1月26日、県教委は、山口県高等学校教職員組合に対して、「『休日のまとめ取り』のための1年単位の変形労働時間制に係る規定の整備について」とする文書を提示しました。
文書の内容は「学校職員のうち教育職員について、長期休業期間等に勤務時間が振られない日を連続して設けることを目的とする場合に限り、1箇月を超え1年以内の期間を平均して1週間あたりの勤務時間が38時間45分となるよう、週休日及び勤務時間を割り振ることができるようにするための規定の整備を行う」とし、施行日は、「令和3年4月1日としたい」としています。
2月5日付「山口県高教組新聞」は、「組合との交渉を経て2月22日からの県議会に条例案を出し、可決されれば4月1日から施行するとしています。」と報じました。
2019年12月「1年単位の変形労働時間制」導入を含む「改正教職員給与特別措置法(改正給特法)」が成立しましたが、2月県議会に、改正給特法で導入された「1年単位の変形労働時間制」を導入する条例が提案されようとしています。
文科省の「1年単位の変形労働時間制導入の手引き」には、「対象となる教職員の在校等時間に関し、指針に定める上限時間(42時間/月、320時間/年等)の範囲内であること」とあります。
文科省が言う導入の前提である年320時間を月平均すると26.7時間になります。19年度、県立学校で月平均36.4時間であり、現在の県立学校において、導入の前提である残業時間の上限を上回っています。
県が条例を制定し、教職員に「1年単位の変形労働時間制」を導入する前提がクリア出来ていない中、なぜ条例化を急ぐのでしょうか。
文科省の「導入の手引き」に「条例を整備するに当たっては、例えば県費負担教職員については、まず、各学校で検討の上、市町村教育委員会と相談し、市町村教育委員会の意向を踏まえた都道府県教育委員会において、省令や指針等を踏まえて条例等を整備すること」とあります。
高教組のアンケート調査(2月5日時点・483名が回答)では、管理職から1年単位の変形労働時間制導入に関する意見を聞かれたか?の設問で、聞かれたと答えた方が1%に留まりました。
各県立学校で十分な「検討」が行われている状況ではない中、県教委はなぜ条例化を急ぐのでしょうか。
時田宇部市議が宇部市教育委員会にヒアリングした結果、宇部市教委が県教委から変形労働時間制導入の意向だと報告を受けたのは、2月初旬に行われた市町教委の担当者会議の中だとのことです。その会議での報告は、県教委からの報告のみで、市町教委の「意向」を聴く場は持たれなかったとのことです。
市町教委からの「意向」が十分集約されない中、県教委はなぜ条例化を急ぐのでしょうか。
文科省は、「導入の手引き」で、「本制度は、これを単に導入すること自体が日々の教師の業務や勤務時間を短縮するものではありません。しかしながら、長期休業期間等において休日を集中して確保することで、教員のリフレッシュの時間等を確保し、ひいては児童生徒等に対して効果的な教育活動を行うことに資するとともに、教職の魅力向上に資することにより意欲と能力のある人材が教師を目指すことにつながることが期待されます。」とあります。
山口県の教職員の勤務実態は、1年単位の変形労働時間制を導入する前提を上回る長時間労働の状況にあります。山口県の教職の魅力向上のためには、勤務時間を短縮するものではない「変形労働制」の導入ではなく、クラスを少人数にして、児童生徒が効果的な教育を受ける環境の整備と、それに見合う教職員数に増やすことだと思います。
私は、山口県の教職員職場に「1年単位の変形労働時間制」を導入すべきではないと考えます。皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
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