議員日誌

「82年生まれ、キム・ジヨン」

 今年の本屋大賞翻訳大賞を受賞した韓国のソン・ウォンピョン著「アーモンド」を大満足の中で読了し、以前から、書店に行って気になっていた同じく韓国のチョ・ナムジュ著「82年生まれ、キム・ジヨン」をこの連休で読み終えました。

 この小説も大満足です。一人でも多くの方に読んでいただきたいと思います。

 韓国で暮らすフリーライターの伊東順子さんは、この小説を次のように評しています。 

 「『82年生まれ、キム・ジヨン』はフェニミズム小説であり、韓国社会における、過去から現在につながる女性差別の実態を告発したものである。これを読んだ韓国女性たちは、母や祖母を想い、また我が身を振り返って涙を流す。社会は表面的には変化したけれど、差別は今も変わらないと。しかし、私たちはこの小説の中で奮闘する女性たちがまぶしくてたまらない。わすか30年前には女だという理由で生まれることも許されなかった子がいた国で、今、女性たちは自分の意見をはっきりと主張し、不条理な社会と向き合っている。盗撮などの性被害者への抗議を中心にした若い女性たちの運動は、従来の運動とはスローガンも方法も異なり、韓国社会での評価は分かれている。彼女たちの先鋭化を憂う声も、実は少なくない。ただ、ちょうどこの解説を書き始めた頃、東京医大での入試差別事件(男子学生だけに一律加点したというもの)が発覚し、日本の女性たちの多くが足元から崩れおちるようなショックを受けた。怒りと情けなさの中で思ったのは、韓国なら即時に2万人の集会が開かれるだろうということだ。韓国と日本は、国の歴史も、政治の形も違う。その上で、日本の女性たちはどんな方法があるのだろう。どうやって、この社会の不条理を質せば良いのか。」

 韓国の女性差別の実態を告発した本書から、日本の女性たちの足元から崩れおちるような差別の実態に目を向けたいと思いました。

 著者のチョ・ナムジュさんは、あとがきでこう書いています。

 「私にはジウォン(小説の主人公であるキム・ジヨン氏の子ども・藤本記)より5歳年上の娘がいます。大きくなったら、宇宙飛行士か科学者か作家になりたいそうです。娘が生きる世の中は、私が生きてきた世の中より良くなっていなくてはなりませんし、そう信じ、そのようにするために努力しています。世の中のすべての娘たちがより大きく、より高く、より多くの夢を持つことができるよう願っています。」

 私にも高校1年生の娘がいます。この小説を読み終えて、あとがきを読んで、この言葉に共感しました。

 「娘たちがより大きく、より高く、より多くの夢を持つことができる」社会をつくるために、私は、山口県議として力を尽くしたいと決意を新にしました。

 ウイキぺデイアを見ると、本書は、韓国で130万部の販売部数を記録するベストセラーとなり、日本を含む16カ国で翻訳されているそうです。

 2019年10月に韓国で同名タイトルの映画が公開され、367万人の観客動員数を記録したそうです。日本では10月に上映予定ということです。コロナ禍の影響で、上映が延期されるかも知れませんが、収束した後に、映画館で鑑賞したと思います。

 さて、今日のしんぶん赤旗日刊紙に、同志社大学の岡野八代教授が、「新型コロナが問う 日本と世界」という特集の中で次のように語っています。

 「安倍晋三首相による『一律休校要請』は、学校が担う教育や児童の安全確保をなし崩し的に家庭に押し付けたものです。その上、ひとり親世帯など家庭への配慮は極めて不十分です。一律10万円給付は『世帯主』を『受給権』者としており、DVの実態を考慮したとは言えません。家族の負担を激増させるコロナ危機の構造の中で、各家庭の実情によって異なって現れる諸問題に十分に対処できていないのは、政治の機能不全です。」

 その上で、岡野八代教授はこう提案します。

 「政治が女性差別の現状と構造に向き合い、憲法が規定する人権尊重とへと転換すべきです。その「ためには、政治に人間や社会の『脆弱さ』を選定に考える『ケアの倫理』が必要です。」

 スイスのシンクタンク、世界経済フォーラムが2019年に発表したジェンダーギャップ(男女格差)指数で、日本は153カ国中121位と過去最低でした。ちなみに韓国は、108位です。

 コロナ危機は、政治や経済の在り方に転換を迫っています。

 今こそ、「政治が女性差別の現状と構造に向き合い、憲法が規定する人権尊重へと転換すべき」との岡野教授の指摘を活かす政治を実現する時です。

 コロナ危機のもとで、ジェンダーや親子などの力関係に基づく「女性や子どもへの暴力」は深刻化しています。

 この点に関し、皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

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