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防衛省が「イージス・システム搭載艦の構成品は『SPY7』」詳細は不明

 イージス・アショア配備計画の撤回を求める住民の会(森上雅昭代表)(以下、住民の会)は、4月28日、「イージス・システム搭載艦整備計画の撤回を求める申し入れ」を岸信夫防衛大臣に行いました。
 申入れの内容は、次の通りです。
1、2020年6月15日、イージス・アショア配備計画の停止発表以降、同年8月28日、安倍首相退任表明。9月4日、防衛省「イージス・アショアに係る経緯について」発表。9月11日、安倍首相「首相談話」発表。9月16日、菅政権発足、防衛大臣に岸信夫(安倍晋三の実弟)。このように、目まぐるしい経緯のなかで、2020年11月13日、民間事業者から「イージス・アショア代替案中間報告」が提出され、同年12月18日に、閣議決定「新たなミサイル防衛システムの整備等及びスタンドオフ防衛能力の強化について」が出された。
①上記「中間報告」は、何カ月という僅かの期間で提出されているが、どのような検討がおこなわれたのか、「中間報告」の経緯の説明を求める。
②2020年11月20日、岸信夫防衛大臣記者会見「中間報告の内容を、いつ、どのような形で報告するか、しかるべく説明できるよう、準備してまいります」から1年半近く経つが、説明できていない理由の説明を求める。
③「中間報告」と「米側から得た情報」の公表を求める
2、2020年11月27日、衆議院203国会の安全保障委員会において、土本英樹防衛省整備計画局長は「今回の中間報告を通じまして申し上げたいことは、いずれのプランにおいても、イージス・アショアの構成品を洋上プラットフォームへの搭載に係る技術的実現性を確認することができた」という答弁をしている。この答弁について、次の通り、説明を求める。
①「イージス・アショアの構成品」とは具体的には何か。
②「いずれのプラン」とは、具体的には何か。
③「洋上プラットフォームへの搭載」とは具体的には何か。
3、「洋上プラットフォームへの搭載に係る技術的現実性を確認することができた」という答弁について、以下の通り、説明を求める。
①そもそも、陸上仕様のイージス・アショアを、何故、洋上仕様に変更・代替しするのか。
②「イージス・アショアの構成品」の重量からは、「洋上プラットフォームへの搭載」は無理・危険なのではないか。
③イージス・アショアのレーダーの塩害対策について、技術的・予算的な説明を求める。
4、2022年4月11日、衆議院決算行政監視委員会で、岸防衛大臣は「搭載艦については着実に検討を進めている。五里霧中ではない」と述べている。イージス・システム搭載艦の建造費の予算計上が見送られている現状のなかで、どのような「検討を進めている」のか、説明を求める。
 以上の申し入れが、萩副市長に手渡され、同時に、防衛省に送付されました。

 イージス・システム搭載艦の配備計画の説明を求める申し入れ書が、柴田萩市副市長に手渡される

  (左が柴田副市長、右が森上代表)

