議員日誌

映画「ハリエット」

 先日、映画「ハリエット」を観ました。

 映画のパンフレットからイントロダクションを引用します。

 「アフリカ系アメリカ人として、史上初めて新しい米ドル紙幣に肖像が採用され、アメリカでは誰もが知る、実在の奴隷解放家、ハリエット・ダブマンの激動の人生を描いた話題の『ハリエット』がいよいよ日本に上陸した。奴隷として生まれた女性が、たった一人で自由を目指して逃亡し、家族や仲間を助けたい-心から地下組織の一員として活躍するようになる。そして、彼女はいつしか奴隷制度そのものを撤廃するために命をかけ、南北戦争では黒人兵士を率いて戦う『英雄』になっていた。」

 映画のパンフレットの中で、映画ジャーナリストの猿渡由紀さんのこの映画の数奇性についての論証は興味深いものです。

 「ハリエット・タブマンは普通の人ではない。彼女は、尋常ならぬ正義感と勇気、強い精神力と他人への労りをもった、真のヒーローなのである。彼女の話は小説やオペラなどで語られてきたし、アメリカのいくつかの街には、彼女の銅像もある。実現していないが、近年では、20ドル札に彼女の肖像を使うという案も出た。だが、彼女の映画が作られたのはこの『ハリエット』が初めてだ。理由はもちろん、これが黒人の、しかも女性の話だからである。白人男性が牛耳るハリウッドでは、昔から主人公は白人の男で、女性はその恋人役、黒人は出すとしても悪役と決まっていた。恋愛映画などで女性が主役のことはあっても、当然彼女は白人で、しかも若く、美しいのが絶対条件。昔から女性層にアピールするよう映画を宣伝してきた日本と違い、アメリカでは『女性についての映画は儲からない』『女優を出すぐらいならモデル並みのルックスが必須』という、男には都合のいい『常識』が根強く存在してきたのだ。さらに、奴隷の映画である。アメリカの白人は、自分たちに都合の悪いこの部分の歴史について、積極的に語りたがらないもの。(中略)長い年月を経た2019年、彼女の話はこうやって、黒人の女性監督ケイシー・レモンズの手で、正しい形でスクリーンに登場することになった」

 志位和夫委員長は党創立記念講演の中で、6月19日、国連の人権理事会が緊急会合を開き、「警察官の過剰な力の行使やその他の人権侵害から、アフリカ人及びアフリカ系住民の人権と基本的自由を促進し、保護する」とする決議が採択されたことに触れています。

 志位委員長は、この決議が2001年に南アフリカのダーバンで開かれた「人種主義、人種差別、排外主義および関連する不寛容に反対する世界会議」で採択された「ダーバン宣言」の実施をうたっていることに注目します。

 「ダーバン宣言」は、「大西洋越え奴隷取引などの奴隷制度と奴隷取引」を「人類史のすさまじい悲劇」「人道に対する罪」と糾弾するとともに「植民地支配が起きたところはどこであれ、いつであれ、非難され、その再発は防止されなければならない」とされています。

 新型コロナ・パンデミックの最中に、国連の人権理事会が、植民地支配は過去にさかのぼって非難されなければならないと宣言した「ダーバン宣言」の実施を決議したことは重大です。

 私はこのような歴史的背景の中で、映画「ハリエット」がハリウッド映画として堂々と上映され、アカデミー賞にノミネートされたのだと思います。

 圧巻は、ハリエットを演じるシンシア・エリヴォです。

 演技は当然ですが、劇中に歌う彼女の声、そして、エンドロールで流れる「Stand Up」は圧巻の一言でした。

 この辺りを映画のパンフレットの中で映画評論家の渡辺亨さんは次のように書いています。

 「ハリエット役を演じているシンシア・エリヴォは、もともとミュージカルの世界で名を馳せていたスター。しかも彼女のブロードウエィ・デビュー作『カラーパープル』(2015年)は、20世紀初頭の米南部が舞台だけあって、音楽的にはゴスペルやブルースなどに根差している作品だ。シンシアはこの『カラーパープル』でセリー役を演じ、ドニー賞の主演女優賞をはじめ、数々の賞をそうなめにした。『カラーパープル』と『ハリエット』の舞台は異なっているものの、黒人差別が色濃い地域で、奴隷の立ち場に置かれていた女性が自我に目覚め、立ち上がる(Stand Up)過程が描かれている点では共通している。そして、まさにアフリカ・アメリカンの魂(Soul)が込められたシンシアのゴスペル的歌唱が、聴き手の心の奥深いところまで届き、激しく訴えかけてくるといった点でも、そのシンシアが歌う主題歌「Stand Up」は第92回アカデミー賞の優秀歌曲賞にノミネートされた」

 映画を観てサントラ盤がほしいと思った私にとって、稀有な「映画」でした。それほど、彼女の歌唱が私の魂をふるわせました。

 ハリエット・タブマンの生き方を更に学びたいとも思いました。

 様々な意味で、私の人生に大いに刺激を与える映画が「ハリエット」でした。

 是非、皆さんも御覧いただきたいと思います。

 皆さんがご覧になった映画の感想をお聞かせ下さい。

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