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カーボンニュートラルポート形成計画を県内重要港湾での作成を検討と部長答える

 2011年に徳山下松港・宇部港が国際バルク戦略港湾に選定された際の「国際バルク戦略港湾計画書」では、2008年に1910万トンあった石炭取扱量が2020年に2420万トンに拡大するとしています。しかし、2020年の石炭取扱量は1714万トンであり、2008年の取扱量より減少しています。
 脱炭素社会の進展の中で、徳山下松港・宇部港での石炭取扱量は、今後減少することが予測されますが、相変わらず、国際バルク戦略港湾を前提にした港湾整備が進められています。
 一方、昨年3月、徳山下松港は、「カーボンニュートラルポート形成に向けた方向性」が示されました。
 私は、8日に行った一般質問で、①国際バルク戦略港湾からカーボンニュートラルポートへ移行する経過について県民に説明すべき②国際バルク戦略港湾からカーボンニュートラルポートに移行した徳山下松港・宇部港の新しい港湾計画を県民に示す必要があるーとの二つの質問を行いました。
 和田土木建築部長は①について「県では、国際バルク戦略港湾について、石炭の継続的な利用が見込まれることから、バイオマスの輸入拡大を踏まえた当面のベースエネルギーの輸入拠点港としての整備を進めることとしている。また、徳山下松港がカーボンニュートラルポートの形成について先行的に検討する港の一つとして選定されたことを受け、国等と連携して検討会を開催し、将来的には、水素・アンモニア等次世代エネルギーの供給拠点港への進化を目指すとの方向性などをとりまとめ、公表してきたところだ。」と答えました。
 和田部長は、②について「県では、徳山下松港について、カーボンニュートラルポート形成計画を今後、策定・公表することとしており、その他の重要港湾についても、形成計画の作成について検討することとしている。港湾計画の変更に必要となる次世代エネルギーの品目や取扱量等については、この形成計画の中で検討することから、現時点では、徳山下松港・宇部港の港湾計画を変更することは考えていない。」と答えました。
 やまぐち産業イノベーション戦略に、国際バルク戦略港湾の目標が示されています。目標は、2023年度までの3年間で、石炭の共同実施回数を35回にするというものです。
 私は、「石炭の輸送を増やすことを目標にすることは、脱石炭社会の到来に逆行するものだ。次期計画は、バイオマス等の目標を設定するなど、石炭だけの輸送を増やす目標設定を見直す必要があると考えるが尋ねる。」と質しました。
 平野産業戦略部長は「石炭については、現状では、継続的な利用が見込まれています。お尋ねの指標は、石炭に係る物流コストの削減により、企業の国際競争力の強化に資するよう、令和5年度までの3年間を目標として設けた指標であり、これを見直すことは考えていない。」と答えました。
 私は、2024年度からの次期計画の見直しを求める質問を行いました。この点についての回答がなかったことは残念です。引き続き、この点は注視し、必要な発言を行っていきたいと思います。
 徳山下松港・宇部港の国際バルク戦略港湾の当初計画では、2020年には、パナマックス級だけでなくケープサイズ級の船舶も入港可能だとしています。
 私は、「ケープサイズ級の入港はあったのか。また、徳山下松港・宇部港のバイオマス取扱量は。」と質しました。
 和田部長は「ケープサイズ級の入港実績は、現在、港湾施設を整備中であることから、入港実績はない。徳山下松港・宇部港の2020年のバイオマス取扱量は113万トンである。」と答えました。
 国際バルク戦略港湾の当初の計画書に、石炭取扱量が、2008年1910万トンから2020年に2420万トン=510万トン増加するとあります。だから、巨大な港湾計画が必要という理屈です。
 2020年の石炭取扱量は、1714万トンであり、バイオマス取扱量は、113万トンで、合計、1827万トンです。
 2020年の徳山下松港・宇部港の石炭とバイオマスの取扱量1827万トンは、2008年の石炭取扱量1910万トンより下回っています。
 私は、「今後とも巨大な港湾開発を進めていくためには、しっかり県民に対し、根拠をもった説明資料が必要だ。脱炭素社会の到来を受けて、事業費についても再検討し、県民に示す必要があると思うが尋ねる。」と質しました。
 和田部長は「バイオマスで石炭と同じ熱量を得るためには、石炭の2倍の体積のバイオマスが必要となる。取り扱う貨物の体積は増加して、入港船舶数が増加することが見込まれる。いずれにしても、石炭を使用する多くの企業は、当面は、石炭とバイオマス等の混焼により二酸化炭素排出量の削減に務めつつ、安定供給性・経済性に優れた石炭の継続的な利用を見込んでいるところである。このため、現時点では、国際バルク戦略港湾施策を見直すことは考えていない。」と答えました。
 和田部長のこの点での答弁は一般論に終始した内容です。私は、国際バルク戦略港湾の目標貨物取扱量と実績は乖離していることを指摘し、当初の港湾計画を進める根拠を示すべきだと質したのに、明確な回答がなかったことは残念です。
 しかし、和田部長は、私の最初の質問に、カーボンニュートラルポート形成計画作成の中で、「次世代エネルギーの品目や取扱量等について」検討することを明らかにしました。
 このカーボンニュートラルポート形成計画を徳山下松港だけでなく、県内「その他の重要港湾についても」「作成することを検討することとしている」と回答しました。
 今後、作成される形成計画に示される「次世代エネルギー品目や取扱量等」の具体的内容について注視していきたいと思います。
 次世代エネルギーの品目や取扱量が明確になった段階で、徳山下松港や宇部港の港湾計画の変更を求めていきたいと思います。
 脱炭素社会における石炭を中心とした国際バルク戦略港湾は見直しを今後とも求めていきたいと思います。
 この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

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