。

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