 同日、住民の会が、1月25日に求めていた申し入れ書に対する回答が、中国四国防衛局の綿貫企画部次長から寄せられました。
 第一の申し入れ項目は次の通りです。
 1、2021年12月21日の萩市議会において「イージス・システム搭載艦は、情勢に応じて、適用に最適な海域に展開し、特定の海域は想定していない」と言う説明があった。そもそも岸防衛大臣は、2020年12月11日の記者会見において、「常時持続的に我が国全域を防護しうる態勢の構築をめざす」と説明している。これは、2020年12月、防衛省の「イージス・アショアの配備についてー再調査の結果を踏まえた再説明ー」(※)と同一である。
 ※「『配備候補地の選定:防護範囲』として『我が国全域を最も効果的に防護せきる配備先について、分析を行ったところ、『山口県7内の一部地域』と『秋田県内の一部地域』との結果を得ています」
 上記の説明によると、イージス・システム搭載艦2隻の配備先=運用海域は、理論的数理的には萩市沖と秋田市沖となる。よって「特定の秋域は想定していない」という萩市議会への説明との整合性について、更なる説明を求める。
 防衛局からの回答主旨は以下の通りです。
 「陸上に固定するイージス・アショア配備に関し、配備地として、秋田県と山口県周辺の適地を選定した。海上に配備するイージス・システム搭載艦の場合は、移動可能である。既設のイージス艦と連携して、我が国全域を防護しうる態勢の構築をめざす。イージス・システム搭載艦は、特定の海域で運用するのものではない。」
 第二の申し入れ事項は次の通りです。
 今般の搭載艦整備計画の説明と2020年までの防衛省の説明とは、正反対である。従来の説明(※)では「イージス・アショア2基の能力をイージス艦で代替するとなると、相当数の増勢が必要となり、イージス・アショアに比べて大幅な人員と費用が必要となりますが、海上自衛隊の人員がひっ迫している状況も踏まえて、イージス艦の増勢でイージス・アショア2基の能力を代替することは困難であると考えます」とのことだった。
 ※「イージス・アショアの配備に係る最適地の調査について(回答)」(2018年8月17日 小野寺五典防衛大臣)
①「代替することは困難」との説明と、代替をイージス・システム搭載艦とした閣議決定との整合性について。
②「大幅な人員と費用」についれ、「イージス・アショアの導入は、イージス艦の増勢よりも費用対効果の面で優れています」(「イージス・アショアの配備についてー各種調査の結果と防衛省の検討結果についてー2019年5月防衛省」)との説明と、搭載艦の整備費用との比較について。
③「海上自衛隊の人員がひっ迫している状況」にもかかわらず、搭載艦を整備する理由について。
 防衛局の回答主旨は次の通りです。
 ①については次の通りです。
 「イージス・システム搭載艦に搭載が検討されているSPY7は、従来のシステムよりもより広く、より高く持続的に我が国を防護しうる能力を持っており、より多くのミサイルへの対処が可能であり、従来とは前提が異なる。」
 ②③については次の通りです。
 「イージス・システム搭載艦については、現在、米国政府、及び民間団体を交えて検討を進めている。現在、コストを示す段階にない。また、必要な予算や要員は確保したい。」
 三番目の申し入れ項目は次の通りです。
3、防衛省が中止した案件を「安倍首相(当時)が覆す」という案件(安倍案件)が、無人偵察機グローバルホークに続いて、イージス・アショアでも行われた。
①2020年8月28日の安倍首相(当時)「辞任発表」は、「病気と治療を抱え、体力が万全でないという苦痛の中から、大切な政治判断を誤ること、結果を出さないことがあってはなりません」というものだった。しかし、「イージス・アショアの代替→イージス・システム搭載艦整備計画」という政治判断は、内閣法第9条に規定されているような「病気」状態の時期の安倍首相(当時)による「談話」によるものであり、正規の判断とはいえないものではないか、その説明を求める。
②無人偵察機グローバルホークの中止→復活、地上イージスの中止→復活、について、時系列での説明を求める。
③河野防衛大臣(当時)が日米交渉による契約解除を模索したが、岸防衛大臣によって覆された経緯(岸案件)の説明を求める。
※「中国新聞」「山口新聞」1面記事参照(2021年12月26日)
 防衛局の回答主旨は次の通りです。
 ①については次の通りです。
 「我が国を取り巻く安全保障環境を見る中で、イージス・アショアに代わり、イージス・システム搭載艦を整備することを判断した。」
 ②については次の通りです。
 「グローバルホークやイージス・アショアの検討を中止した事実関係はない。」
 ③については次の通りです。
 「河野大臣は、契約の解除を進めたのではない。我が国を取り巻く安全保障環境の厳しさは変わらない中、代替案の検討は行っていた。」
 私は、「2020年6月に、河野防衛大臣が、イージス・アショア配備撤回を表明し、2020年9月に防衛省が『イージス・アショアに係る経緯について」と言う文書を公表した。その段階までは、イージス・システム搭載艦の検討についての言及はない。2020年12月18日の「新たなミサイル防衛システムの整備等及びスタンド・オフ防衛能力の強化について」の閣議決定で突如、『イージス・システム搭載艦の整備』が明らかになった。2020年9月から12月までの過程の説明なしに、『代替案の検討は行っていた。」と説明されても辻褄合わせの答弁としか思えない。」と発言しました。
 国民・県民には十分な説明や資料が示されないまま、ロッキード社のPPYー7を構成品としたイージス・システム搭載艦2隻の検討が米政府と民間団体を交え、防衛省との間で進められています。
 今後とも、住民の会の皆さんと一緒に、イージス・システム搭載艦の全容解明に取り組んでいきたいと思います。
 この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

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