昨日、日本共産党山口県教職員後援会の学習会に講師として参加しました。
日本共産党の綱領改定と教育課題について話した部分について、要旨を紹介します。
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第28回党大会で改定された綱領の内容について報告します。
まず、綱領改定の前提となった20世紀の3つの変化です。20世紀は、人類にとって苦難に満ちた出来事の連続でしたが、「人類史の上でも画期をなす巨大な変化」がおこった世紀でもありました。
第一は、植民地体制の崩壊です。
一握りの帝国主義が全世界を分割・支配するという世界が崩壊したのが20世紀でした。
1899年、オランダのハーグで、万国平和会議が行われました。万国といいますが、その時集まった国は、26カ国でした。植民地体制が崩壊した今日、国連加盟国は193カ国となりました。
植民地支配を許さない国際秩序が確立したのが20世紀です。
第二は、国民主権、民主主義の発展です。
20世紀初頭は、6大列強のうち、君主制が4つでした。現在は、193の国連加盟国で、君主制の国は、30程度です。
主権在君から国民主権へ、民主主義の制度が世界の圧倒的流れとなったのが、20世紀でした。
第三は、平和の国際秩序がつくられたことです。1945年第二次世界大戦後つくられた国連憲章は、「武力による威嚇又は武力の行使」を厳しく禁止しました。平和の国際秩序という点でも大きな変化が進みました。
このような3つの変化を受けて、綱領改定では、次の点が補強されました。
20世紀に起きた歴史的変化の内容として、人権の問題を補強したことです。二つ目は、植民地支配の崩壊についてです。
今日は、綱領改定の人権部分を取り上げます。具体的には、こう補強されました。
「人権の問題では、自由権とともに、社会権の豊かな発展のもとで、国際的な人権保障の基準がつくられてきた。人権を擁護し発展させることは国際的な課題となっている」
ここにある「国際的な人権保障の基準」とは何かについてです。
それは、先ほど述べた1945年の国連憲章、1948年の世界人権宣言、そして、法的拘束力をもった1966年の国際人権規約です。
私は、今日の講師をお引き受けする中で、千葉大学名誉教授である三輪定宣さんの「無償教育と国際人権規約」という本を読みました。
国際人権規約は、1945年6月に採択された国連憲章、1948年に採択された世界人権宣言に基づき、1966年12月に国連で採択されました。
資料2が、「公教育拡充の国際基準」に関わる国際人権A規約13条の内容です。①教育への権利と人格の完成・尊厳、人権、自由の尊重、社会参加、友好・平和の教育理念の厳密な実現。②あらゆる段階の無償教育
先生方にとっては、⑤教育職員の物質的条件の不断の改善と書かれています。
日本政府は、1979年6月に、本規約を批准しましたが、13条2項の(b)(c)の無償許育条項等を留保しました。
その後、2012年9月、民主党政権時代の政府は、同項目の留保撤回を閣議決定しました。
国連の社会権規約委員会は、2018年の5月末までに無償教育計画を作成するよう求めています。
資料3は、国連の社会権規約委員会が日本政府に2018年5月末までに求めている措置の内容です。①無償教育の迅速、効果的達成と計画的・具体的・目標明確措置②朝鮮学校に対する高校修学支援金支給⑤給付奨学金の拡充⑥初等・中等・高等教育の教育職員の地位に関する勧告の着実な実施とあります。
いわゆる「2018年問題」に対し、政府は、「できるだけ早期に(計画書)を提出するよう、現在、鋭意作業をすすめている」と述べてはいますが、その後の文科省の諸文書に「人権規約」に関する議論が一切ありません。三輪さんは「異常な鎖国的状況」と述べています。
三輪さんは、無償教育の意義を2点指摘しています。
第一は、社会全体の利益のために役立てる人格の形成です。
三輪さんは「無償教育は、一人ひとりの教育を公費により社会全体で支える「公費教育」であり、教育を受ける人、学習者は、その成果を個人の利益だけでなく、学習を支える社会全体の利益のために役立てようとする人格や学力・教養の形成が促される」と指摘しています。
第二は、経済発展のアクセルになるという点です。
三輪さんは「無償教育は、多額の公費を要するが、経済発展のブレーキではなく、そのアクセルになるにちがいない。それは、少子化の解決にも道をひらき、すべての人の能力を生涯にわたり最大限に発達、発揮させ、教育費負担で圧迫された家計の消費、内需を爆発的に拡大し、人間的な経済活動を促進するなど、経済や社会の新たな発展の原動力になる」と指摘しています。
三輪さんは、これまでの教育政策について「政治は未来をつくるしごとであるが、この政策は多くの国民の未来を台無しにした『政治災害』であり、与党・政府、とりわけ財政の総元締めの財務省の歴史的失政」と批判しています。
その上で、三輪さんは、「無償教育政策への完全な転換こそ、日本社会が総力をあげて立ち向かうべき最優先の救国的課題の一つといってよい」と指摘しています。
日本が、国際人権規約を全面的に活かす教育を進めることで、教育に未来が開かれることを実感します。
資料4は日本共産党の変形労働制導入に反対する教育提言です。
安倍政権は、「公立学校教育給与特別措置法」改正を強行し、教職員に「1年単位の変形労働制」導入を可能にしました。
ビラにあるように、学期中を「繁忙期」にすること自体が、教育の働き方をさらにひどくすることは明らかです。
資料5は、日本共産党山口県委員会の変形労働制導入に反対するチラシです。
今でも残業時間が長い教員の実態を更に悪化させることになることは明らかです。
資料6は、文科省が求める「在校時間の上限」を決める条例制定と、「変形労働制」を認める条例制定のスケジュールを書いた文科省の資料です。
このスケジュール通り、県は、2月の県議会に、教職員の在校等時間の上限を決める条例を提案しています。
山口県は、安倍政権足下の県、文科省いいなりで、文科省のスケジュール通り、6月か9月県議会に、「職員の変形労働時間の導入」を含めた条例を提案してくるかもしれません。
資料7は、議会と自治体の2月号での藤森論文です。
ここにあるように、政府は、学校、市町教委の意向をよく聞くようになるでしょう。下関市教育長は、「現時点で導入するつもりはない」と述べています。
急いで、「変形労働制」条例は制定するな、この声を大きくしていきましょう。
資料2の国際人権規約の公教育の国際基準には、教職員の物質的条件の不断の改善とあります。資料3の社会権規約委員会が日本に求めている措置の中に、教育職員の地位に関する勧告の着実な実施」とあります。
20世紀が開いた国際人権規約の立場に立つならば、日本の教育職員に
変形労働制を導入することは、国際人権規約に反する安倍政権の対応といわなければなりません。
無償教育の基盤である日本の教育職員の地位向上は、国際的要請である点を今日は確認したいと思います。綱領的立場であると思います。
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山口県で無償教育を前進させていく、その一環として教職員の労働環境を改善していくことこそ急務です。
教職員への変形労働制導入の問題などに対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
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